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しおりを挟むスー兄がパパが帰ってきたことを教えてくれる。お出迎えに出ると直ぐに姿が見えた。そしてパパの方もこちらを見て手を上げる。
「おかえりー!」「おかえり、ケル」「おー、帰ったか。」「お邪魔してるよ、ケル」
「ただいま!親父たちも久しぶり。今日着いたんだな。」
「おう。無事に着けた。」
「それにしても、遅かったな。」
「年末年始休みを取るからその分先に働いてる。森に魔獣が溢れても困るからな。」
「それで、片付いたのか?」
「ああ、クーも手伝ってくれるからな。」
「なら問題ないか。手合わせするぞ!どのくらい成長したか見てやる。」
「…明日にしねぇ?」
「駄目だ。今だ。」
「…はぁ…親父は折れねぇよな。わかったよ。リオ、結界頼む。」
「了解。…魔力障壁…よし、いいよ。」
ママの声がかかった途端にヘンリーさんの姿が掻き消える。実際にはパパに向かって攻撃を仕掛けたらしいことが音で分かる。戦闘の詳しい内容は、目で追うことが出来なかったので分からないが、どうやらパパの方が押されているみたいだ。
スー兄の事も軽くあしらってしまえるパパがここまで防戦一方になるなんて初めて見た…。それだけ実力はヘンリーさんが上なんだろう。龍人は日本の冒険談なんかでも強く描かれていたけど、やはり強いらしい。
「パパがんばれー!」
「頑張って!」
僕とスー兄が応援の声をかけると、少しだけ押し返し始めた。ただしそれでもヘンリーさんの余裕を崩すことは出来なさそうで、ヘンリーさんが底知れない実力の持ち主だと分かる。
「おいおい、俺のことも応援してくれて良いんだぜ?ケルのことばっかり応援されちゃ悲しいだろ?」
確かに…そう言われるとそうだ。応援されないのって悲しいもんね。負けてる方をつい応援したくなっちゃうけど、勝ってる側にも応援は必要だ。
「ヘンリーさんがんばれー!」
「ははは!やる気出て来たぜ。ありがとな!ククリ」
「っ!!クソ親父!!」
「ははは!まだまだ息子には負けてやれんな!孫達の前では格好いい姿を見せてぇしな!」
カキンと剣同士がぶつかったと思えば、パパの剣が弾かれていく。そしてパパの首筋に剣が突きつけられる。パパは両手をあげて負けを宣言した。
「くっ……あー…負けた負けた…くそ…相変わらず強過ぎだろ…。」
「ま、お前もあと十年もすればこのくらいにはなれんだろ。」
「先が長いっての…。」
「ふふっパパもヘンリーさんもかっこよかったよ!」
「おう!ありがとなククリ。あと、呼び方はヘンリーおじちゃんでいいぞ。」
「ヘンリーおじちゃん!」
「おう、良い子だな!」
「じじぃのくせして、何がおじちゃんだよ…。」
「ふん!そのじじぃに負ける癖にデカい口叩くんじゃねぇ!」
「はぁぁ…ククリー、撫でてくれ。」
「うん!いいよー!よしよーし、パパはかっこいいよー」
「ったく情けねぇ。ま、でも多少はマシになってんじゃねぇの。」
「毎日鍛えてるからな。マシにならなきゃ困るっつーの。」
「二人とも素直に言えないんだから…全く。こんなでも仲は悪く無いんだよね…。」
「なかよしはいいこと!」
「そうだね、ククリ。ちなみに俺のこともネルじいとかでいいよ。」
「ネルじぃ!」
「うん、そう呼んでくれると嬉しいな。スイもね。」
「うん、ネルじぃちゃん」
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