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しおりを挟むスー兄とパパが僕のためにお風呂を入れてくれている。もうすぐ入れるみたいだし、服とか準備して待ってよーっと。ママはご飯作るみたいだから、お風呂から上がったら、お手伝いしよっと。とは言っても、危ないからって台所に入れてもらえないから、カトラリーを並べるくらいだけど。
「おっふろー♪おっふろー♪」
「楽しそうですね。ククリ様。」
「えへへ!ロコさんとはいるもん!」
「ふふっどうしてそんなに私に信頼を寄せてくださるのでしょうね?」
「んー、ククリにはちゃんとわかるんだよ!」
「…そうですか。ククリ様には何か不思議な力がお有りなのですね。」
「だろうな。ククリは警戒すべきやつはちゃんとわかってる。」
「そうだね、僕が大丈夫だと思うような人でも、ククリは駄目な人には近付かないし。」
「ふむ、それは凄いですね。そしてそれが本当なら、私のような人間には懐いてはだめだと思うのですがね。」
ロコさんはそう言っているけど、懐いても良い人だって分かってる。いつも心配してくれて、守ろうとしてくれる人だもん。
「はははっ!ククリの基準は分からねぇが、あんたがククリの味方なのは確かだろ?」
「それはそうですね。」
「なら何も問題はない。ほら、ククリに付き合って風呂行ってくれ。」
「はい、そうしましょう。ククリ様、行きましょうか。」
「うん」
ロコさんが僕の手を取ってくれたので、ぎゅっと握る。柔く握り返してくれたので、そのままお風呂場へと歩く。脱衣場で服を脱ぎ捨てて、ササッと体を洗いに向かう。はっ!今更だけど、ロコさんと裸の付き合いをすることになるのか!
振り返るとロコさんが浴室に入って来るところだった。バッキバキなんだけど!?筋肉凄すぎる…。格好いい人は身体もかっこいいんだなぁ。
「どうしました?」
「んと、からだ、かっこいいね!」
「そうですか?ありがとうございます。」
身体を洗うためにロコさんが椅子に座ると、その背中にかなり大きな傷跡があるのが見て取れた。切り傷なのかな…。左肩から右腰に向けての傷跡だ。
「ふぁっ!!せなか!おっきいきず…」
「ああ、これは昔の傷跡です。子供の頃のものですので。」
「そーなんだ…んー、いたそう…」
「痛みはありませんよ。とうの昔に治っていますから。」
「うん…」
危険な仕事をしていたのだから当然怪我をすることだってあるんだろう。それでもこうして実際に傷跡を目の当たりにすると、凄く胸がぎゅっと締め付けられる思いになる。もう治ってるし、大丈夫なんだけど、それでもロコさんの過去の苦しみを思わずにはいられない。
「ふふっそんな顔をされるとは思わなかった。」
「だって…ロコさん…」
「ふふっあなたは本当に優しい子ですね。他人の為にそこまで心を砕けるのですから。」
「むぅ…ロコさん、もうケガしないでね!」
「ええ、気をつけますよ。」
「うん、からだ、あらってあげる!」
石鹸をつけて泡立てたタオルでロコさんの背中をごしごし洗う。流し終わって、やはり目に入る傷跡をそっと撫でる。過去にロコさんが感じた苦痛が少しでも和らぐといいな。
「ふふっくすぐったいですよ、ククリ様。」
「んふふ、ごめんね!」
「それでは交代しましょう。私も洗って差し上げますよ。」
そう言って全身綺麗にされてしまった。洗ってもらうのは少し擽ったかったけど、嬉しかった。そうして綺麗になった僕達はお風呂へと浸かる。
「ふぁー…きもちいい」
「…確かに悪くないですね。」
「でしょー!!つかれもとれるし!」
「そうですね…癒やされます。」
ロコさんにもお風呂の良さが伝わって嬉しい。普段よりも表情が緩んでいる気がするし、リラックスしてる雰囲気が伝わってくる。
「またいっしょに、はいろーね!」
「ええ、もちろんです。」
「んふふ!」
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