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どうやら香夜は眠ってしまったらしい。静かな部屋に香夜の寝息だけが響く。何やら写真を見せるという話をしてから挙動不審だった香夜が昼寝をしないかと誘ってきた。取り敢えず、香夜の目論見通り眠ったふりをしてみれば、香夜が俺が眠ったところで動き出す。アルバムに手を伸ばしていたらしい。先程香夜が手を伸ばしていたアルバムを手に取る。
俺に見せたくないものでもあるのか…?そんな疑いの気持ちを押し殺して、アルバムを開く。
そこには可愛らしい幼い女の子がいた。
いや…正確には女の子の服を着せられている香夜がいた。とても可愛らしい。ふっくらとした頬、白くて柔らかそうだ。そしてクリクリとした目がニッコリと笑う事で細められている。ピンク色の唇もふわふわと柔らかそうに見える。
くまなくガン見して、それからそっと自分のスマートフォンを取り出した。後で香夜の両親に頼んで焼き増しして貰おうと決意を固めつつ、いつでも見られるようにパシャパシャと写真を撮っていく。
そしてページをめくる。そして愕然とした…。幼い香夜の頬に…唇を押し付けている野郎がいたのである。クソが…。幼い頃のこととはいえムカつく。だからといって香夜の大切な写真を傷付ける訳にもいかず、悶々とした気分を抱えたまま、先程の写真を出来るだけ見ないようにページめくる。
それからも先程の男は度々登場してきて苛ついたが、香夜の成長していく様を見たいという欲には勝てず、次々とページめくっていった。女物の服を着ていたのは本当に幼い頃だけのようで、小学生になる頃にはTシャツに半ズボンといういかにも小学生男子らしい格好をしていた。
満面の笑みを浮かべている写真の中の香夜。俺に見せた顔ではないということに少しだけ嫉妬を覚えつつ、可愛らしい香夜の姿に癒やされた。
「むぅ……ふにゃあ…しゅや…?」
「…ん?起きたの?おはよ」
「……あ…」
「ん?」
「ああぁぁぁ!!!!見ちゃったの!?」
「ん、見たけど。なに?俺に隠し事?」
「い、いや…その…だって…小さい頃の写真恥ずかしくて…」
「ふふっすっごい可愛かった。」
「むぅ…そう?…なら、ま、いっか。」
「ソレはいいよ。ただ…こっちは聞かせてほしいけどね?」
そう言って香夜の頬にキスをし、割と大きくなってからも軽々しく香夜に触れている男を指差す。
「そ…それはですね…その…幼馴染といいますか…でも…今は繋がりないし!安心してほしい!」
「ふーん…?でも、気に入らないなぁ…」
「ごめんなさい」
「うん…許す。けど…代わりに香夜チューして?」
「え…?うん」
顔を近付ければ、本当に唇が触れるだけの可愛らしいキスをしてくれる。可愛いけれど…そんなのじゃ足りない。もっと…もっとほしい。香夜の全部が。顔を引こうとする香夜の頭を掴んで、引き止め舌を絡める。
息を乱している香夜を抱きしめながら、写真でキスされていた香夜の頬を食む。柔らかい。しばらくはむはむしていると、照れてしまったらしい香夜に胸を押される。
「も、もうだめ!!」
「ん…わかったよ。また後でね。」
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