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姉のオードリーとわたしは、二卵性双生児である。
姉は美しくて気高く、背が高くて最高のプロポーション。性格は、やさしくて気遣い抜群で聡明で社交的で積極的。さらには、前向きで努力家でもある。彼女は、ありとあらゆる長所を供えている。
一方、妹のわたしは姉とはまったく異なる。姉とは、外見も内面もまったく違う。
双生児でありながら、これだけ違うといっそ清々しい。年齢の離れた姉妹でさえ、ここまで違うことはないかもしれない。姉とわたしの共通点は、同じ性別で同じ親だということくらい。
外見内面ともに完璧なのが姉。外見内面ともにダメダメなのがわたし。
しかし、わたしは知っている。そんな完璧な姉にもダメなところがあるということを。
とはいえ、両親や世間には姉のダメなところも可愛く見えるみたい。
だれもが完璧な姉のイメージに暗示にかかっているのだ。
ダメな部分もよく見せる、という暗示に。
それはともかく、わたしはそんな完璧な姉をいつも遠くから眺めていた。けっしてそばには近づかず、そっと見守っていた。
わたしのような「残りカス」が側にいたら、姉に迷惑をかけてしまう。
そう。世間からすれば、わたしはまさしく「残りカス」。姉にいいところを全部持っていかれた、どうでもいい存在。
産まれてからずっとチヤホヤされ、尊ばれ、頼りにされ、大切にされてきた姉と対極をなすわたしは、両親にさえ「残りカス」や「余りもの」や「どうでもいい存在」と思われている。両親だけではない。姉からも。そして、世間からも。
いつも視線が痛い。痛すぎる。蔑すまれ、ないがしろにされてきた。
わたしは、そのような中で生きてきた。
結果、すっかりひねくれ、いじけ、ひがみっぽくなった。
よりいっそうダメになってしまった。
だれかのせいにするつもりはない。結局はわたし自身の弱さによるものだから。なににたいしても臆病だから。
姉のせいにすることなど、けっしてない。
たとえわたし以外の人には完璧な姉が、わたしにだけはひどい姉だとしても……。
姉は美しくて気高く、背が高くて最高のプロポーション。性格は、やさしくて気遣い抜群で聡明で社交的で積極的。さらには、前向きで努力家でもある。彼女は、ありとあらゆる長所を供えている。
一方、妹のわたしは姉とはまったく異なる。姉とは、外見も内面もまったく違う。
双生児でありながら、これだけ違うといっそ清々しい。年齢の離れた姉妹でさえ、ここまで違うことはないかもしれない。姉とわたしの共通点は、同じ性別で同じ親だということくらい。
外見内面ともに完璧なのが姉。外見内面ともにダメダメなのがわたし。
しかし、わたしは知っている。そんな完璧な姉にもダメなところがあるということを。
とはいえ、両親や世間には姉のダメなところも可愛く見えるみたい。
だれもが完璧な姉のイメージに暗示にかかっているのだ。
ダメな部分もよく見せる、という暗示に。
それはともかく、わたしはそんな完璧な姉をいつも遠くから眺めていた。けっしてそばには近づかず、そっと見守っていた。
わたしのような「残りカス」が側にいたら、姉に迷惑をかけてしまう。
そう。世間からすれば、わたしはまさしく「残りカス」。姉にいいところを全部持っていかれた、どうでもいい存在。
産まれてからずっとチヤホヤされ、尊ばれ、頼りにされ、大切にされてきた姉と対極をなすわたしは、両親にさえ「残りカス」や「余りもの」や「どうでもいい存在」と思われている。両親だけではない。姉からも。そして、世間からも。
いつも視線が痛い。痛すぎる。蔑すまれ、ないがしろにされてきた。
わたしは、そのような中で生きてきた。
結果、すっかりひねくれ、いじけ、ひがみっぽくなった。
よりいっそうダメになってしまった。
だれかのせいにするつもりはない。結局はわたし自身の弱さによるものだから。なににたいしても臆病だから。
姉のせいにすることなど、けっしてない。
たとえわたし以外の人には完璧な姉が、わたしにだけはひどい姉だとしても……。
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