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3章
24 リトマインのお部屋②
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アリシアを抱きかかえたレイヴンは、そのままソファへ座る。
しばらくそうしているとアリシアの気持ちも落ち着いてきたようだ。
「――取り乱して申し訳ありませんでした」
腕の中で謝るアリシアに、レイヴンは大きくかぶりを振る。
「誤解させるようなことをした僕が悪いんだ。アリシアは悪くないよ」
アリシアはレイヴンの胸に頭を寄せ、無意識にレイヴンのシャツを握っている。
アリシアのこんな縋るような仕草は珍しい。
それだけ不安にさせてしまったのだと思うと、レイヴンの心が痛んだ。
愛していると伝えたくて、何度も額や目尻に口づける。
しばらくすると扉を叩く音がして、部屋の外からエレノアの声がした。
エレノアはジェーンの訪れを告げている。
アリシアは今日の休憩時間をジェーンと過ごすことになっているのだ。
「ここに来てもらう?」
レイヴンが訊くと、アリシアが弾かれた様に体を起こして声を上げた。
「っいえ!あちらへ戻りますっ!!」
「…やっぱりこの部屋は気に入らない?」
レイヴンの哀しそうな声に、アリシアがはっとしてレイヴンの顔を見る。
そのまま逡巡するように顔を伏せ、何かを言い掛けて止めた。
「――申し訳ありません。あとでお話致します」
アリシアは立ち上がり、座ったままのレイヴンを抱き寄せて旋毛に口づけを落とすとそのまま部屋を出て行った。
その日の夕食はかつてなく気まずいものだった。
レイヴンは何事もなかったかのように振る舞おうとしているが、落ち込んでいるのがわかる。
気まずい雰囲気のまま食事を終えた2人は食堂を後にした。
レイヴンにエスコートされて部屋へ戻りながら、アリシアはレイヴンの顔を窺う。
最近は夕食の後も一緒に過ごしているが、今日はどうするのだろうか。
だけどレイヴンに迷いは無いようで、アリシアの部屋の前まで来ると自然にいつもの部屋へと向かう。
扉を開けようと伸ばされた手をアリシアが止めた。
「――今日はこちらに致しましょう?」
レイヴンの手に手を重ねたアリシアが、向かいの部屋へ視線を向ける。
「――あの部屋は気に入らないんだろう?」
「そんなことはありません。気に入りました」
アリシアは微笑んで答えるが、レイヴンの表情は変わらない。
アリシアの言葉を信じていないようだ。
「あちらの部屋で、先程お話できなかったことを聞いていただきたいのです」
アリシアは重ねた手に力を込める。
レイヴンは暫くアリシアを見ていたが、やがて向かい側の部屋へと体を向けた。
「先程は申し訳ありませんでした。レイヴン様が私の為にして下さったこと、とても嬉しく思っています」
それはアリシアの本心だ。
正直なところリトマインの調度品が揃うことなど考えたこともなかった。
それをアリシアが望んでいるからと叶えてくれたレイヴンの気持ちを嬉しく思っている。
「ジェーンをこの部屋へ招くことを拒んだのは、この部屋が気に入らないからではありません。そうではなくて…ジェーンには私の望みが叶ったことを知られたくないのです」
アリシアの言葉にレイヴンの目が見開かれる。
「説明いたしますね」
そう言ったアリシアは寂し気に微笑んだ。
しばらくそうしているとアリシアの気持ちも落ち着いてきたようだ。
「――取り乱して申し訳ありませんでした」
腕の中で謝るアリシアに、レイヴンは大きくかぶりを振る。
「誤解させるようなことをした僕が悪いんだ。アリシアは悪くないよ」
アリシアはレイヴンの胸に頭を寄せ、無意識にレイヴンのシャツを握っている。
アリシアのこんな縋るような仕草は珍しい。
それだけ不安にさせてしまったのだと思うと、レイヴンの心が痛んだ。
愛していると伝えたくて、何度も額や目尻に口づける。
しばらくすると扉を叩く音がして、部屋の外からエレノアの声がした。
エレノアはジェーンの訪れを告げている。
アリシアは今日の休憩時間をジェーンと過ごすことになっているのだ。
「ここに来てもらう?」
レイヴンが訊くと、アリシアが弾かれた様に体を起こして声を上げた。
「っいえ!あちらへ戻りますっ!!」
「…やっぱりこの部屋は気に入らない?」
レイヴンの哀しそうな声に、アリシアがはっとしてレイヴンの顔を見る。
そのまま逡巡するように顔を伏せ、何かを言い掛けて止めた。
「――申し訳ありません。あとでお話致します」
アリシアは立ち上がり、座ったままのレイヴンを抱き寄せて旋毛に口づけを落とすとそのまま部屋を出て行った。
その日の夕食はかつてなく気まずいものだった。
レイヴンは何事もなかったかのように振る舞おうとしているが、落ち込んでいるのがわかる。
気まずい雰囲気のまま食事を終えた2人は食堂を後にした。
レイヴンにエスコートされて部屋へ戻りながら、アリシアはレイヴンの顔を窺う。
最近は夕食の後も一緒に過ごしているが、今日はどうするのだろうか。
だけどレイヴンに迷いは無いようで、アリシアの部屋の前まで来ると自然にいつもの部屋へと向かう。
扉を開けようと伸ばされた手をアリシアが止めた。
「――今日はこちらに致しましょう?」
レイヴンの手に手を重ねたアリシアが、向かいの部屋へ視線を向ける。
「――あの部屋は気に入らないんだろう?」
「そんなことはありません。気に入りました」
アリシアは微笑んで答えるが、レイヴンの表情は変わらない。
アリシアの言葉を信じていないようだ。
「あちらの部屋で、先程お話できなかったことを聞いていただきたいのです」
アリシアは重ねた手に力を込める。
レイヴンは暫くアリシアを見ていたが、やがて向かい側の部屋へと体を向けた。
「先程は申し訳ありませんでした。レイヴン様が私の為にして下さったこと、とても嬉しく思っています」
それはアリシアの本心だ。
正直なところリトマインの調度品が揃うことなど考えたこともなかった。
それをアリシアが望んでいるからと叶えてくれたレイヴンの気持ちを嬉しく思っている。
「ジェーンをこの部屋へ招くことを拒んだのは、この部屋が気に入らないからではありません。そうではなくて…ジェーンには私の望みが叶ったことを知られたくないのです」
アリシアの言葉にレイヴンの目が見開かれる。
「説明いたしますね」
そう言ったアリシアは寂し気に微笑んだ。
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