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3章
146 晩餐会②
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翌日、昼過ぎからアリシアは、エレノアを筆頭とする侍女たちに磨き上げられた。
夜のお手入れをせずに過ごした後である。お手入れをしなかったのは3日だけなので目に見えて肌がくすんだということはないが、王妃の招待に完璧ではない状態の主人を送り出すのは侍女の沽券に関わる大問題らしい。
少しでもマシになるようにとぎりぎりまで時間をかけて磨き上げられた。
迎えに来たレイヴンと一緒に正殿へ向かう。
レイヴンはまだアリシアが緊張していると思っているようで、気を紛らわせる為に色んな話をしてくれる。
その心遣いが嬉しくてアリシアの頬が緩んだ。
ジェーンを招いたマルグリットの意図がわからない限り不安が解消されるわけではない。
それでもアリシアは温かい気持ちで正殿へ向かうことができた。
食堂にはレオナルドにエスコートされたジェーンが既に来ていた。
「お兄様?」
アリシアが驚いて目を瞬かせる。
レオナルドが来るとは聞いていない。
確かに正式な晩餐会であればエスコート役が必要で、婚約者のいないジェーンが従兄にエスコートを頼むのはおかしなことではないが、今回は私的な晩餐会でもあり、エスコート役がいるとは考えていなかったのだ。
「妃殿下とお会いするのは随分と久しぶりですね」
挨拶の後、レオナルドが片目をつむってみせる。
瞬間、アリシアの頬が赤く染まった。
レオナルドとは街へ行く前日に会っているので、それほど久しぶりなわけではない。これはレイヴンと数日寝室に籠っていたアリシアを揶揄っているのだ。
レオナルドの隣ではジェーンが微笑ましそうに笑っている。
レイヴンとアリシアが案内されたのは主賓の席だった。
レオナルドとジェーンは次客の席に案内されている。
アリシアの隣にジェイが座り、その向かいがカナリーだった。ジェーンの隣にはノティスが座り、その向かいにアイビスが座っている。
「お義姉様、なんだかお綺麗になられましたね。それに随分と幸せそうですわ」
席につくなりカナリーがそう言った。
レイヴンの頬が緩み、アリシアの顔が赤く染まる。
それで何かを察したようで、カナリーが目を見開いた。
カナリーが事情を知っていそうなジェーンへ視線を向けると、慣れない席で硬くなっていたジェーンも表情を和らげている。
一気に場の雰囲気が和んでいた。
マルグリットがまだ来ていないので暫く会話を楽しむことができた。
ジェイは切れ者と名高いレオナルドに興味があるようで熱心に話し掛けているし、ノティスも隣に座ったジェーンに自ら話し掛け、ジェーンも笑顔で応えている。
アイビスがぼうっとした目でレオナルドを見つめているのは気になったが、食事の前に其々打ち解けることができたようだ。
そんな中、アリシアは嫌な予感がしていた。
レイヴンとレオナルドの間の席が開いているのは、女主人であるマルグリットが座るからだ。
それではアリシアとジェーンの間の席が空いているのはなぜなのか。
通常であればそこは主人の席だ。
マルグリットの向かいに座ることができる主人は一人しかいない。
扉が開く音がした。
「父上!」
レイヴンの驚いた声が響く。
全員が扉へ一斉に視線を向けると、そこには国王とマルグリットが立っていた。
夜のお手入れをせずに過ごした後である。お手入れをしなかったのは3日だけなので目に見えて肌がくすんだということはないが、王妃の招待に完璧ではない状態の主人を送り出すのは侍女の沽券に関わる大問題らしい。
少しでもマシになるようにとぎりぎりまで時間をかけて磨き上げられた。
迎えに来たレイヴンと一緒に正殿へ向かう。
レイヴンはまだアリシアが緊張していると思っているようで、気を紛らわせる為に色んな話をしてくれる。
その心遣いが嬉しくてアリシアの頬が緩んだ。
ジェーンを招いたマルグリットの意図がわからない限り不安が解消されるわけではない。
それでもアリシアは温かい気持ちで正殿へ向かうことができた。
食堂にはレオナルドにエスコートされたジェーンが既に来ていた。
「お兄様?」
アリシアが驚いて目を瞬かせる。
レオナルドが来るとは聞いていない。
確かに正式な晩餐会であればエスコート役が必要で、婚約者のいないジェーンが従兄にエスコートを頼むのはおかしなことではないが、今回は私的な晩餐会でもあり、エスコート役がいるとは考えていなかったのだ。
「妃殿下とお会いするのは随分と久しぶりですね」
挨拶の後、レオナルドが片目をつむってみせる。
瞬間、アリシアの頬が赤く染まった。
レオナルドとは街へ行く前日に会っているので、それほど久しぶりなわけではない。これはレイヴンと数日寝室に籠っていたアリシアを揶揄っているのだ。
レオナルドの隣ではジェーンが微笑ましそうに笑っている。
レイヴンとアリシアが案内されたのは主賓の席だった。
レオナルドとジェーンは次客の席に案内されている。
アリシアの隣にジェイが座り、その向かいがカナリーだった。ジェーンの隣にはノティスが座り、その向かいにアイビスが座っている。
「お義姉様、なんだかお綺麗になられましたね。それに随分と幸せそうですわ」
席につくなりカナリーがそう言った。
レイヴンの頬が緩み、アリシアの顔が赤く染まる。
それで何かを察したようで、カナリーが目を見開いた。
カナリーが事情を知っていそうなジェーンへ視線を向けると、慣れない席で硬くなっていたジェーンも表情を和らげている。
一気に場の雰囲気が和んでいた。
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ジェイは切れ者と名高いレオナルドに興味があるようで熱心に話し掛けているし、ノティスも隣に座ったジェーンに自ら話し掛け、ジェーンも笑顔で応えている。
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それではアリシアとジェーンの間の席が空いているのはなぜなのか。
通常であればそこは主人の席だ。
マルグリットの向かいに座ることができる主人は一人しかいない。
扉が開く音がした。
「父上!」
レイヴンの驚いた声が響く。
全員が扉へ一斉に視線を向けると、そこには国王とマルグリットが立っていた。
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