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第2部 5章
19 婚約挨拶③
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ディアナが1学年だった去年もそして今年も、Bクラスなのはアリシアも当然知っていた。
だけどそれを隠そうとしないのは好感が持てる。
それにAクラスに入れるのは本当に優秀な生徒だけなのだ。定員は設定されているが、空きがあっても成績が基準に達していないと入ることができない。
だからこそAクラスはステータスであり、入れた者は一目置かれることになるのだ。
次期公爵夫人としてはAクラスに入ることが望ましい。
だけどそれは幼い頃から婚約をして次期公爵夫人として備えてきたから望めることで、婚約して数か月しか経っていないディアナに求めるのは酷な話だ。
それにアリシアは、ディアナが必死に学んでいることも聞いている。
ディアナに公爵夫人としての教育を施しているのはオレリアだが、すべての教育を公爵邸で行うことはできない。
だから公爵邸ではオレリアから公爵夫人としての役割や心得を学び、教養やマナーなどの教育は公爵家が派遣した家庭教師から伯爵邸で受けていた。
「家庭教師はどなたが?」
「エイムズ子爵夫人です」
「エイムズ子爵夫人?まあ!」
エイムズ爵夫人とはレオナルドの最初の家庭教師である。
そしてまだ幼く家庭教師を理解できないアリシアが、レオナルドを奪う大敵として嫌いぬいた人物だった。
最も子爵夫人は職務を果たしていただけで、それを理解した今は申し訳なく思っている。
「エイムズ子爵夫人は優秀で立派な方よ。あの方の教えであれば間違いないわ」
「はい。私も夫人を尊敬しています」
アリシアが心配するまでもなく、ディアナと夫人は信頼関係を築いているようである。
エイムズ子爵夫人がレオナルドの家庭教師に選ばれたのは、その教養の深さを買われたからだ。
子爵夫人は元王宮の侍女である。文官のエイムズ子爵に見初められ、結婚して二児を生むまで王宮で働いていた。職を辞したのは、夫が出世をして生活に余裕が生まれたことと正式に爵位を継承したからだ。
因みにエイムズ子爵は今も文官として働いている。
王宮の侍女は令嬢の仕事として花形だが、最も就くのが難しいと言われている。
応募者は学園での成績や、素行、評判、親兄弟まで徹底的に調べられる。晴れて合格すれば、徹底的に知識やマナーを叩きこまれ、それをクリアした後に、人目につきにくい仕事から始めるのだ。
王族に最も近く仕え、他国から訪れる賓客の世話もするのだから当然である。
その分、職を辞した後も元王宮侍女を家庭教師にと望む高位貴族は多く、生活に困ることはない。
「素晴らしい家庭教師をつけて下さり、感謝しています」
ディアナも元王宮侍女が優秀なこと、それ故に家庭教師として望む者が多く雇い辛いことを知っていた。
グーリッド伯爵家程度では相場以上に給金を積まなければ雇うことができない。特にエイムズ子爵夫人は生活の為に働く必要がないのだから、余程権力の強い貴族でないと断られただろう。
エイムズ子爵夫人がディアナの家庭教師を引き受けてくれたのは、ルトビア公爵家が宮廷の人事に影響を持っていることと給金を弾んだこと、そして幼いレオナルドを知る夫人が、レオナルドの妻となる女性に最高の教養を授けたいと思ってくれたからだった。
「あなたがしっかりした方で良かったわ」
アリシアがにっこり笑う。
それは本心だった。
だけどそれを隠そうとしないのは好感が持てる。
それにAクラスに入れるのは本当に優秀な生徒だけなのだ。定員は設定されているが、空きがあっても成績が基準に達していないと入ることができない。
だからこそAクラスはステータスであり、入れた者は一目置かれることになるのだ。
次期公爵夫人としてはAクラスに入ることが望ましい。
だけどそれは幼い頃から婚約をして次期公爵夫人として備えてきたから望めることで、婚約して数か月しか経っていないディアナに求めるのは酷な話だ。
それにアリシアは、ディアナが必死に学んでいることも聞いている。
ディアナに公爵夫人としての教育を施しているのはオレリアだが、すべての教育を公爵邸で行うことはできない。
だから公爵邸ではオレリアから公爵夫人としての役割や心得を学び、教養やマナーなどの教育は公爵家が派遣した家庭教師から伯爵邸で受けていた。
「家庭教師はどなたが?」
「エイムズ子爵夫人です」
「エイムズ子爵夫人?まあ!」
エイムズ爵夫人とはレオナルドの最初の家庭教師である。
そしてまだ幼く家庭教師を理解できないアリシアが、レオナルドを奪う大敵として嫌いぬいた人物だった。
最も子爵夫人は職務を果たしていただけで、それを理解した今は申し訳なく思っている。
「エイムズ子爵夫人は優秀で立派な方よ。あの方の教えであれば間違いないわ」
「はい。私も夫人を尊敬しています」
アリシアが心配するまでもなく、ディアナと夫人は信頼関係を築いているようである。
エイムズ子爵夫人がレオナルドの家庭教師に選ばれたのは、その教養の深さを買われたからだ。
子爵夫人は元王宮の侍女である。文官のエイムズ子爵に見初められ、結婚して二児を生むまで王宮で働いていた。職を辞したのは、夫が出世をして生活に余裕が生まれたことと正式に爵位を継承したからだ。
因みにエイムズ子爵は今も文官として働いている。
王宮の侍女は令嬢の仕事として花形だが、最も就くのが難しいと言われている。
応募者は学園での成績や、素行、評判、親兄弟まで徹底的に調べられる。晴れて合格すれば、徹底的に知識やマナーを叩きこまれ、それをクリアした後に、人目につきにくい仕事から始めるのだ。
王族に最も近く仕え、他国から訪れる賓客の世話もするのだから当然である。
その分、職を辞した後も元王宮侍女を家庭教師にと望む高位貴族は多く、生活に困ることはない。
「素晴らしい家庭教師をつけて下さり、感謝しています」
ディアナも元王宮侍女が優秀なこと、それ故に家庭教師として望む者が多く雇い辛いことを知っていた。
グーリッド伯爵家程度では相場以上に給金を積まなければ雇うことができない。特にエイムズ子爵夫人は生活の為に働く必要がないのだから、余程権力の強い貴族でないと断られただろう。
エイムズ子爵夫人がディアナの家庭教師を引き受けてくれたのは、ルトビア公爵家が宮廷の人事に影響を持っていることと給金を弾んだこと、そして幼いレオナルドを知る夫人が、レオナルドの妻となる女性に最高の教養を授けたいと思ってくれたからだった。
「あなたがしっかりした方で良かったわ」
アリシアがにっこり笑う。
それは本心だった。
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