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番外編2
次世代たち 2
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「お兄様、このことはもうジェーンにお伝えに?」
「まだだよ。最初に伝えるのは殿下とアリシアだと決めていたんだ。ジェーンとロバートにはこの後文を書く」
「それがよろしいですわ。絶対に喜びますもの」
「そうだね。特にジェーンには気を遣わせてしまったから」
レオナルドが視線を落として微笑む。
それを見たアリシアは、レオナルドとディアナが既に知っているのだと悟った。
つい最近、同じようなことがあったのだ。
その時レイヴンとアリシアの向かいに座っていたのはノティスとジェーンである。
第一子を身籠った報せだった。
レオナルドたちと同じようにノティスと手を取り合うジェーンからは幸せが溢れていたけれど、申し訳なさそうな、心苦しいような雰囲気も同時に感じられた。
あれは先に婚姻を結びながらもまだ子に恵まれないディアナを慮ったからなのだろう。アリシアのことを知っているので慎重になったはずだ。
だけど隠していても時間が経てば子は生まれてくる。
ならばおかしな形で知られるよりも直接伝えることを選んだのだろう。
「あちらは他にも問題を抱えているしね。そのことについて、公爵家でも対策を考えているんだ」
「ありがとうございます。ジェーンも心強いでしょう」
アリシアがホッと息を吐く。
そう、ジェーンの方には大きな問題があった。
デミオンとアンジュのことである。2人は国王から処罰を受け、キャンベル侯爵家の敷地から出ることを禁じられている。
あの時は、継承権の問題があったのであれが最善の策だった。
だけどジェーンが侯爵位を継いだ今、同じ敷地にいることが懸念材料になる。
同じ敷地にいるといっても2人は使用人棟に住み、アンジュは部屋から出てこない。デミオンも本邸に近づくのは食事を取りに来るときだけだ。
だけどジェーンに対し、強い憎しみを抱いているだろう。
もしこのまま子が生まれたら、その存在は必ず2人の知るところになる。
逆恨みをしたデミオンが、子を傷つけないと言えるだろうか。
いや、アリシアの知るデミオンなら躊躇いなく子を害するはずだ。
「ジェーンもノティス殿も普段は領地の邸にいますから特に問題ありませんが、社交界に全く顔を出さないわけにもいきませんし、年に数度は必ずタウンハウスを訪れます。あの邸はあのまま、王都で他の邸を購入しようかという話もあったようですが、侯爵家はまだそれほど余裕があるわけではありませんし、何よりあの邸は代々の当主が受け継いできたものです。それなのにジェーンが出ていくなんて納得できません」
同じことをジェーンも言っていた。
何よりあそこはサンドラとの思い出が多く残っている。その邸を実質的にデミオンやアンジュに引き渡し、自分は新居に移るなんて、簡単に飲み込むことはできなかった。
だからといって子が自分の身を守れるようになるまで社交界に顔を出さないわけにもいかない。人脈を繋ぐのも貴族として領地を守る為に重要な役目だ。幼い子を領地に残して王都に出るのも気が進まない。
どうしたら良いものか、2人は考えあぐねていた。
「父上が……いや、陛下が、処罰の内容を変えようか思案していた。蟄居場所を王都の侯爵邸敷地内ではなく、侯爵領の邸内に…。それなら領内の僻地に小屋を建てて2人を住まわすこともできる。だけど一度決まった処罰を特定の貴族の都合の良いように変えるのは、他の貴族たちから反発を受けると言って、ジェーン自身が拒否したんだ」
「そうですね。その話はジェーンから聞きました。確かに陛下とサンドラ殿との間に事情があると皆が知っているとしても、特定の家を優遇し続けるのは反感を招きます。この件に関して陛下ができることはないでしょう」
国王はノティスが婿入りする時に相場より多額の持参金を持たせている。
そこにキャンベル侯爵家への慰謝料が含まれていることを皆知っているから、国王から侯爵家への償いは終わったことになっているのだ。
今後国王にできることは、子が生まれた時に十分な祝いをするくらいだろう。国王にとって孫でもあるので、可愛がってやることもできる。
「これは父と話したことなのですが、侯爵家の敷地の奥に小さな家を建ててデミオンとアンジュを移してはどうか
と考えています。洗濯のできる水場と庭を残して周囲を塀で囲み、そこから出られないようにするのです」
「まあ、家を?」
「そう。僕たちが遊んだあの家みたいな、ね」
レオナルドが言う家は、ジェーンの花園があったあの敷地の家だろう。
元は侯爵家の当主が愛人を囲う為に作った家だ。1人で生活できるように台所も浴室も厠も備え付けられている。
本邸の人間と接触しないように塀で仕切られていたのも同じだった。
「デミオン殿が本邸に食事を取りに来なくて良いように食事を運ぶ者を1人決めなくてはならないが、ジェーンやジェーンの子の為ならそれくらい喜んでやる者ばかりだ。この案で進むと思う」
