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18.幼児期15

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あれから2週間ほど過ぎた頃、俺にも遂に人化の時がやってきた!俺の場合も寝ているときに無意識に終わっていた。しっかりと、ネックレスから服が出てきたらしく、俺は起きた時ちゃんと服を着ていた。

それはとてもありがたいんだが…俺の着ている服にはなんと猫耳がついていたのだ!誰のセンスなんだろうな…中身はアラサー手前の男だぞ。流石に猫耳のある服は勘弁してくれ…。とはいえ、嫌とも言えないわけだが…。

「んぅ…なるあ?」

「おう!おはよ!リオネル」

「なるあ…!!」

人化しててもぎゅーするの好きなのな。俺のこと、もふもふだからぎゅーするのかと思ったけど、違ったらしいな。可愛い弟だけど力強えよ…苦しいって。リオネルの腕の力侮ってたぜ…。

「リオネル、苦しい」

「っ!ごめんね…」

「いいよ、じゃあ行こうぜ!朝飯!」

「うん…いっしょ、いく!」

キッチンに向かえば、めずらしく父も起きていたらしい。普段ならご飯出来て母が起こしに行ってやっと起きてくるくらいだ。俺の姿を見るなり、駆け寄ってくる。

「ナルアー!!人化出来たんだね!その服も似合ってるよ!流石テスラさんの選んだやつだね!」

…テスラさんだったかぁ…。この服テスラさんのセンスか。なるほどね。テスラさん俺のこと可愛がってくれてるからな。それでこの可愛らしい猫耳パーカーか。

「おはよ、父さん」

「……おはよう、あの…パパって呼んでくれたり…しない?」

期待の眼差しで見つめてくる父に負けた…。なんか断ったら泣きそうだし。俺も空気の読める大人だからな。パパ呼びくらいしてやろうじゃん。

「おはようパパ」

「うん!!うん!!おはよう!ナルア!」

「おはよ…父」

「おはよう!リオネル! リオネルもパパって呼んでもいいんだよ?」

「ううん、父!」

「…そっかぁ、まぁ仕方ないな。ナルアが呼んでくれただけでも良しとするか。」

キッチンから母もやってきて、こちらを見て、嬉しそうににっこりした。

「何騒いでんのかと思ったら、ナルアも人化出来たんだな!おめでとう!」

「ありがとママ」

「おう!お祝い楽しみにしててな!美味しいものいっぱい作ってやるからなー!リオネルも!」

「うん…たのしみ!」

人化したら色々教えてくれるって言ってたのも楽しみだし!これからのこと考え出したら止まらなくなりそうだったので一旦中断!とりあえずは目先のご飯だ!

「お!ナルアは綺麗に食べてるな!先に教えておいてよかった」

「確かに器用だな、ナルアは。リオネルもすごい上手くなってるし!」

「美味しい!」

「おいし…」

そりゃあ前世で、人間だったし数え切れないほどご飯食べてるからな。ん?でもあんまり器用すぎると、疑わしいか?いや、もう見られてるし遅いか。これからは出来ることでも不自然でない程度まで抑えよう。

まぁ、俺がどんなことしようとも愛してくれそうな家族でよかったけどな。俺に前世の記憶があろうとも、大丈夫だと思うけど。それくらいには、家族のことを信頼している。しかし、前世の記憶があるということが、この世界でどれ程の価値を持つのか分からない。

普通に見たら変なこと言ってるようにしか思えないだろうからな。いざというときまで、隠し通していこう。俺隠し事は得意な方じゃないからすぐバレそうな気もするけど。

父がトールさん、トータさん、テスラさんにも、俺も人化出来たと伝えてくれたようだ。魔法って便利だね!テスラさんは今日来ると言っているらしい。獣化を見せてもらって以来、テスラさんには会えていない。無理に休みを取って家に来ていたけど、やはり忙しい立場の人のようだ。久しぶりに会えるの嬉しいなー。





「なぁ、トワ、どう思う?」

「ん?なにが?」

「ナルアのこと。普通に話せるみたいだし、マナーもちゃんとしてただろ?」

「まぁ、そうだな。ナルアは頭のいい子のようだね。」

「そう、そうなんだよ!出来過ぎるくらいに!」

「だね!あの子は天才なのかもね!」

「そうだな、天才かもな。とりあえず、あの子のことを守ってあげないとな。」

「ああ、必ず守り抜こう。」

両親にもきっちりその異常性を理解されていたものの、我が子は天才だ!くらいの認識でしかなかった。両親からの揺るぎない愛情を注がれているナルアとリオネルはすくすくと育つことになる。






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