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しおりを挟むタカミのこと困らせてる。それは分かってるんだけど…タカミの心までほしいと思ってしまう気持ちは抑えきれない。タカミが僕のことを沢山考えてくれるのは嬉しいし、タカミの頭の中が僕のことでいっぱいになればいいと思ってる。
僕達は上級の魔物を倒せるし、その討伐報酬や素材の売却金は相当の額出る。だからお金に困ってるわけじゃないし、お金を払えば飛空艇に乗ることもできた。けれど乗客は上流階級及び上級冒険者や富裕層なんかの金持ちばかり。上級冒険者が乗ればお抱えにならないか、とか声をかけられるだろう。僕はそんな面倒事に巻き込まれたくない。
僕達は自由でいたい。そのためには気を付けなくてはならない事が沢山ある。今回のもその一つ。Sランクというのは特権も得られるが、国や貴族、商人に目をつけられる事になる。
砂漠を通ることで、タカミにも大変な思いをさせるけど、絶対に守る。それに周りに人が居るより、二人っきりがいい。タカミと二人っきり!なんていい響き!
「ねぇ、タカミ暑いの大丈夫?」
「おう、お前が魔法使ってくれてるからな。ってかこの砂漠、リザードが出るんだっけ?」
「うん、あとでかいサソリだね。」
「なるほどね。熱感知器持ち、厄介だな。」
「うん、でも大丈夫。僕が守るからね。」
「ふはは!デカイこと言うようになったな。」
「えへへ!だってそのために頑張ってきたんだもん。」
「良い子だなぁコクヨウ。ヨシヨシ」
「んふふ!」
タカミに撫でられるの好き。昔からずっと優しい手、暖かい手。僕の気持ちいいところをくすぐるように撫でていく。僕のことを思って、見て、そうしてこの撫で方になったんだもんね。僕が一番落ち着く撫で方。
こんなふうに撫でられたらもっと触って欲しくなっちゃう。獣型になったら全身撫で回してくれるんだけどなぁ。もふもふ?とかが好きみたいだし。僕が獣型になることは殆ど無いけどね。コミュニケーション取りにくいし。
「ん、来た…」
「あぁ、そうみたいだな!リザードか」
「うん、魔法で先制する。氷結!」
「……倒した…な?」
「うん、そうだね。ああいう類の魔物は体温変化に弱いからね。倒せて良かった」
「んで、素材は回収するか?」
「んー、そのまま収納魔法に放り込んでおくよ。」
「おう。」
呆気ないな、というのが戦闘の感想だった。この魔物が強い、というのは氷属性の魔法を使える人が極端に少ないからこそ、なんだろうな。それにしても思ったよりも魔物が少ない。んー…誰か通ったのかな。
「なんか危険な道って感じしねぇわ。」
「うん、魔物が少ないよね。」
「いや、それもそうだけど。お前があっという間に倒しちまうからさ。次は俺が倒すからな。」
「うん、わかった。タカミも身体鈍っちゃうよね。」
「おう。ん、早速来たな!」
剣を構えるタカミに突っ込んでいくサソリ。尾での攻撃とハサミでの攻撃がある。特に尾での攻撃は毒持ちで厄介。攻撃を避けたタカミが甲殻に覆われて硬い尾を簡単に切り落とす。
「ふっ!」
「格好良いタカミー!」
尾を落とされたサソリはバランスを崩し、あっという間に切り刻まれていく。一応Bランクの魔物なんだけど、早かったな。やっぱりAランクでも上位だと思うんだよね、タカミって。僕が見てたAランクはもっと弱かったし。
「ふぅ…よし、素材回収しとくか。」
「僕も手伝うよ。」
「ありがとな。」
タカミは自分に自信なさ過ぎるんだと思う。もっと自信持っていいのに。辺境に居たから、自分の実力わかんないのかな?比べにくいもんね。まぁ、これから色んなところ行けば、わかるようになるかな。
それにしても…本当にカッコよかったなぁ。こんなに近くでタカミの格好良いところ見れるなんて控えめに言って最高。
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