上 下
5 / 33

5.初ボス

しおりを挟む
 おはよう。

 今回もまた9レベル上がったな。
 まあ昨日は100体以上倒してるからね。

 今日はこの階段降りてみようと思う。

 この下にまだ階層があるのか、それともボスなのかは分かんない。

 ただ、ほぼ確実に言えるのは、スライムより強い魔物がいるってこと。
 
 下の階層に行くほど、敵が強くなるってのはダンジョンの基本だからね。

 正直まだ早いかも知れない。
 
 けど、そろそろスライムでレベル上げするのは、効率悪くなってくる。

 どうせ大してレベルアップしないなら、早めに行っちゃった方がいいでしょ。

 まあ遠くから鑑定して、無理そうだったら階段上がってくればいいしね。

 てことで出発。

 先の見えない暗い階段を、一歩ずつ降りていく。


 ◇ ◇ ◇


 500段くらいの階段を下りたところで、やっと下に光が見えてきた。

 疲労無効やっぱりめちゃくちゃ役に立つ。
 500段とか、普通だったら疲れるわ。


 残りの階段を下り終わると、見えたのは、半径10メートルくらいの円形の空間。
 先に続くような道は見当たらない。

「てことは、ボス戦か…」

 目を凝らして見ると、円形の真ん中辺りに、またもや見覚えのある形。

 けど今回は色が違う。

 これまでのスライムは緑だったけど、今見てるヤツの色は紫。

 鑑定しとくか。



『ステータス』
 
《種族》 ポイズンスライム
 
《HP》 40/40
《MP》 40/40
《物攻》 40
《物防》 40
《魔攻》 40
《魔防》 40

《スキル》毒弾



 …やっぱり格上か。

 まあでも、これくらいだったら何とか勝てるかもしれないな。

 
 先手必勝。

 ポイズンスライムに向かって突っ込む。
 
 すると、ポイズンスライムの口から紫の弾が発射された。

 速っ。

 普通のスライムの酸とは比べ物にならない速さで飛んでくる。

 避けきれない。

 どちゃっ。
 
 直撃。
 8ダメージ+毒の状態異常。

 ジワッ。
 毒で1ダメージを受ける。

 …キッツイな。

 スライムがあんまり酸出してこないから油断してた。

 一旦戻って体勢を立て直す。

 その間にも毒でジワジワHPを削られていく。

 合計5ダメージ食らったところで、やっと毒がきれた。

 薬草を使ってHPを全快させる。

 薬草の効果はHP25回復だから、最大が28の俺にとってはめちゃくちゃ使える。 

 まあ使ってる間は無防備だから、敵と距離取らないと使えないのが難点だけど。

 
 …さて、どうしようか。

 あの毒弾をどうにかしないことには、俺に勝機はない。

 まずは様子見かな。

 幸い動きは遅いから、ダッシュすれば追いついてこない。
 
 だから薬草があるうちなら、毒弾食らっても痛いけど死にはしないから、大丈夫。

 
 今度はしっかり観察しながら、ジリジリと距離を詰めていく。

 そして、俺とポイズンスライムとの距離が3メートルくらいになった時。

 ポイズンスライムが一気に息を吸うような素振りを見せる。
 その直後に毒弾が飛んでくる。

 どちゃっ。

 今度もかわせなかった。
 やっぱり速い。
 
 一旦撤退して、毒がきれるのを待ってから薬草で回復。

 …よし。

 ダメージは受けたけど、もう毒弾のモーションと射程距離は把握した。
 次はもう食らわない。
 
 約3メートルの位置まで近づく。
 やっぱり息を吸った。

 それを確認した瞬間に横っ飛び。

 スッ。

 紫の弾が俺の横を通り過ぎていった。

 よし、かわせた。

 すぐにポイズンスライムを確認するが、毒弾を撃ってくる様子はない。
 
 連続では出せないみたいだ。
 インターバルがあるのか。

 その隙に一気に距離を詰める。

 今度は突進してくるが、これは普通のスライムと変わらない。
 もう見慣れてる。

 軽くかわし、カウンターを入れる。

 そのまま体を捻ってもう一発。

 4ダメージ ×2。
 
 …かてえな。
 思ったより効いてない。

 こっちに振り返ったポイズンスライムが、また息を吸う。

 させるか。

 すぐに斬りかかる。

 何とか間に合った。
 
 俺の攻撃を受けたポイズンスライムは、毒弾の発射に失敗。
 大きい隙ができる。

 その間に追撃を入れる。

 ザクッ、ザクッ、ザクッ。

 三連撃。


 《HP》 16/40
 《MP》 12/40


 やっとHP半分きったか。

 …あれ。
 そういえばMPのこと考えるの忘れてた。

 今、毒弾4発で28減ったってことは、1発あたり消費MP7。

 …あと1発じゃん。

 だったら最初から、MP切れ待ってから倒せば良かったな…。

 ま、いいや。
 途中でも気づいて良かったってことにしよう。

 また、3メートル位置まで下がる。

 そしたら案の定、毒弾撃ってくるからかわす。
 もうこの距離なら余裕。


《MP》 5/40


 これでもう毒弾は撃てないね。

 安心して向かっていける。

 毒弾さえなけりゃ、ただステータスの高いスライムだ。
 行動はもう把握してる。

 剣の届く位置まで近づいて斬る。

 予想通りの敵の攻撃をかわしてまた斬る……。


《隠しダンジョンのクリアを確認しました》
《報酬:神器、ダンジョン内獲得経験値 ×2》
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

またね。次ね。今度ね。聞き飽きました。お断りです。

朝山みどり
ファンタジー
ミシガン伯爵家のリリーは、いつも後回しにされていた。転んで怪我をしても、熱を出しても誰もなにもしてくれない。わたしは家族じゃないんだとリリーは思っていた。 婚約者こそいるけど、相手も自分と同じ境遇の侯爵家の二男。だから、リリーは彼と家族を作りたいと願っていた。 だけど、彼は妹のアナベルとの結婚を望み、婚約は解消された。 リリーは失望に負けずに自身の才能を武器に道を切り開いて行った。 「なろう」「カクヨム」に投稿しています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~

喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。 庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。 そして18年。 おっさんの実力が白日の下に。 FランクダンジョンはSSSランクだった。 最初のザコ敵はアイアンスライム。 特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。 追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。 そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。 世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……

karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...