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成長期の二人
勘違いはそのままで
しおりを挟む「初日だというのに、奥様になんて報告をすればいいのかしら」
「そのまま報告したら如何ですか?」
「まぁ!ラニエル様は事の重大さがわかっていらっしゃらないのですわ!」
子供が幼児にマジで怒ってるの図。中々シュールだな。そして年齢的には結構差があるのに、わたしの身長が高い分、みんなそんなに変わらない年齢に見える。
そんなに慌てる事なのか、手首を合わせるなんて。
「お嬢様はまだお勉強がまだかと存じますが、今、ラニエル様がやられた行動の意味は深い意味があるのです!」
(おいおい、さっきの変な行動に意味があるというのか、さすが異世界だな)
「求愛行動ですよ!」
「きゅっ!」
「このマロニエルでは昔の民族の名残で先ほどの行動が求愛としていまだに使われているのです」
「さっきのが!?」
(ださ!この国のプロポーズがダサい!マジか!)
「マジか!」
「マジです」
(おい、何またいい顔してんだよラニエルめ)
「あとで覚えておいてくださいね」
「ラティこそ、ちゃんと覚えててくださいね」
「え?何でわたしが?」
「だってラティには覚えていてもらって証言してもらわないといけませんから」
「え?なにを?」
「そんな事よりも、お二人とも!!」
幼児二人で不毛な言い合いをしていると、割って入るは幼女の使用人の少女。絵図らは変わらずにシュールなままである。
それから散々注意されまくったわたしはその日のハムリングのことなんか忘れて帰路につかされてしまった。本当ならばそれが当たり前なんだけれど、わたしの日常としてはハムハムすることであって、普通の令嬢が「御機嫌よう」などと言っている挨拶などではない。だけど今は確かに仕方ないのかもしれないけれど、物足りないものは仕方ないじゃないか。
「お嬢様先程、ラニエル様とおっしゃっていたマジとはなんですか?」
「(あーそっか)マジとは本当に?うそ!という感情を混ぜ合わせた最近の言葉ですわ」
(あながち嘘ではないし、そんな感じで使ってきたから別にいいよね)
「最近ではいろんな言葉が流行っているのですね、ですが」
(ですが…いい予感はしなしぞ)
「ご令嬢が使うお言葉として正しいものには感じません。今後は公の場では先程のようにお使いになるのはお控えくださいね」
「日常ではいいのかしら?」
「だってお嬢様はきちんと公の場と私情はお分けになっておられますから、普段までそのように堅苦しくしている必要はないかと存じます。それが奥様の意向でもございます」
「ママ様は意外と寛容よね」
「物凄く寛容でございますよ」
(物凄くって…そこまで強調しなくても…確かに他の家ではそんなこと許すことは無いんだろうとは思うけどさ)
わたしの日常にカインが入ってきて1日目。難なくすぎてる時間に見えるけれども、カインがいい子だということはわかった。でもわたしの中での欲求不満が爆発するのでは無いだろうかと、そう予感せずにはいられない日になってしまった。
「そういえば、ママ様とパパ様はたくさんくっついていますけれど、あれは別にいいのですか」
「あれも実はあまり好ましくは思われていません。でも実際は止めることが出来るものもいませんので」
「マジか」
「はい、マジです」
(あら、カインったら順応が早いわ、これなら…)
「いつか認めてもらえるかも?」
「あ、先程のように接近しすぎなのは認めるわけにはいきませんからね」
「心が読めるの!?」
「いいえ、なんとなくお嬢様がそのように言いたそうだと、お顔がお話になっておられましたよ」
「読心術かと思ったわ」
「ラニエル様はきちんとお嬢様をご覧になってらっしゃるのですね。確かに表情が豊かでらっしゃいます」
「そんなに顔に出てるの?」
カインはニッコリとただわたしに笑いかけただけで、そのまま前を向いて進んでしまった。わたしはどうやら顔に出やすい性格のようです。取り敢えず今後の目標はお嬢様らしくなることと、バレずにハムハムすることを目指す!バレなきゃいいでしょ!
新しい目標を胸にわたしはカインを追いかけるのでした。
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