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40.小学校編4

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皆とわいわい騒いでご飯を食べて、次の日の学校に備えて、眠りについた。ちなみにリオネルとは、5歳のときにベッドを分け、今では個々の部屋で別々に眠っている。朝起き出して、いつものように父とリオネルと鍛錬して、朝ご飯を食べた。

「「行ってきます!」」

「二人とも、行ってらっしゃい!」

「行ってらっしゃい!頑張れよ!」

「「はい!」」

リオネルと竜車に乗り込む。タクシーみたいなもので、学校の日は毎日送り迎えをしてくれる契約だそうだ。御者をしてくれるのは、ガタイのいいおっちゃんだ。昔は冒険者だったとか。

学校まで送ってもらって、俺達は案内にしたがってクラス分けの名簿を見に行く。もう既に人だかりが出来ていたので、場所はすぐにわかった。その結果に一喜一憂する姿が見える。Aクラスに入れるかどうかで繋げる人脈などが変わるから、それで一喜一憂しているのだろう。

遠くから水のレンズを通して、名簿を確認する。俺達は無事に揃ってAクラスに入ることができたようだ。

「リオネル、同じクラスだな!」

「うん!良かった!これでナルアとはなれない!ナルア一人にすると、すぐ人をたらしこんで来るから…心配だったんだ。」

「あはは!なんだそれ!心配しなくても大丈夫だよ、俺別に普通だし」

「その普通がマズいんだよ?もう…全然分かってない!」

「えぇ…?」 

リオネル…お前そんなこと思ってたのな…。心配しなくても俺は自衛出来るし、少なくとも俺からはヤバい奴に近づいたりしないし。

「おいおまえ!」

…明らかにこっち指差してる…でもきっと気のせい…リオネルとさっさと教室行こっと。

「リオネル、教室行こう。」

「うん」

「待て!お前だお前!!」

「…リオネル、教室あっちだっけ?」

「うん、そうだよ!手繋ぐ?」

「うん」

「なんで無視するんだ!!!」

……やっぱり俺達に声掛けてんの?…うわぁ絡まれたくねぇ…。

「…俺達になんか用?」

「そうだ!!お前!首席だっただろう!そんな訳ないんだ!!俺の方が強いんだ、ズルしただろう!」

「…そんなの試験した先生に文句いえば?俺は何もしてないし」

「ナルアに近づかないで」

「リオネル?」

「行こう…あんなの無視でいいもん…!」

「うん、ありがとう」

「うん!」

まさかいきなり不正を疑われるとは…まぁいいよ、これからの学校生活で実力を示せばいいんだろうし。それにしても、絡んできたあの子…余程自信あったんだろうな。獅子っぽかったし。ライオンといえば百獣の王なんて言われるから、猫の俺に負けたのがよっぽど悔しかったんだろうな。

フハハ!うん、これからも負かしてやろっと。あんまり調子に乗った大人にならないようにな!というか…獅子って確かこの国の王族…。ま!子供だし!今は礼儀とかいいか。 



「クソ…逃げやがった…あんなのに俺が負けてるわけないんだ…」

王子の俺が華々しく代表挨拶する筈だったのに…。そのために俺だって頑張ったのに…。声をかけても何度も無視するし…うぅ…最後には思いっきり睨みつけられて、一瞬怯んでしまった…なんであんなに怖いんだ…あの虎…

今まで傅かれ、無視される、ましてや睨まれることなどなかった王子様は、初めての経験に若干の心の傷を負いつつも、それでも自身が一番であるということを信じて疑わなかった。

あいつら…学校生活で絶対アイツの不正をあばいてやる!!俺の方が上だってわからせてやるからな!

リオネルとナルアを見送りながら、そんな決意を固める王子様であった。

「ヨルク様!」

「エル…」
 
「??…どうされたのです?」

「いや…なんでもない」

「では教室に向かいましょう。」

「うん…」

「なにかあったのですか?」

「だからなんでもないんだ!」

「そうですか…申し訳ありません…」

「い、いや…いいんだ…心配してくれてありがとう」

「はい、ヨルク様」








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