上 下
69 / 87

69

しおりを挟む






スー兄達が帰ってくるまで、お昼寝したり、スキルの使い方を伝授してもらったり、お話を聞かせてもらったりして過ごしていた。少しだけスキルの扱いについて分かった気がする。こういうのは地道な努力が大事だよね。継続は力なり。

そして1日ぶりに両親と兄が帰ってきた。何頭かの魔馬の力強い蹄の音が聞こえてきて、近づいて来ているのがわかった。かなり飛ばして帰ってきたみたいで、伝え聞いていた時間よりも随分早い。

姿が見えたのはスー兄とパパとママの三人だけで、レオおじさん達はもう少しゆっくり来るのかな。徐々にスピードを落としながら近づいて来る。スー兄は近くまで来たところで飛び降りて、僕に向かって飛び付いてくる。勢いに反してふわりと抱き締められ、ぎゅーっと締め付けられる。

スー兄に乗り捨てられた形になった魔馬は、大人しく家の庭の方へ歩いていった。スー兄が乗ってたなら相当酷使されたはずなのに疲れていないみたいだ。流石は魔馬だね。

「ただいまー!!ククリ!会いたかったよ!」

「おかえりスー兄」

「うん、疲れたから癒やしてくれる?」

「んー?撫でる?」

「うん、撫でてー。」

擦り寄ってくるスー兄を撫で回しつつ、ゆっくりと魔馬から降りてくる両親を迎える。ママは流石に少し疲れた様子で、パパはピンピンしていて元気そうだった。ただパパはパパで気疲れとかはあったみたいだ。

「早かったな。もう少しククリと三人でも良かったんだがな?」

「ククリが寂しがるだろ。」

「そんなことはないよ。退屈させないように色々やっていたし。」

「ふふっ楽しかったね。」

「ああ、楽しかった。またおじいちゃんと遊んでくれるかい?」

「うん!」

「ククリも大きくなってきたからな、今度は一緒に遠出するか!」

「うん!もふもふがいっぱい居るところがいい!」

「おう、考えとくぜ。」

「ククリが行くなら俺も行く。」

「なら夏だな。」

「楽しみー!」

「おお?子供たちが親父たちと旅行行くなら俺達は久しぶりに夫婦水入らずで、出掛けるか?」

「そうだね、それもいいね。」

「お!意外と乗り気か?じゃあ早速予定建てようぜ!」

「ふふっこっちもこっちで予定たてようか。」

「「うん!」」

スー兄達と話している間にかなりの時間が経っており、レオおじさん達も到着していた。僕は魔馬に餌をあげに行くというレオおじさんについて行って、一緒に餌をあげたり、撫で撫でしたりした。伝心のスキルを使って、魔馬達がどんな餌を好んでいるのかとか、どの人が好きなのかとかをレオおじさんに伝えるととても喜んでもらえた。

「教えてくれてありがとな、ククリ。」

「うん」

「従魔の声が聞こえるだけじゃないんだな。」

「うん、感情が伝わってくる?って感じで…」

言葉にしてこの感覚を説明するのはとても難しくて、伝わらないのがもどかしい。クーの感情はダイレクトに伝わってくるし、言いたいことも言葉で聞こえる。けれど、その他の生き物に関しては、喜んでるとかがふんわり分かるという感じなのだ。使いこなせるようになればもっと的確に分かるようになるだろう、とじぃちゃんが言っていた。

「ふむ、まぁスキルについてはまだこれからだからな。」

「うん、頑張る。」

「頑張り過ぎないようにな。」

「ん、ありがとうレオおじさん。」

「おう」





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

主人公の兄になったなんて知らない

さつき
BL
レインは知らない弟があるゲームの主人公だったという事を レインは知らないゲームでは自分が登場しなかった事を レインは知らない自分が神に愛されている事を 表紙イラストは マサキさんの「キミの世界メーカー」で作成してお借りしています⬇ https://picrew.me/image_maker/54346

侯爵令息セドリックの憂鬱な日

めちゅう
BL
 第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける——— ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。

神獣の僕、ついに人化できることがバレました。

猫いちご
BL
神獣フェンリルのハクです! 片思いの皇子に人化できるとバレました! 突然思いついた作品なので軽い気持ちで読んでくださると幸いです。 好評だった場合、番外編やエロエロを書こうかなと考えています! 本編二話完結。以降番外編。

BLR15【完結】ある日指輪を拾ったら、国を救った英雄の強面騎士団長と一緒に暮らすことになりました

厘/りん
BL
 ナルン王国の下町に暮らす ルカ。 この国は一部の人だけに使える魔法が神様から贈られる。ルカはその一人で武器や防具、アクセサリーに『加護』を付けて売って生活をしていた。 ある日、配達の為に下町を歩いていたら指輪が落ちていた。見覚えのある指輪だったので届けに行くと…。 国を救った英雄(強面の可愛い物好き)と出生に秘密ありの痩せた青年のお話。 ☆英雄騎士 現在28歳    ルカ 現在18歳 ☆第11回BL小説大賞 21位   皆様のおかげで、奨励賞をいただきました。ありがとう御座いました。    

推しの完璧超人お兄様になっちゃった

紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。 そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。 ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。 そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。

辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~

Lunaire
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。 他作品の詳細はこちら: 『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】 『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】 『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】

雪狐 氷の王子は番の黒豹騎士に溺愛される

Noah
BL
【祝・書籍化!!!】令和3年5月11日(木) 読者の皆様のおかげです。ありがとうございます!! 黒猫を庇って派手に死んだら、白いふわもこに転生していた。 死を望むほど過酷な奴隷からスタートの異世界生活。 闇オークションで競り落とされてから獣人の国の王族の養子に。 そこから都合良く幸せになれるはずも無く、様々な問題がショタ(のちに美青年)に降り注ぐ。 BLよりもファンタジー色の方が濃くなってしまいましたが、最後に何とかBLできました(?)… 連載は令和2年12月13日(日)に完結致しました。 拙い部分の目立つ作品ですが、楽しんで頂けたなら幸いです。 Noah

転生王女は異世界でも美味しい生活がしたい!~モブですがヒロインを排除します~

ちゃんこ
ファンタジー
乙女ゲームの世界に転生した⁉ 攻略対象である3人の王子は私の兄さまたちだ。 私は……名前も出てこないモブ王女だけど、兄さまたちを誑かすヒロインが嫌いなので色々回避したいと思います。 美味しいものをモグモグしながら(重要)兄さまたちも、お国の平和も、きっちりお守り致します。守ってみせます、守りたい、守れたらいいな。え~と……ひとりじゃ何もできない! 助けてMyファミリー、私の知識を形にして~! 【1章】飯テロ/スイーツテロ・局地戦争・飢饉回避 【2章】王国発展・vs.ヒロイン 【予定】全面戦争回避、婚約破棄、陰謀?、養い子の子育て、恋愛、ざまぁ、などなど。 ※〈私〉=〈わたし〉と読んで頂きたいと存じます。 ※恋愛相手とはまだ出会っていません(年の差) イラストブログ https://tenseioujo.blogspot.com/ Pinterest https://www.pinterest.jp/chankoroom/ ※作中のイラストは画像生成AIで作成したものです。

処理中です...