「良いと思いますわ。あまり日もありませんし、急ぎませんと」
子が生まれるまでに数ヶ月掛かる。
だけどその前の、ジェーンの腹が目立つ前に2人を離れに移してしまいたかった。子が宿ったこと自体を2人には知られたくない。
「そうだね。ジェーンへの文にはこの案も載せることにするよ。すぐに話は進むと思う」
アリシアは頷いた。
急いで金と人を動かすには侯爵家ではまだ十分な伝手があるとは言い難い。今回のことは後見として公爵家が主導することになるだろう。その方がアリシアも安心できる。
「よろしくお願いします、お兄様」
アリシアが軽く頭を下げる。
レオナルドはにっこり笑って頷いた。
その後はまた軽い話題に戻った。
ディアナは妊娠生活中に気をつけることを知りたがり、アリシアは悪阻や食の好みが変わることを話す。
食べたいもの、食べられる味付けを遠慮なく言うように伝えると、ディアナだけではなくレオナルドも真剣に頷いた。2人も以前の痩せ細ったアリシアを知ってるので、重要なことだと思ったようだ。
「偶然とはいえジェーンの子とうちの子は同じ歳だ。アリシアとジェーンのように仲良くなれると良いな」
「そうですね……。少し羨ましいですわ」
クロウは既に2歳になり、マーレットはもうすぐ1歳になる。
勿論歳が離れていてもアリシアたちはレオナルドやロバートと仲良くなれたし、4人の絆は今も固く結ばれている。
だけどジェーンと一緒に通った学園は本当に楽しかったのだ。
クロウやマーレットにも同じような友人がいて欲しい。
「お2人は王族なので友人を見極めるのは大変だと思うけど……。きっと信頼しあえる友人と出会えるよ」
「そうだよ。僕もレオナルドやマルセルと出会えたしね」
アリシアの隣でレイヴンが笑う。
確かに学園で出会ったマルセルとレイヴンは良い友人になっていた。
途中、アリシアの想いのせいで疎遠になっていたけれど、その友情はまた復活している。
アリシアはレイヴンと目を合わせると、「そうですね」と微笑んだ。
「まあ、今からなら同級生になる子もまだ間に合うんじゃない?」
「お兄様!」
レオナルドのからかう声にアリシアが顔を赤く染める。
どっと笑い声が起きて、重い空気はすっかり消えていた。
このふた月後、本当にアリシアの懐妊がわかるのだが……。
それはまた別の話。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
「次世代たち」はナンバリングのある話なので、しおりを挟んでくださった方には申し訳ありませんが順番に並ぶよう「~IFストーリー~ クリスマスの贈り物」と入れ替えました。
ごめんなさいm(_ _)m
「まだだよ。最初に伝えるのは殿下とアリシアだと決めていたんだ。ジェーンとロバートにはこの後文を書く」
「それがよろしいですわ。絶対に喜びますもの」
「そうだね。特にジェーンには気を遣わせてしまったから」
レオナルドが視線を落として微笑む。
それを見たアリシアは、レオナルドとディアナが既に知っているのだと悟った。
つい最近、同じようなことがあったのだ。
その時レイヴンとアリシアの向かいに座っていたのはノティスとジェーンである。
第一子を身籠った報せだった。
レオナルドたちと同じようにノティスと手を取り合うジェーンからは幸せが溢れていたけれど、申し訳なさそうな、心苦しいような雰囲気も同時に感じられた。
あれは先に婚姻を結びながらもまだ子に恵まれないディアナを慮ったからなのだろう。アリシアのことを知っているので慎重になったはずだ。
だけど隠していても時間が経てば子は生まれてくる。
ならばおかしな形で知られるよりも直接伝えることを選んだのだろう。
「あちらは他にも問題を抱えているしね。そのことについて、公爵家でも対策を考えているんだ」
「ありがとうございます。ジェーンも心強いでしょう」
アリシアがホッと息を吐く。
そう、ジェーンの方には大きな問題があった。
デミオンとアンジュのことである。2人は国王から処罰を受け、キャンベル侯爵家の敷地から出ることを禁じられている。
あの時は、継承権の問題があったのであれが最善の策だった。
だけどジェーンが侯爵位を継いだ今、同じ敷地にいることが懸念材料になる。
同じ敷地にいるといっても2人は使用人棟に住み、アンジュは部屋から出てこない。デミオンも本邸に近づくのは食事を取りに来るときだけだ。
だけどジェーンに対し、強い憎しみを抱いているだろう。
もしこのまま子が生まれたら、その存在は必ず2人の知るところになる。
逆恨みをしたデミオンが、子を傷つけないと言えるだろうか。
いや、アリシアの知るデミオンなら躊躇いなく子を害するはずだ。
「ジェーンもノティス殿も普段は領地の邸にいますから特に問題ありませんが、社交界に全く顔を出さないわけにもいきませんし、年に数度は必ずタウンハウスを訪れます。あの邸はあのまま、王都で他の邸を購入しようかという話もあったようですが、侯爵家はまだそれほど余裕があるわけではありませんし、何よりあの邸は代々の当主が受け継いできたものです。それなのにジェーンが出ていくなんて納得できません」
