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3章
88 無自覚な妬心③
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「ごめんね、アリシア」
「…え?」
レイヴンはキャロルのことを隠してはいなかった。
だけどアリシアに話してもいない。
それはアリシアの反応が怖かったからだ。
かつてレイヴンがジェーンを想っていると言われていた時、アリシアはそれを信じていた。
信じていて、何とも思っていなかった。
それはアリシアがレイヴンに少しも好意を持っていないからだ。
今回はキャロルからの一方的な想いである。
それでもレイヴンに好意を寄せて近づく女の存在を、「少しも気にならない」と言われたらと思うと怖かったのだ。
あの頃とは違って今では毎日の様に「愛している」と伝えている。
アリシアも以前に比べれば随分と自然な態度で接してくれるようになった。
関係は改善されていると思う。
それでもレイヴンに対する好意は無いのだと、思い知らされることを恐れていた。
アリシアが気にしてくれた。
そう思うとじわじわと喜びが湧いてくる。
だけどアリシアに不安な思いをさせたかったわけではない。
「ちゃんと話しておくべきだった。グーリッド伯爵令嬢は確かに毎日の様に姿を見せていたよ。だけどそれだけだ。彼女はあくまでレオの婚約者候補として王宮に来ていた。僕とは関係のない人だ」
「…レイヴン様から伯爵令嬢へ声を掛けることはなかったと聞いています」
レイヴンは頷く。
「グーリッド伯爵令嬢がレオと関係を築こうとしているなら、僕も彼女をレオの婚約者候補としてきちんと扱っていたよ。だけど彼女は初めから僕への好意を隠してなかったし、レオと関係を築こうともしていなかった。彼女の狙いは僕の側妃になることだ。それがわかったから相手にしなかった」
レイヴンにとってレオナルドは部下の1人だ。だけど友人でもある。
まだ候補だとしても、いずれ友人の妻となるかもしれない女性であれば丁重に扱っていた。
だけどキャロルは、その友人を利用してレイヴンに近づこうとしていた。
そんな女を相手にするはずがない。
「僕はあの令嬢に嫌悪感しか持っていない。あの令嬢のことはレオに任せているけど、最近は姿を見せなくなっているし、もうアリシアを煩わせることはないと思う」
「…そうですか」
レイヴンはまたアリシアの髪を撫でる。
いつの間にかアリシアの表情から憂いの色が消えていてホッとする。
そうするとまた喜びか返ってくる。
「愛しているよ、アリシア」
レイヴンはアリシアにそっと口づける。
「グーリッド伯爵令嬢のことをアリシアが気にする必要はないよ。アリシアが僕のものなのと同じ様に、僕はアリシアのものだからね」
レイヴンの言葉にアリシアは驚いたような顔をするけれど、本当のことだ。
レイヴンはアリシアへ何度も口づける。
唇を十分に味わいながら、ゆっくりと体をベッドへと押し倒していく。
「愛している、アリシア」
アリシアの耳元でレイヴンが囁く。
いつかアリシアが「愛している」と答えてくれるようにと願いながら。
「…え?」
レイヴンはキャロルのことを隠してはいなかった。
だけどアリシアに話してもいない。
それはアリシアの反応が怖かったからだ。
かつてレイヴンがジェーンを想っていると言われていた時、アリシアはそれを信じていた。
信じていて、何とも思っていなかった。
それはアリシアがレイヴンに少しも好意を持っていないからだ。
今回はキャロルからの一方的な想いである。
それでもレイヴンに好意を寄せて近づく女の存在を、「少しも気にならない」と言われたらと思うと怖かったのだ。
あの頃とは違って今では毎日の様に「愛している」と伝えている。
アリシアも以前に比べれば随分と自然な態度で接してくれるようになった。
関係は改善されていると思う。
それでもレイヴンに対する好意は無いのだと、思い知らされることを恐れていた。
アリシアが気にしてくれた。
そう思うとじわじわと喜びが湧いてくる。
だけどアリシアに不安な思いをさせたかったわけではない。
「ちゃんと話しておくべきだった。グーリッド伯爵令嬢は確かに毎日の様に姿を見せていたよ。だけどそれだけだ。彼女はあくまでレオの婚約者候補として王宮に来ていた。僕とは関係のない人だ」
「…レイヴン様から伯爵令嬢へ声を掛けることはなかったと聞いています」
レイヴンは頷く。
「グーリッド伯爵令嬢がレオと関係を築こうとしているなら、僕も彼女をレオの婚約者候補としてきちんと扱っていたよ。だけど彼女は初めから僕への好意を隠してなかったし、レオと関係を築こうともしていなかった。彼女の狙いは僕の側妃になることだ。それがわかったから相手にしなかった」
レイヴンにとってレオナルドは部下の1人だ。だけど友人でもある。
まだ候補だとしても、いずれ友人の妻となるかもしれない女性であれば丁重に扱っていた。
だけどキャロルは、その友人を利用してレイヴンに近づこうとしていた。
そんな女を相手にするはずがない。
「僕はあの令嬢に嫌悪感しか持っていない。あの令嬢のことはレオに任せているけど、最近は姿を見せなくなっているし、もうアリシアを煩わせることはないと思う」
「…そうですか」
レイヴンはまたアリシアの髪を撫でる。
いつの間にかアリシアの表情から憂いの色が消えていてホッとする。
そうするとまた喜びか返ってくる。
「愛しているよ、アリシア」
レイヴンはアリシアにそっと口づける。
「グーリッド伯爵令嬢のことをアリシアが気にする必要はないよ。アリシアが僕のものなのと同じ様に、僕はアリシアのものだからね」
レイヴンの言葉にアリシアは驚いたような顔をするけれど、本当のことだ。
レイヴンはアリシアへ何度も口づける。
唇を十分に味わいながら、ゆっくりと体をベッドへと押し倒していく。
「愛している、アリシア」
アリシアの耳元でレイヴンが囁く。
いつかアリシアが「愛している」と答えてくれるようにと願いながら。
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