113 / 137
112
しおりを挟む過剰とも言えるくらいの歓迎っぷりで、家に迎えてくれた両親に引いてはいないかと思ったけど、どうやら秋夜はそういったことには寛容だったようで、平気そう…むしろ少し嬉しそうに受け入れている。
そして、両親の暴走は部屋の飾り付けだけにとどまらず、まだ用意をしていたらしい。部屋に入ったときから、匂いはしていたんだけど…。
…料理である。何が好きか分からなかったからという理由で、机の上に所狭しと並べられた料理の数々。よくよく見てみれば、並んでいるのは、両親の好きなものが半分以上を占めている。そして各々の好きなものを秋夜にひたすら勧めている…。
好物の押し付けはやめなよ!?全く仕方のない人たちだ…。
「もう!秋夜に自由に食べさせてあげてよ!なんのために準備したのさ!秋夜にまたここに来てほしいなら、もうやめてよね!」
「む…す、すまん…父さんついつい嬉しくてな…ごめんな秋夜くん…」
「私もごめんなさい…家族が増えるなんて嬉しくてね?それにこんなにも格好いい子だったものだから…ついつい…」
「いえ、仲が良さそうで…楽しいですよ。歓迎してもらえるのもとても嬉しいです」
ところで…まだ食べてないけど…秋夜は食べられるのかな?両親にちゃんと伝えておくべきだった。失敗したなぁ…秋夜の服をちょんちょんと引っ張って二人で一旦リビングを抜け出す。両親には適当にトイレだと言っておいた。
「秋夜ご飯食べられる…?無理しなくていいし、なんなら俺が作るから」
「んー…まだ食べてないけど、大丈夫だと思う。美味しそうって思ったし」
「でも…」
「それに、ね、香夜がどんなもの食べて、香夜の身体が出来たのか知りたいなって。駄目?」
今のセリフ、なんか…なんかえろ…いや、そんなことない…。俺がヤバイだけ…あぁ俺、頭おかしいかも。でも食べられる、のか。ちょっと嫉妬…するかも…。秋夜の食べれるご飯は俺のだけってちょっと優越感あったのに。ぐぬぬ…親にまで嫉妬するとか…
「い、いや…駄目じゃない。無理しなくていいからね…あとその配慮が足りなくてごめん。」
「ふふっ気にしなくていい。大好きだよ香夜。香夜のご両親も良い人だね。まだあったばっかりだけど分かったよ。」
「そう?まぁ…良い人たちだよ。ちょっと脳天気なところあるけどさ」
「ん、楽しそうだね」
「秋夜、意外とああいう感じのがいいの?」
「んー?そうだね…香夜を育ててくれた人たちだから。好きだよ。俺も」
「もう…恥ずいって…」
「んふふ、戻ろっか」
「うん」
食卓に戻って、和気藹々と話しながらご飯を食べた。両親が食べる秋夜をガン見するものだから、少し食べにくそうにはしていたけど、本当に普通に食べていたので安心した。美味しいって食べてて、またちょっと嫉妬したのは…ナイショ…。
28
お気に入りに追加
1,290
あなたにおすすめの小説
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈
めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。
しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈
記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。
しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。
異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆!
推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!
十七歳の心模様
須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない…
ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん
柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、
葵は初めての恋に溺れていた。
付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。
告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、
その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。
※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。
【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる