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第2部 5章
45 2回目のデート
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「おかしくないかしら?」
「とても素敵でございますわ。殿下もきっと見惚れてしまわれるでしょう」
1年ぶりに着る簡素なワンピースにアリシアが不安そうな顔を見せる。
デートへ行くのに恋人からどう見られるのか気になるのは当然のことだ。しっかり心得ているエレノアは、にっこり笑ってレイヴンが気に入ると請負った、
元からレイヴンはアリシアなら何でも気に入るので心配する必要がない。
今回レオナルドが用意してくれたのは、青色のワンピースだった。
最近社交界で着ることができなくなっているレイヴンの色である。
青色を際立たせる為か模様は一切入っておらず、その代わりに裾や袖口に花柄のカットアウトがされていた。また、ウエストの部分には艶のある水色のリボンがついていて、それを後ろでキュッと結ぶ。
アリシアの年齢では少し幼いデザインではないかと思わなくもないが、これは所謂変装なのだ。年齢も違って見えた方が良いのだろう。
歩きやすさを第一に考えられたベージュのフラットシューズと合わせると、アリシアの清楚な雰囲気によく合っていた。髪型も服装に合わせてあまり作りこまず、緩く編み込んでサイドに流している。
「今日は楽しみでございますね」
エレノアにそう言われて、アリシアは恥ずかしそうに微笑んだ。
アリシアが何日も前から今日を楽しみにしていたことをエレノアは知っているのだ。
扉を叩く音がしてレイヴンの訪問が告げられる。
エレノアが扉を開くと、花束を持ったレイヴンが部屋へ入って来た。
アリシアを目に留めると目を見開いて動きを止める。
「……おかしいでしょうか」
アリシアがおずおずと声を掛けると、レイヴンが弾かれた様に声を上げた。
「そんなはずない!凄く綺麗だよ、アリシア!」
レイヴンが呆然となったのは見惚れていたからだ。
レイヴンからすれば、アリシアがレイヴンの為に着飾ってくれるだけで嬉しい。それなのに今日は最近見ることができなくなっていたレイヴン色のワンピースを着てくれている。感動せずにいられるわけがない。
「大袈裟ですわ、レイヴン様」
涙ぐむレイヴンにアリシアは苦笑して腕を伸ばし、目元に浮かんだ涙を拭う。
レイヴンはその手に手を重ねると、手のひらに口づけを落とした。
アリシアの手首にはレイヴンとお揃いのブレスレットが揺れている。
「大袈裟なんかじゃないよ。凄く綺麗だし、凄く嬉しい」
「レイヴン様もとても素敵ですわ」
頬を染めたアリシアがレイヴンと目を合わせて微笑む。
レイヴンは濃いベージュのキャンプシャツにオリーブ色のダボっとしたカーゴパンツを履いている。
キャンプシャツはボタンが1つ開けられ、銀色のペンダントトップが見えていた。
レイヴンがカーゴパンツを選んだのは、アリシアが以前の様なパンツは止めて欲しいと頼んだからだ。
言われた時は、「好きじゃなかった?」と青くなったレイヴンだったが、顔を真っ赤に染めたアリシアが小さな声で、「他の女性が見ておられたので……」と言うのを聞いてぱっと顔を輝かせる。
この日、アリシアの可愛い嫉妬に浮かれたレイヴンにアリシアが抱き潰されたのは言うまでもない。
それはさておき、アリシアの嫉妬に浮かれながらも悲しませたくないレイヴンが選んだのが、体形のわかりにくいダボっとしたカーゴパンツだったというわけだ。
レイヴンから差し出された花束を受け取ったアリシアは、香りを楽しんだ後、花束をエレノアへ預ける。
そっと手を伸ばして、レイヴンの胸元のボタンを留めた。
「とても素敵でございますわ。殿下もきっと見惚れてしまわれるでしょう」
1年ぶりに着る簡素なワンピースにアリシアが不安そうな顔を見せる。
デートへ行くのに恋人からどう見られるのか気になるのは当然のことだ。しっかり心得ているエレノアは、にっこり笑ってレイヴンが気に入ると請負った、
元からレイヴンはアリシアなら何でも気に入るので心配する必要がない。
今回レオナルドが用意してくれたのは、青色のワンピースだった。
最近社交界で着ることができなくなっているレイヴンの色である。
青色を際立たせる為か模様は一切入っておらず、その代わりに裾や袖口に花柄のカットアウトがされていた。また、ウエストの部分には艶のある水色のリボンがついていて、それを後ろでキュッと結ぶ。
アリシアの年齢では少し幼いデザインではないかと思わなくもないが、これは所謂変装なのだ。年齢も違って見えた方が良いのだろう。
歩きやすさを第一に考えられたベージュのフラットシューズと合わせると、アリシアの清楚な雰囲気によく合っていた。髪型も服装に合わせてあまり作りこまず、緩く編み込んでサイドに流している。
「今日は楽しみでございますね」
エレノアにそう言われて、アリシアは恥ずかしそうに微笑んだ。
アリシアが何日も前から今日を楽しみにしていたことをエレノアは知っているのだ。
扉を叩く音がしてレイヴンの訪問が告げられる。
エレノアが扉を開くと、花束を持ったレイヴンが部屋へ入って来た。
アリシアを目に留めると目を見開いて動きを止める。
「……おかしいでしょうか」
アリシアがおずおずと声を掛けると、レイヴンが弾かれた様に声を上げた。
「そんなはずない!凄く綺麗だよ、アリシア!」
レイヴンが呆然となったのは見惚れていたからだ。
レイヴンからすれば、アリシアがレイヴンの為に着飾ってくれるだけで嬉しい。それなのに今日は最近見ることができなくなっていたレイヴン色のワンピースを着てくれている。感動せずにいられるわけがない。
「大袈裟ですわ、レイヴン様」
涙ぐむレイヴンにアリシアは苦笑して腕を伸ばし、目元に浮かんだ涙を拭う。
レイヴンはその手に手を重ねると、手のひらに口づけを落とした。
アリシアの手首にはレイヴンとお揃いのブレスレットが揺れている。
「大袈裟なんかじゃないよ。凄く綺麗だし、凄く嬉しい」
「レイヴン様もとても素敵ですわ」
頬を染めたアリシアがレイヴンと目を合わせて微笑む。
レイヴンは濃いベージュのキャンプシャツにオリーブ色のダボっとしたカーゴパンツを履いている。
キャンプシャツはボタンが1つ開けられ、銀色のペンダントトップが見えていた。
レイヴンがカーゴパンツを選んだのは、アリシアが以前の様なパンツは止めて欲しいと頼んだからだ。
言われた時は、「好きじゃなかった?」と青くなったレイヴンだったが、顔を真っ赤に染めたアリシアが小さな声で、「他の女性が見ておられたので……」と言うのを聞いてぱっと顔を輝かせる。
この日、アリシアの可愛い嫉妬に浮かれたレイヴンにアリシアが抱き潰されたのは言うまでもない。
それはさておき、アリシアの嫉妬に浮かれながらも悲しませたくないレイヴンが選んだのが、体形のわかりにくいダボっとしたカーゴパンツだったというわけだ。
レイヴンから差し出された花束を受け取ったアリシアは、香りを楽しんだ後、花束をエレノアへ預ける。
そっと手を伸ばして、レイヴンの胸元のボタンを留めた。
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