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52.小学校編16

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2日目の学校も元気に登校する。とはいえ、送ってもらうだけだから、前世からすると違和感が凄いけど。リオネルと共に教室のドアをくぐると視線が集まったので、みんなに向けて大きめの声で挨拶しておく。

「みんなおはよう!!」

「おはようございます!」「おはよう!」「はよ」「おはよう」

「お、おはよ…」

リオネルが少し小さめながらもちゃんと挨拶できた!偉い!あんなにコミュニケーションが苦手そうにしてたのに!尻尾でリオネルをぽんと叩く。褒められているのがわかったのか、リオネルがにっこり笑っている。かわいい…

「あ…あっあの!…ええと…その…」

「うん、どうしたの?」

「あのふたりと……と、ともだちに…なりたいです!!」

「あ、うんよろしく。ナルアです」

「リオネルです。よろしく」

「あ…え?いいんですか?」

「え?だめなの?」

「いえ!!嬉しいです!レッサーパンダのロウといいます!」

「ロウくん!」「ロウ」

「はい!」

「ナルアって呼んでね」「リオネルでいい」

「光栄です!!ありがとうございます!」

「うん?」「……」

ちょっと変な子?かもしれないけど、ともかく友達が一人増えました!!ぱちぱちぱち!!ロウくんはレッサーパンダらしい。茶髪に黒が混じって、くりんとした目を持つ可愛らしい男の子だった。

彼は緊張しながらも、初めて向こうから俺達に話しかけてくれた子だ!ぜひとも仲良くさせてもらおう!それに顔だけでなく、動作の一つ一つにぶりっ子ではない天然の可愛らしさがある。絶対に天使だこの子。

「おはよう!ナルアくんリオネルくん、それからロウくん!」

「おはようメル、ウル、リリス、エル」

「おはよー!」

「お、おはようございます!えへへ」

「はよ」

「おはよう!みんな!」

「おはよう」

「…おはよう…」

しれっとエルの後ろについてきたらしい王子様も挨拶してきた…。リオネルはスルーした。王子様涙目である…まぁ大人な俺が対応してやるか…

「おはよう王子様」

「あ!ああ!おはよう!!」

「ヨルク様、二人に話があるのでしょう?」 

「あ、ああそうだ。授業前に少し話せないか…?」

「…まぁ、いいけど。なに?」

「ええと…出来れば三人で話したいんだが…」

「リオネル、聞いてあげよう」

「……うん」

リオネルと王子様と一緒に教室を出て人通りの少ない廊下までやってくる。暫し押し黙っていた王子様だったが、急にバッと頭を下げたかと思うと、割と大きめの声で話し始める。

「申し訳なかった!その…今まで色々な暴言を吐いたり…嫌なことをして…ごめんなさい!!…出来れば仲良くしてほしい…。虫の良いことを言っているのはわかっている…でも…仲良くしたいんだ」

「うん、いいよ。」

「…ナルアがそう言うなら…でも今度何かしたり言ったりしたら容赦しないから。」

「あ、ああ。その…もし嫌なところがあれば教えてほしい…頑張って直す!」

「わかった」

「嫌なところ…うんいっぱい教えてあげる。」

「…リオネル、程々にな。」

「どうしようかな?」

そう言ってにっこりと笑ったリオネルに、ウェンさんのようなドSの面影をみた…兄としては将来が心配である…。強く生きて王子様…いや、ヨルク。

「じゃあ教室戻ろう。ヨルク様」

「…っ!!…よ、呼び捨てでいいぞ」

「ヨルク?」

「あ、ああ!」

「…ちょっとムカつく…」

「な!?どのへんがだ?!」

「……全部」

「…リオネル」

「ごめんなさい」

「うん、いい子。でも謝る相手は俺じゃないでしょう?」

「…ごめん」

「あ、ああ…」








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