同じことをジェーンも言っていた。
何よりあそこはサンドラとの思い出が多く残っている。その邸を実質的にデミオンやアンジュに引き渡し、自分は新居に移るなんて、簡単に飲み込むことはできなかった。
だからといって子が自分の身を守れるようになるまで社交界に顔を出さないわけにもいかない。人脈を繋ぐのも貴族として領地を守る為に重要な役目だ。幼い子を領地に残して王都に出るのも気が進まない。
どうしたら良いものか、2人は考えあぐねていた。
「父上が……いや、陛下が、処罰の内容を変えようか思案していた。蟄居場所を王都の侯爵邸敷地内ではなく、侯爵領の邸内に…。それなら領内の僻地に小屋を建てて2人を住まわすこともできる。だけど一度決まった処罰を特定の貴族の都合の良いように変えるのは、他の貴族たちから反発を受けると言って、ジェーン自身が拒否したんだ」
「そうですね。その話はジェーンから聞きました。確かに陛下とサンドラ殿との間に事情があると皆が知っているとしても、特定の家を優遇し続けるのは反感を招きます。この件に関して陛下ができることはないでしょう」
国王はノティスが婿入りする時に相場より多額の持参金を持たせている。
そこにキャンベル侯爵家への慰謝料が含まれていることを皆知っているから、国王から侯爵家への償いは終わったことになっているのだ。
今後国王にできることは、子が生まれた時に十分な祝いをするくらいだろう。国王にとって孫でもあるので、可愛がってやることもできる。
「これは父と話したことなのですが、侯爵家の敷地の奥に小さな家を建ててデミオンとアンジュを移してはどうか
と考えています。洗濯のできる水場と庭を残して周囲を塀で囲み、そこから出られないようにするのです」
「まあ、家を?」
「そう。僕たちが遊んだあの家みたいな、ね」
レオナルドが言う家は、ジェーンの花園があったあの敷地の家だろう。
元は侯爵家の当主が愛人を囲う為に作った家だ。1人で生活できるように台所も浴室も厠も備え付けられている。
本邸の人間と接触しないように塀で仕切られていたのも同じだった。
「デミオン殿が本邸に食事を取りに来なくて良いように食事を運ぶ者を1人決めなくてはならないが、ジェーンやジェーンの子の為ならそれくらい喜んでやる者ばかりだ。この案で進むと思う」
「良いと思いますわ。あまり日もありませんし、急ぎませんと」
子が生まれるまでに数ヶ月掛かる。
だけどその前の、ジェーンの腹が目立つ前に2人を離れに移してしまいたかった。子が宿ったこと自体を2人には知られたくない。
「そうだね。ジェーンへの文にはこの案も載せることにするよ。すぐに話は進むと思う」
アリシアは頷いた。
急いで金と人を動かすには侯爵家ではまだ十分な伝手があるとは言い難い。今回のことは後見として公爵家が主導することになるだろう。その方がアリシアも安心できる。
「よろしくお願いします、お兄様」
アリシアが軽く頭を下げる。
レオナルドはにっこり笑って頷いた。
その後はまた軽い話題に戻った。
ディアナは妊娠生活中に気をつけることを知りたがり、アリシアは悪阻や食の好みが変わることを話す。
食べたいもの、食べられる味付けを遠慮なく言うように伝えると、ディアナだけではなくレオナルドも真剣に頷いた。2人も以前の痩せ細ったアリシアを知ってるので、重要なことだと思ったようだ。
「偶然とはいえジェーンの子とうちの子は同じ歳だ。アリシアとジェーンのように仲良くなれると良いな」
「そうですね……。少し羨ましいですわ」
クロウは既に2歳になり、マーレットはもうすぐ1歳になる。
勿論歳が離れていてもアリシアたちはレオナルドやロバートと仲良くなれたし、4人の絆は今も固く結ばれている。
だけどジェーンと一緒に通った学園は本当に楽しかったのだ。
クロウやマーレットにも同じような友人がいて欲しい。
「お2人は王族なので友人を見極めるのは大変だと思うけど……。きっと信頼しあえる友人と出会えるよ」
「そうだよ。僕もレオナルドやマルセルと出会えたしね」
アリシアの隣でレイヴンが笑う。
確かに学園で出会ったマルセルとレイヴンは良い友人になっていた。
途中、アリシアの想いのせいで疎遠になっていたけれど、その友情はまた復活している。
アリシアはレイヴンと目を合わせると、「そうですね」と微笑んだ。
「まあ、今からなら同級生になる子もまだ間に合うんじゃない?」
「お兄様!」
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どっと笑い声が起きて、重い空気はすっかり消えていた。
このふた月後、本当にアリシアの懐妊がわかるのだが……。
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