115 / 137
114
しおりを挟む……………
……………………
どうやら香夜は眠ってしまったらしい。静かな部屋に香夜の寝息だけが響く。何やら写真を見せるという話をしてから挙動不審だった香夜が昼寝をしないかと誘ってきた。取り敢えず、香夜の目論見通り眠ったふりをしてみれば、香夜が俺が眠ったところで動き出す。アルバムに手を伸ばしていたらしい。先程香夜が手を伸ばしていたアルバムを手に取る。
俺に見せたくないものでもあるのか…?そんな疑いの気持ちを押し殺して、アルバムを開く。
そこには可愛らしい幼い女の子がいた。
いや…正確には女の子の服を着せられている香夜がいた。とても可愛らしい。ふっくらとした頬、白くて柔らかそうだ。そしてクリクリとした目がニッコリと笑う事で細められている。ピンク色の唇もふわふわと柔らかそうに見える。
くまなくガン見して、それからそっと自分のスマートフォンを取り出した。後で香夜の両親に頼んで焼き増しして貰おうと決意を固めつつ、いつでも見られるようにパシャパシャと写真を撮っていく。
そしてページをめくる。そして愕然とした…。幼い香夜の頬に…唇を押し付けている野郎がいたのである。クソが…。幼い頃のこととはいえムカつく。だからといって香夜の大切な写真を傷付ける訳にもいかず、悶々とした気分を抱えたまま、先程の写真を出来るだけ見ないようにページめくる。
それからも先程の男は度々登場してきて苛ついたが、香夜の成長していく様を見たいという欲には勝てず、次々とページめくっていった。女物の服を着ていたのは本当に幼い頃だけのようで、小学生になる頃にはTシャツに半ズボンといういかにも小学生男子らしい格好をしていた。
満面の笑みを浮かべている写真の中の香夜。俺に見せた顔ではないということに少しだけ嫉妬を覚えつつ、可愛らしい香夜の姿に癒やされた。
「むぅ……ふにゃあ…しゅや…?」
「…ん?起きたの?おはよ」
「……あ…」
「ん?」
「ああぁぁぁ!!!!見ちゃったの!?」
「ん、見たけど。なに?俺に隠し事?」
「い、いや…その…だって…小さい頃の写真恥ずかしくて…」
「ふふっすっごい可愛かった。」
「むぅ…そう?…なら、ま、いっか。」
「ソレはいいよ。ただ…こっちは聞かせてほしいけどね?」
そう言って香夜の頬にキスをし、割と大きくなってからも軽々しく香夜に触れている男を指差す。
「そ…それはですね…その…幼馴染といいますか…でも…今は繋がりないし!安心してほしい!」
「ふーん…?でも、気に入らないなぁ…」
「ごめんなさい」
「うん…許す。けど…代わりに香夜チューして?」
「え…?うん」
顔を近付ければ、本当に唇が触れるだけの可愛らしいキスをしてくれる。可愛いけれど…そんなのじゃ足りない。もっと…もっとほしい。香夜の全部が。顔を引こうとする香夜の頭を掴んで、引き止め舌を絡める。
息を乱している香夜を抱きしめながら、写真でキスされていた香夜の頬を食む。柔らかい。しばらくはむはむしていると、照れてしまったらしい香夜に胸を押される。
「も、もうだめ!!」
「ん…わかったよ。また後でね。」
28
お気に入りに追加
1,290
あなたにおすすめの小説
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈
めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。
しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈
記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。
しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。
異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆!
推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!
十七歳の心模様
須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない…
ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん
柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、
葵は初めての恋に溺れていた。
付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。
告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、
その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。
※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。
【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)
夏目碧央
BL
兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。
ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる