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 僕以外の家族たちはパーティーに出る事になっているため、何かと手配する事もあったりで忙しそうだ。僕は僕でスキルを試してみたり、クーとお話したりして過ごしていた。僕が思っていたクーの印象は間違っていなかったみたいだなぁって感じた。ツンデレさんだけど、とても優しい子。

「ククリ、何の肉がいい?とって来てやるぞ。」

「うーん、クーが取って来てくれるお肉は何でも美味しいよ。」

「そうか。ならば適当に美味いやつを見繕ってきてやる。」

「うん、ありがとう。でも今は一緒にいてくれたら嬉しいな。」

「っ…わかったぞ。側にいよう。」

「ふふっ撫でてもいい?」

「構わない。」

 もふもふの尻尾も、お耳も魅力的なんだよね。狐って本当に可愛い!若干釣り上がった目、それでいてクリクリしていて、愛らしい。動く姿も素早くて格好いいのに、偶に抜けた所があって…もうたまらない!

基本的に懐かないらしい妖狐でありながら、こんなにも懐いてくれているのも嬉しいんだよね。まぁ獣神様のお陰なのかもしれないけれど。今では意思疎通も出来る相棒だ。多分クーは弱い僕を守るために申し出てくれたのだろう。いつも心配かけてるみたいだし。

「そういえばクーは僕が学校に行ってる間はどうするの?」

「ふむ、共に行こうと思っていたが。」

「んー、いいのかな?」

「…取り敢えず確認してくれ。」

クーは一緒に来てくれるつもりだったんだ。確かにクーが一緒なら安心かな。もうすぐ学校が始まるけど、友達出来るかなぁ。積極的に話しかけていく予定ではあるけれど、相性もあるからな。新しい事を始めるのってドキドキするし、不安にもなる。

「うん、そうする。…じぃちゃんたちまだかなぁ。」

「強い気配はまだ感じられんな。」

「そっかぁ。じゃあまだ掛かるんだね。」

「そうだな。」

クーの索敵範囲はかなりのものだと聞いたから、まだ近くには居ないんだな。全てが予定通りに行くとも限らないからね。明後日までに来てくれるといいな。パパとママとスー兄が予定通りにパーティーに行けるように。今回僕だけ行けないのは寂しいけど、そもそも本当の息子でもないし、僕は大きくなってもパーティーに出る必要が全く無いわけだしね。

「スー兄、パーティー大丈夫かな?」

「スイは聡い子だから大丈夫だろう。それにケルやリオもついている。」

「そうだよね!僕の学校のほうが不安か…。」

「ククリは大丈夫だ。私がついている。」

「ふふっありがとう。」

僕にも、スー兄にも頼りになる味方がいるから、考え過ぎて不安になるのは良くないね。今一度クーをぎゅーっと抱き締めて、撫で回す。気持ちよさげに細められる目元が愛らしい。





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