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しおりを挟むαとΩ
そんなの自分には関係ない、遠い世界のことだと思っていた…。
ずっと自分はβだと思って生きてきたし、実際小学校の頃のバース性検査はβとなっていた。Ωってαを誘惑するために、華奢でとても顔立ちの整った人がとても多い。俺は平凡な顔だったし、両親もβだったから、自分もβだと信じて疑わなかった。
それが中学3年の卒業を間近に控えた頃、突然の発情期によって全てが崩れさった。家にいるときに起こったから、大事にはならなかったけど、俺もパニックだし両親も慌てふためいて、大変だった。
とりあえず、市販の抑制剤を飲んで発情期を耐えた。それでも身体が熱くなって、自分のソコを触りたくて、更にはその奥の穴をぐちゃぐちゃに掻き回したかった。
自分の中からそんな衝動が溢れてくるのに驚いた。そして、αが欲しいと思ってしまったことで、自分がΩなのだという自覚が芽生えた。
発情期が終わって、とりあえず慌てて病院に再検査をしに行った。
結果は勿論Ω。
「そう、香夜Ωだったのねぇ。」
「平凡で知られる如月家からまさかΩが出るとはなぁ、良かったな、お前が如月家初のΩだぞ!ハッハッハ、何事もなくて良かったな!」
「はぁ…」
そこまではまだよかった…
いや、良くはないけど、両親もあっさりとΩだと受け入れてくれた。βにはΩを嫌悪して差別する人もいるからな。
俺が溜息をついているのは、両親が脳天気だとかそんな理由ではないのだ!
簡潔に言えば、進学先がなくなった。
俺は元から頭が悪かったために、必死に勉強した末、βの底辺校の合格をもぎ取っていた。しかし、Ωになったことで、合格取り消しの憂き目にあったのだ。
結果、俺に取れる選択肢はひとつだけに絞られた。αとΩの出会いの為の場所。αとΩのみが通うことを許される。というか、ΩはΩであるだけで受かる学園だ。ちなみに男子校。
女子校も別に存在している。もちろん男女共学もあるけれど、女の子に犯されるのは…ね。うん。なんとなく抵抗があったのでやめた。
仕方無しにその全寮制学園に入れるように、渋々手続きを行った。無事入学することが出来ることになった。家から持っていく荷物の準備に追われる日々が続いた。
そして迎えた入寮日。俺は馬鹿でかい校舎と寮舎を前に唖然としていた。αが集まるだけあって、豪華な造りをしている。あぁなんて場違いなんだ…。
制服の受取は、入寮時になっていたので、今は私服なのだ。パーカーにジーンズというラフな格好で来たことを少し後悔した。
寮舎に来るまでも、門から距離があり過ぎてもう疲れ果てた。まだ少し肌寒い季節なのに、歩いたせいで汗もかいている。けれど、今更着替えることは出来ないので、覚悟を決めて、寮舎に入る。辺りはシーンとしていて、誰もいない。
案内を改めて見ると、寮長の部屋に行くようにと書かれていた。寮長さんの部屋は、入り口からあまり遠くないところに在るみたいだ。
ドア横のチャイムを押してみる。……出ない。もう一回…出ない!!諦めずに何度も押す。最後はもはや連打する勢いで押していた。
「なんだよ!!うるっせぇよ」
ドアが開いたと思ったら怒鳴りつけられる。出てきたのは上裸の見事な青髪の人。耳にもバッチリとピアスが…。不味い…これは不良様では?それならばやることは一つ!躊躇わず土下座だ!
「ごめんなさい!!今日が入寮日でして…」
「ん?ああ、聞いてる。怒鳴って悪かった。とりあえず立ちなよ。」
「あ、はい」
「というか、俺の方こそ悪かったな。イタズラかと思ってよ。」
「あ、いえ…俺もやり過ぎました。ごめんなさい。」
「俺は藍(あおい)。よろしくな。」
「あ、俺は如月(きさらぎ)です。よろしくお願いします。…ところで何故裸なんでしょうか…?」
「ん、さっきまでヤッてた。」
「…それは大変お邪魔しました。」
「いや、仕方ないだろ。お前何も持ってねぇし。知らねぇし。」
「はい、ほんとに何も分からなくて…」
「ちょっと待ってろ。とりあえず、アイツに服着せてくるわ。」
「…はい…」
高校って…なんて大人な世界なんだ…
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