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帰る途中の街でもお買い物をしたり、名物料理を食べたりして楽しんで帰ってきた。スー兄ともたくさん一緒にいられたし、本当に楽しかった。見覚えのある景色が見えてきた。もう家の近くまで帰ってきているんだ。長く感じた旅ももう終わり。

「あと一時間もすれば着くな。」

「ええ、その予定です。」

「ロコも長い間ありがとな。取り敢えず家の客間に泊まっていってくれ。」

「ええ、お世話になります。」

「ロコさんいっしょにねる?」

「ククリはクーと寝るんでしょ?」

「うん、そーだよ。」

「…それは遠慮しておきます。」

「そう?」

「ええ、休まる気が致しませんので…」

「ええ、クーもふもふで、きもちいいのに!」

クーと寝るとよく眠れるんだけどなぁ?断られてしまった。あ、マッサージとかどうだろう?前世では父さんの肩もみとかよくやってたし、得意な方だと思う。疲れを癒やすには人に揉んでもらうと気持ちいいらしいし。

「家についたら先ず荷物整理しなくちゃね。レオナルドも色々くれたから大荷物だし。」

「それは明日でもいいだろ。今日は休もうぜ、リオ」

「それもそうか。長旅で流石に疲れたしね。スイ達もゆっくりしな。」

「うん」「はーい」

夏場で日が長いけど、それでも日が沈みかけている。もうすぐ夜になる。移動ばかりだったし、ただ座っていただけなのに体が疲れた感じがする。同じ姿勢でいるのも意外と大変だ。いまお風呂に入ったらきっと気持ちいいだろうな。

「ククリおふろはいりたい。」

「ん、お風呂入れようね。」

「ククリお風呂好きだね?」

「うん、スーにぃはきらい?」

「うーん、面倒だし積極的に入ろうとは思わないかな。」

「そっかぁ、きもちいいのに…」

「はは!獣人は濡れるの嫌いな奴も多いからな。」

「パパも?」

「まあ、好きではねぇな。」

「そっか…」

「ふふっ僕は好きだよ。」

「ママ!」

お風呂好きじゃなかったなんて衝撃だ。基本的に日本人はお風呂好きな人が多いし皆好きだと思ってた。でも確かに獣は水に濡れるの嫌いな子も多いから、獣人が濡れるの嫌いだって言うのも分からなくはない。くっ…身内にお風呂好きが少ない…。はっ!ロコさんなら!

「ロコさんはー?」

「私…ですか?そうですね、私も好みませんかね。手早く終わらせられる方が良いですね。」

「そっか…」

風呂場ではすべての服を脱いで無防備にならなくてはならない。武器や暗器を持ち込むとしても、早く終えるに越したことはない。クリーンを使うことが殆どだ。それだけでは落とせない香りなどを消したい時には入ることもあるが。ククリ様はお風呂が好きなのですね。普段からあれだけ無防備なのだから、警戒心など無いのかもしれません。

思うままに答えると、話していたククリの声のトーンが明らかに落ちる。感情が素直に表情や声などに出る。初めは少し疑ったけれど、ククリ様には嘘など微塵もなかった。裏切りも当然の世界で生きてきた私にとっては、疑う必要の無いことがどれほど尊いことか…。願わくば彼が今のまま育ってくれるといい。

警戒心がないのも、あれだけ過保護に守られていれば当然といえば当然でしょうか。愛らしさを振りまいて、色々な人々を引っ掛けて来ていますし、過保護になるのも仕方がないでしょう。私もつい絆されてしまいましたし。送迎なんて面倒事を押し付けられたと思いましたが、今はこの仕事を引き受けて良かったと思っていますよ。

「よし!きょうはみんなにおふろのよさをおしえてあげる!」

「俺は遠慮しとくぜ。」

「俺も…ごめんね、ククリ。」

「むぅ…ロコさんはいっしょに、はいってくれる?」

「ええ、分かりました。」

「じゃあきょうはロコさんとはいる!」

「ふふっお手柔らかに。」

日が完全に落ちる頃、家に帰り着いた。たったひと月弱離れていただけなのに、やっと帰ってきたって感じ。やっぱり家は安心するね。







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