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しおりを挟む学校で教室に入れば、鳴海がぽつんといるだけだった。学校に向かう途中も特に人はまばらにしかいなかったけど。ひとりぼっちで座っている背中はちょっと寂しそうに見えて、明るめの声を意識して出した。
「鳴海!おはよ!」
「おはよう!!かぐちゃん!」
あいさつをして、返してくる鳴海が笑顔で返してくれたので良かった!凹んでるとかそういうことではなかったみたいで。
「他の人全然いないんだね。まだ早かった?」
「うーん、なんでだろ?そうでもないと思うんだけど。茜と藍は発情期だって聞いてるけどさ。」
「じゃあ今日いないんだ…。寂しいね」
「そうだね…ってかぐちゃんのボディーガードがいないじゃん!!」
「そう…だね。でも、春夜さんとシオンさんには会ったけど、そっちは大丈夫だって秋夜さんが」
「そうなの?…んー…でも他もいるよね…危ないよ!」
「そう?大丈夫だと思うけど…」
「一応副総長に連絡しなよ」
「ん、わかったよ」
学校で危ない目に合うことがあるか分からないけど…用心しておくに超したことはない。というわけで、鳴海に言われるがまま、秋夜さんに連絡を入れる。結局秋夜さんも心配だと言うので、他の人を寄越すと言っていた。
「僕の知ってる人かな?まぁだいたい知り合いだから大丈夫だと思うけどね!」
「そうなんだ。秋夜さんも鳴海も知り合い多いよね」
「そう?何年も通ってたらそんなもんだよ」
「あー…確かにそうなのかも」
「そういえば、rionの総長に会ったってさっき言ってたけど…最近はrionも荒れてるみたいだね。総長に番が出来たとかって聞いてたけど…本当だったんだね!あの人ガード固いからなかなか調べるのも大変でさ」
「へー…色々あるんだね…」
「まぁねー!かぐちゃん、rionのにも気をつけるんだよ。秘密主義の総長だから、番も誰かわかってないからさ。もし会ってるのとか見られたら番だって勘違いされて、虐められたり絡まれたりするかもだから」
「ふーん…そうなんだ。気をつける!」
「うん!」
春夜さんって秘密主義なんだ…なんか普通に番に会わせてくれたけどね…。まぁ…秋夜さんが居たからっていうのが大きいんだろうけど。っていうか鳴海って本当に色々知ってるな。
逆に俺知らないことばっかりでやばい…。第二の性についても全然知らないこと多いけど、この学校についてもちゃんと知っておいた方がいいのかもな…。嫌な目に合いたくないし…。
でもなぁ…この学校について知らないことって…めちゃめちゃあるんだよな…。勢力的にはrionとGRACEに別れてて…それ以外のことって全然わかってないし…。
鳴海が教えてくれたところによると、未だに番を得ていない有力なαには、αの番になりたいと願うΩが集っていて、ハーレムが形成されているんだって…。αは相手を選ぶつもりがなければ、気まぐれに、ハーレムのΩの発情期の相手をしてあげる…といったことがあるようだ。
もちろん秋夜さんにもこれがあった訳だが…俺が来たことで一気に解散に追い込まれた訳だ…。元々秋夜さんはΩの相手をすることはなかったみたいだけど。
なるほどねー…知らないΩに睨まれる訳だ…。
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