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しおりを挟む秋夜さんと別れて、茜くんと鳴海と一緒に次の授業に向かう。会う先生、会う先生に課題を手渡された。これを提出すれば休んだ分は補えるらしい。穴埋め問題が並んだプリントだ。うん、まったくわからない。
「手伝ってあげる!いつも同じようなやつだし、答えわかるから」
「ありがと!鳴海!助かる!」
「うん!じゃあ答え言ってくから、書いてって」
「うん!」
鳴海に答えを教えてもらって課題を終えると、さっさと提出する為に教員室へ向かった。1階の真ん中あたりにあるはず。一度行ったことがあるから一人で行けると出てきたけど、やっぱり…迷ったぁー!!
はぁ…歩けばそのうちたどり着けるだろう…。きっと…たぶん…。
もう数十分彷徨い歩いているけれど、一階だけでも果てしなく広い…。誰かに聞けるといいんだけどな。誰も居ないんだよなぁ。さっきチャイムなってたし、授業始まってるからな。
「だれかー…って誰も居るわけないよなぁ。」
そんなつぶやきにまさか答えが返ってくるなんて思っていなかった。けれど後ろから声がかかったのだ。
「いるぜ!お前、この間は悪かったな。」
「わぁ!!え?………あ!秋夜さんの部屋で会った…」
びっくりして、驚きの声を情けなく上げながらも後ろを振り返る。悪かったなと声をかけられたけど、心当たりはなかった。声をかけてきたその人をマジマジと見つめて思い出す。そうだ!前に秋夜さんの部屋に来た人!
「おう!」
「えっと…」
「GRACEの総長やってる#神谷凰李_かみやおうり_#だ。よろしくな」
「あ、はい!如月香夜です!よろしくお願いします!」
「で、こんなとこで何してんだ?サボりか?」
「あ!えっと、教員室へ行こうとしてたんですけど…その…迷いました…」
「…マジか…」
「マジです…」
「…ま、とりあえず教員室行くか。」
「連れて行ってくれるんですか?」
「おう、この間の詫びも兼ねてな。案内してやる。」
「ありがとうございます!」
良かったぁ案内してくれる人に会えて…割と迷ってたし。歩き始めた途端、スマホからコール音が鳴る。
プルルルル
ん?電話がかかってきてる。
「出ていいぞ」
「ありがとうございます!じゃあ失礼して」
「もしもし!かぐちゃん?戻ってこないから何かあったのかと思ったんだけど…」
「もしもし、鳴海、ごめん迷っちゃって…今は親切な人と一緒にいるから大丈夫」
「親切な人?そんなに怪しいことないでしょ!!ソイツの名前は?」
「えっと…神谷さん。」
「神谷?神谷凰李?」
「え?うん…そうだけど。知り合いだったの?」
「…まぁ…あー…凰ちゃんに代わってくれる?」
「え?うん…あの、代わってほしいって鳴海が」
「おう、ノアどうした?」
「その子僕の友達だから丁重に扱ってね!!絶対!!」
「…わかってる…ノアの友達じゃなくても秋夜の大事な奴だしな。」
「ん!わかってるならよろしい!僕と同じクラスだから。ちゃんと送り届けてね!」
「おう、わかった」
神谷さんが電話を切ると、こちらへ返してくれた。そして歩き始める。最初の印象があったから怖い人なのかと思っていたけど、話してみると普通に話してくれるし、それなりに話も弾んでいた。
「おい」
低い声でそう呼び止められるまでは…
「あ?…なんだ秋夜か。」
「秋夜さん」
「お前らなんで二人でいんの?いつの間に知り合ったわけ?」
「えっと、さっき迷ってたところで会いまして、今は案内してもらっていたところです」
「ふーん、随分楽しそうだったね」
「なんだ?嫉妬か?俺にはノアがいるってのに。嫉妬深いのな」
「うるさい。黙れよ」
「…ぐぅ…威圧してんじゃねぇ…よ…」
「香夜、行くよ」
「え?あ、はい。」
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