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第2部 6章
91 招待客
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アリシアがドレス作りに夢中になると、同じ部屋で過ごしていてもレイヴンのことは見てくれなくなる。
マルグリットやデザイナーに取られた気がして少し淋しくなるが、これもレイヴンとの結婚式の為だ。それに寝室へ移った後は2人だけで濃厚な時間を過ごせるので我慢できる。
「あーあっ!あうー」
レイヴンに抱かれたクロウがアリシアへ手を伸ばす。
レイヴンは立ち上がると、クロウをあやしながら部屋の中をゆっくり歩いた。
「母様は今、大切なお話をしているんだ。父様がいるから良いだろう?」
レイヴンが式で着るのは、アリシアと同様に伝統の衣装を模倣した白いタキシードだ。
アリシアのドレスが決まってから、それに合わせて調節をする。衣装に拘りはないので、アリシアの隣に立って似合っていればそれで良い。ただレイヴンの衣装に手がつくのは当分先になりそうだ。
それはクロウも同じだった。
クロウの場合は日々成長しているので、今衣装を作っても半年後には着れなくなっているかもしれない。だからぎりぎりまで待って作ることになっている。
「兄上、代わりますよ」
しばらくクロウと話ながら歩いていたレイヴンだったが、ジェイがクロウを受け取ろうと手を伸ばしている。
ジェイは今までレイヴンの代わりに招待状を書いていたのだ。
「ああ、頼む」
「きゃーあー、んぅー!」
レイヴンがクロウをジェイに渡そうとすると、クロウが大きな声を上げた。
連日顔を合わせているのですっかり懐いて喜んでいるのだ。この後はジェイやアイビスたちがクロウの面倒を見てくれる。
ご機嫌で抱かれていくクロウを見送ると、レイヴンは結婚式の準備に戻った。
アリシアがドレスを作っている間にレイヴンが招待状や教会を飾る花の手配をする。少人数しか招かないので招待状を準備するのはそれほど大変なことではなかった。
レイヴン側の親族として参列するのは国王と王妃、ジェイ、アイビス、ノティスである。カナリーへはサディアスと夫婦で参列してしてもらえるよう招待状を出す。侯爵家へ降嫁したパトリシアにも夫婦で参列してもらえるよう招待状を出すことにしていた。
実は結婚式が決まった後、ユリアの殿舎を訪ねて参列して欲しいと内々に打診していた。
だけどユリアは静かに首を振る。
「パトリシアを招いて下さり、ありがとうございます。ですが私のことは。他の側妃と差をつけすぎるのは良くありません」
側妃が生んだ異母弟妹の中で招くのはパトリシアだけである。それだけでパトリシアは王太子夫妻と親しいと印象付けられる。パトリシアの将来を思うと有難いが、そこにユリアやパトリシアの同母妹まで招いてしまうとせっかく上手くいっている側妃たちのバランスが崩れてしまうというのだ。
確かにユリアの言う通りだろう。
納得したレイヴンたちは、ユリアを招くことを諦めた。
他に招くのは数人の友人である。
レイヴンは学生時代の友人から数人を選ぶ。
そして学生時代の友人といえば――。外せないのはやはりマルセルだろう。
マルグリットやデザイナーに取られた気がして少し淋しくなるが、これもレイヴンとの結婚式の為だ。それに寝室へ移った後は2人だけで濃厚な時間を過ごせるので我慢できる。
「あーあっ!あうー」
レイヴンに抱かれたクロウがアリシアへ手を伸ばす。
レイヴンは立ち上がると、クロウをあやしながら部屋の中をゆっくり歩いた。
「母様は今、大切なお話をしているんだ。父様がいるから良いだろう?」
レイヴンが式で着るのは、アリシアと同様に伝統の衣装を模倣した白いタキシードだ。
アリシアのドレスが決まってから、それに合わせて調節をする。衣装に拘りはないので、アリシアの隣に立って似合っていればそれで良い。ただレイヴンの衣装に手がつくのは当分先になりそうだ。
それはクロウも同じだった。
クロウの場合は日々成長しているので、今衣装を作っても半年後には着れなくなっているかもしれない。だからぎりぎりまで待って作ることになっている。
「兄上、代わりますよ」
しばらくクロウと話ながら歩いていたレイヴンだったが、ジェイがクロウを受け取ろうと手を伸ばしている。
ジェイは今までレイヴンの代わりに招待状を書いていたのだ。
「ああ、頼む」
「きゃーあー、んぅー!」
レイヴンがクロウをジェイに渡そうとすると、クロウが大きな声を上げた。
連日顔を合わせているのですっかり懐いて喜んでいるのだ。この後はジェイやアイビスたちがクロウの面倒を見てくれる。
ご機嫌で抱かれていくクロウを見送ると、レイヴンは結婚式の準備に戻った。
アリシアがドレスを作っている間にレイヴンが招待状や教会を飾る花の手配をする。少人数しか招かないので招待状を準備するのはそれほど大変なことではなかった。
レイヴン側の親族として参列するのは国王と王妃、ジェイ、アイビス、ノティスである。カナリーへはサディアスと夫婦で参列してしてもらえるよう招待状を出す。侯爵家へ降嫁したパトリシアにも夫婦で参列してもらえるよう招待状を出すことにしていた。
実は結婚式が決まった後、ユリアの殿舎を訪ねて参列して欲しいと内々に打診していた。
だけどユリアは静かに首を振る。
「パトリシアを招いて下さり、ありがとうございます。ですが私のことは。他の側妃と差をつけすぎるのは良くありません」
側妃が生んだ異母弟妹の中で招くのはパトリシアだけである。それだけでパトリシアは王太子夫妻と親しいと印象付けられる。パトリシアの将来を思うと有難いが、そこにユリアやパトリシアの同母妹まで招いてしまうとせっかく上手くいっている側妃たちのバランスが崩れてしまうというのだ。
確かにユリアの言う通りだろう。
納得したレイヴンたちは、ユリアを招くことを諦めた。
他に招くのは数人の友人である。
レイヴンは学生時代の友人から数人を選ぶ。
そして学生時代の友人といえば――。外せないのはやはりマルセルだろう。
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