120 / 137
119
しおりを挟む部屋の大きな冷蔵庫には、綺麗に並んだ野菜や肉、その他調味料なんかが入っていた。二人で作ったご飯は美味しくて満足した。それから発情期に入っても大丈夫なように、すぐにつまめる物を作り置く。サンドイッチやカットフルーツなんかだ。
蜜月のための準備を整えたところで、最近はバタバタしていて秋夜とゆっくり話すことも出来なかったので、二人でソファに隣り合って座って話すことにする。話さないといけないことだって沢山有るしね。
「ねぇ秋夜、ちゃんと話しておかなきゃいけない事がある。」
「ん、なに?」
「んーと、まず第一にこの間春夜さんが言ってたことについて!海外に行くのかどうか。」
「んー…ネットさえあれば何処にいてもなんとかなると思うよ。だからそれについては香夜の意見を尊重する。俺は日本だろうが海外だろうが香夜さえ側にいてくれるのならそれでいい。」
「わかりました。考えておきます。えっとでも海外にいた方が良いんですよね?」
「俺達のどっちかが居れば問題ない。だから春夜が海外に行くって決めてるみたいだから俺が居なくても良いんだよ。」
「そうなんですか?」
「ん、押し付けられる分は押し付けることにしてる。向こうもそうするだろうし。俺は出来るだけ家に居たいしね。向こうは仕事の時間が短いほうがいいみたいだし。事務仕事は俺の担当、外に出るのは春夜の担当。それだけだよ。」
「…なるほど…」
つまり秋夜は引きこもりということか。いや、そうじゃないんだけど…。取り敢えず日本を離れなくても大丈夫なことは分かった。
「それじゃあ次です!えっと、秋夜が卒業したら俺はどうするのかなって。なんか鳴海が神谷さんが卒業すると同時に学校出て、神谷さんと暮らすって言ってて…だから俺、どうすればいいのかなって思って…秋夜なんにも言ってなかったから」
「ああ、ごめん…勝手に言ったつもりでいた。俺が卒業したら一緒に来てほしいと思ってる。あの学園に残しておきたくないし。」
「そっか…よかった…俺も秋夜が居ない学園とか怖いし…」
「ん、良かった。もっと嫌がるかと思った」
「え?なんで?」
「香夜はどちらかといえばβとして過ごした期間が長いから高校卒業したいとか思うかなって」
「あー…なるほど…確かにそうかも。でも秋夜といることの方がいつの間にか大事になってたのかも…」
こんなこと言うのさすがにちょっと照れる…。
顎を取られて、キスを落とされる。艶っぽい笑みを浮かべた秋夜はどうしようもなく魅力的で…俺はされるがままになっている。体が熱い。ん?あれ?これって発情期来てる…?あぁ…だからか…こんなにも秋夜が欲しくてたまらないのは…。
「ん…ちゅ…秋夜…もっと…」
「わかってる…ベッド行こ」
「ん、抱っこ…」
「え?ん、良いんだけど、珍しいね。かわいい。いつもは恥ずかしがってあんまり抱っこさせてくれないのに。」
「…だって…こ……けた…」
「ん?もう一回言って聞こえなかった。」
「…腰抜けたの!!もういいでしょ…早く秋夜がほしい…」
抱っこするために近づいた秋夜の首に手を回して、耳元でほしいって強請って、耳を軽くはむ。すると秋夜の雰囲気がガラッと変わった。まるで野獣のようだ。
「どこで覚えてきたのか知らないけど…満足するまで…シテあげる。その代わり途中でへばんなよ。」
「は…はい…」
…ちょっとやり過ぎたかもしれない…後悔先に立たず、とはよく言ったものだよ。発情期だしなんとかなるって信じてる…。うん、頑張れ俺。
31
お気に入りに追加
1,290
あなたにおすすめの小説
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈
めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。
しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈
記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。
しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。
異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆!
推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!
十七歳の心模様
須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない…
ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん
柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、
葵は初めての恋に溺れていた。
付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。
告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、
その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。
※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。
変なαとΩに両脇を包囲されたβが、色々奪われながら頑張る話
ベポ田
BL
ヒトの性別が、雄と雌、さらにα、β、Ωの三種類のバース性に分類される世界。総人口の僅か5%しか存在しないαとΩは、フェロモンの分泌器官・受容体の発達度合いで、さらにI型、II型、Ⅲ型に分類される。
βである主人公・九条博人の通う私立帝高校高校は、αやΩ、さらにI型、II型が多く所属する伝統ある名門校だった。
そんな魔境のなかで、変なI型αとII型Ωに理不尽に執着されては、色々な物を奪われ、手に入れながら頑張る不憫なβの話。
イベントにて頒布予定の合同誌サンプルです。
3部構成のうち、1部まで公開予定です。
イラストは、漫画・イラスト担当のいぽいぽさんが描いたものです。
最新はTwitterに掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる