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しおりを挟む3回目の点前は三野瀬さんが行う。客席には咲人さん、鳴海、シオンさんが座る。俺はまた裏方だ。秋夜さんも、春夜さんも神谷さんもいる。春夜さんはどうやらシオンさんのことが心配らしい。じっと見つめているからね。
「そんなに心配なんですか?」
「まぁねぇ…Ωと友達になったの香夜ちゃんが初めてだったんだぁ。シオン」
「なるほど…?」
「シオンは自己中心的なところあるから。」
「そうなんですか?俺にはそうは見えなかったですけど…」
「香夜、そんな奴と話さないで俺と話そう?」
二人で話していると後ろから俺を抱き締めていた秋夜さんが割り込んでくる。どうやら俺が秋夜さんを放っておいているのがお気に召さなかったらしい。
「秋夜さん、嫉妬ですか?かわいいです」
「かわいくない…」
「本当に独占欲強いよな。今まで誰にも見向きもしなかったのが嘘みてぇだぜ。」
「みっともないよぉ秋夜。いくら香夜ちゃんが俺と話すの楽しそうだからってさぁ。邪魔しないでよねぇ」
「凰李も春夜もうるせぇ。」
ドスを効かせた声で秋夜さんが怒るが、怒られた二人はどこ吹く風といった体で、飄々としている。二人とも慣れてるんだろうな。
「まぁでもホントに良かったぜ。お前に番が出来てよ。このままずっと孤独なまま生きていくんじゃねぇかと思ってたからよ。」
「ホントだよねぇ。秋夜ってば誰も寄せ付けなかったし。香夜ちゃんのおかげでちょっとは改善したみたいだけどさ。」
「黙れよ」
「秋夜さん、駄目ですよ、そんなふうに言ったら。お二人とも秋夜さんのこと心配してくれてたんですから」
「…こいつらは心配なんかしねぇ。」
「…そうなんですか?」
「いやいや、秋夜の言うことに揺らぎすぎだろ!?もっと俺らのこと信じてくれてもいいんじゃねぇ?」
「そうだよぉ。俺だって心配くらいするよぉ。秋夜への信頼が厚いのはわかったけどさぁ。」
「俺だけ信じて香夜」
俺の目をじっと見つめてくる秋夜さんの紫の美しい煌めきを持つ瞳に簡単に負ける。俺秋夜さんの全部が好きすぎるんだよなぁ。こんなに純粋に懇願されたら叶えてあげたくなっちゃうじゃんね。
「ええと…はい」
「そこは断れよ!!秋夜の言う事ならなんでも信じんのかよ?」
「取り敢えず信じます。秋夜さんが俺に嘘つくなんて何か理由があるのかもしれないですし!」
「ああ…この子ホントに秋夜に毒され過ぎてるねぇ…」
「おう、手遅れか…」
手遅れって失礼な!と思うけど…多分間違っていないだろう意見に口をつぐんだ。はっ!!お菓子運ばないと!
「お菓子運んできます!」
「ん、行ってらっしゃい」
「いってきます!」
つつがなく進められていた点前はもうすぐお茶が点て終わるところまで来ていた。うん、喋るのに夢中になりすぎたね。
「ごめんなさい!喋ってたら遅れました!」
「いいよ!」
「いいよーかぐちゃんのそういう抜けてるところも好きだし!」
「そうそう!僕らもお喋りに夢中だったしね!」
「ありがとうございます!」
裏に戻ればちゃんとお茶がたてられていて、神谷さんが鳴海の分を、春夜さんがシオンさんの分を点てたらしい。菓子器を下げに向かった後は、俺の役割は終了だ。楽しかったなぁ。みんなでやるお茶会!
みんなも仲良くなれたみたいだし!良かったな!
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