83 / 87
83
しおりを挟むスー兄の真偽眼のスキルがある為、スヴェンさんが嘘を言ってないのは分かってる。ロコさんの師匠だし、今でもロコさんから連絡が来るくらいには親しいのだろう。僕の大好きなロコさんの関係者な訳だ。けど、とても危険だ!と感じる。それだけの実力者だし、必要なら僕らに対しても容赦なくその力が振るわれる、と確信出来るからだろう。
怪しいこの人に話を聞きたい。けど、口を開くのが躊躇われる。みんなが黙りこくっている中、レンドーレさんが意を決したようにスヴェンさんを見据えて、話し始める。
「…聞きたいことがある。」
「ええ、構いませんよ。」
「孤児院の子供たちが帰ってこねぇんだ、何か知ってるか?」
「ええ、存じていますよ。」
「なっ…」「知ってるの!?」「……」
あっさりと口にされたその回答に、驚く。スヴェンさんは何か企んでいるのだろうか?だからこんなにもあっさりと子供達の事を口に出したの?
「どこにいるの?」
「ふむ…簡単に答えを教えてしまうのも詰まらない。探し出してみてください、彼らを。待っていますよ?」
「あ、待って!!」
「…くそっ…逃げやがった…」
待っていますよ、と言って姿を眩ませたスヴェンさん。まるで目の前から掻き消えたかのようだった。一瞬で視認できなくなったのだ。
ロコさんのことは見つけられる僕が探しても分からない。ということはもうスヴェンさんはこの辺りには居ないか、僕のスキルを欺くことが出来るか…。どちらにしろまた振り出しに戻ったようなものだ。
「どうやって探せってんだよ!!」
「レンドーレさん…」
「落ち着け。冷静になれ。でなければ、しない筈の失敗をする。」
「……すぅ…はぁ……悪い。」
「えっと取り敢えずロコさんに連絡とってみるね!何か知ってるかもだし!」
「ありがとう、ククリ」
「うん」
聞きたいことを書きつづって、連絡を送る。ロコさんからの返答は期待したものでは無かったけれど、一つ朗報をもたらしてくれた。
『親愛なるククリ様へ
まずはご期待に添うことが出来ないことをお詫び申し上げます。師匠から口止めされており、伝えられることがほとんどありません。師匠はとても怖い御人です。くれぐれもお気を付けて。
私から伝えられる唯一のことは、子供達はおそらく全員無事だということです。まぁ追い詰められては、いるかもしれませんが…。
ククリ様がお元気に過ごされる事を心より願っております。
ロコ』
「取り敢えず無事らしいな。」
「ああ、それがわかっただけでも有り難い。」
「うーん…どうやって見つけたらいいんだろ…」
「取り敢えずシスターに話聞くか。」
「…そうだな。」
256
お気に入りに追加
958
あなたにおすすめの小説
主人公の兄になったなんて知らない
さつき
BL
レインは知らない弟があるゲームの主人公だったという事を
レインは知らないゲームでは自分が登場しなかった事を
レインは知らない自分が神に愛されている事を
表紙イラストは マサキさんの「キミの世界メーカー」で作成してお借りしています⬇ https://picrew.me/image_maker/54346
侯爵令息セドリックの憂鬱な日
めちゅう
BL
第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける———
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。
辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~
Lunaire
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
他作品の詳細はこちら:
『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】
転生王女は異世界でも美味しい生活がしたい!~モブですがヒロインを排除します~
ちゃんこ
ファンタジー
乙女ゲームの世界に転生した⁉
攻略対象である3人の王子は私の兄さまたちだ。
私は……名前も出てこないモブ王女だけど、兄さまたちを誑かすヒロインが嫌いなので色々回避したいと思います。
美味しいものをモグモグしながら(重要)兄さまたちも、お国の平和も、きっちりお守り致します。守ってみせます、守りたい、守れたらいいな。え~と……ひとりじゃ何もできない! 助けてMyファミリー、私の知識を形にして~!
【1章】飯テロ/スイーツテロ・局地戦争・飢饉回避
【2章】王国発展・vs.ヒロイン
【予定】全面戦争回避、婚約破棄、陰謀?、養い子の子育て、恋愛、ざまぁ、などなど。
※〈私〉=〈わたし〉と読んで頂きたいと存じます。
※恋愛相手とはまだ出会っていません(年の差)
イラストブログ https://tenseioujo.blogspot.com/
Pinterest https://www.pinterest.jp/chankoroom/
※作中のイラストは画像生成AIで作成したものです。
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
新しい道を歩み始めた貴方へ
mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。
そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。
その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。
あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。
あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?
神獣の僕、ついに人化できることがバレました。
猫いちご
BL
神獣フェンリルのハクです!
片思いの皇子に人化できるとバレました!
突然思いついた作品なので軽い気持ちで読んでくださると幸いです。
好評だった場合、番外編やエロエロを書こうかなと考えています!
本編二話完結。以降番外編。
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる