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1章
2 婚約者選定②
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謁見が終わると、マルグリットに「婚約したのだから二人で親交を深めなさい」と言われて二人で庭園を歩くことになった。
「婚約者に選んで下さり、ありがとうございます。これから仲良くして下さい」
浮かれていたアリシアは、この婚約がレイヴンの希望だと信じていた。
幼いながら紳士的な態度でエスコートしてくれるレイヴンに色々と話し掛ける。いつも兄や幼馴染の従兄妹にはおしゃべりだと言われているのだ。
二人を見送るマルグリットやアリシアの両親の姿が見えている間は、レイヴンもアリシアの話しに笑顔で返事をしてくれていた。だが、大人たちの姿が見えなくなると表情を消し、アリシアに向き直って冷たく言い放った。
「君を選んだのは母上だ。貴族の結婚に感情は必要ない。王族となれば尚更だ。釣り合う身分があり将来王妃となる資質のある者なら誰でもいい。すぐに妃教育が始まる。進捗状況は僕にも伝えられる。王太子妃として相応しいと認められる間は婚約者として扱うが相応しくないと思えばすぐに婚約を解消して次の者を選ぶ。君は替えがきく存在だ。それを忘れないように」
それだけ言うとレイヴンは笑顔のまま硬直したアリシアを置いて一人で行ってしまった。
どうやって両親の元へ戻ったのかアリシアは覚えていない。
顔を強張らせて一人で戻ってきたアリシアに、両親は驚いてあれこれ訊いてきたけれど、アリシアは屋敷に戻るまで一言も話さなかった。
屋敷に戻ると自室に駆け込み、侍女も追い出して部屋の鍵を掛ける。
公爵家の一人娘として両親や兄からたっぷりの愛情をかけて育てられたアリシアにとって自身を否定され、冷たい言葉を浴びせられるのは初めての経験だった。
心配した両親や兄が部屋のドアを長いこと叩いていたが、アリシアは答えることなく一人で泣き続けた。
アリシアが泣く理由に心当たりがない両親は、王宮で両陛下に拝謁した為緊張していたのだろう。緊張が解けて気が緩んだのだ、と結論づけた。
それで良かった。
たとえアリシアがこの婚約を嫌がったとしても、王妃からの指名である以上断ることはできない。両親が困るだけだ。
兄のレオナルドだけは納得せずに翌日何度も理由を訊いてきたけれど、やはりアリシアは何も答えなかった。
「婚約者に選んで下さり、ありがとうございます。これから仲良くして下さい」
浮かれていたアリシアは、この婚約がレイヴンの希望だと信じていた。
幼いながら紳士的な態度でエスコートしてくれるレイヴンに色々と話し掛ける。いつも兄や幼馴染の従兄妹にはおしゃべりだと言われているのだ。
二人を見送るマルグリットやアリシアの両親の姿が見えている間は、レイヴンもアリシアの話しに笑顔で返事をしてくれていた。だが、大人たちの姿が見えなくなると表情を消し、アリシアに向き直って冷たく言い放った。
「君を選んだのは母上だ。貴族の結婚に感情は必要ない。王族となれば尚更だ。釣り合う身分があり将来王妃となる資質のある者なら誰でもいい。すぐに妃教育が始まる。進捗状況は僕にも伝えられる。王太子妃として相応しいと認められる間は婚約者として扱うが相応しくないと思えばすぐに婚約を解消して次の者を選ぶ。君は替えがきく存在だ。それを忘れないように」
それだけ言うとレイヴンは笑顔のまま硬直したアリシアを置いて一人で行ってしまった。
どうやって両親の元へ戻ったのかアリシアは覚えていない。
顔を強張らせて一人で戻ってきたアリシアに、両親は驚いてあれこれ訊いてきたけれど、アリシアは屋敷に戻るまで一言も話さなかった。
屋敷に戻ると自室に駆け込み、侍女も追い出して部屋の鍵を掛ける。
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それで良かった。
たとえアリシアがこの婚約を嫌がったとしても、王妃からの指名である以上断ることはできない。両親が困るだけだ。
兄のレオナルドだけは納得せずに翌日何度も理由を訊いてきたけれど、やはりアリシアは何も答えなかった。
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