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第十三話 冗談か?真実か?
②午後八時頃、二人は大きな超高級ラブホテルの階段を登って行った
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午後八時頃、二人は大通りに面した紫のネオンが誘う大きな超高級ラブホテルの階段を登って行った。啓司は誇らかに微笑みながら、瑠偉は恥ずかしそうなうっとりした面持ちで隠れるように・・・
受付は二階に在り、噴水が設えられてシックな中にも高級感が漂っていたし、和モダンな待合室には飲物も用意されていた。
通常、ラブホテルと言えば、受付時に従業員が介入しない接客が主流であるが、此処は、それとは違っていた。従業員が利用客と顔を合せて鍵を受け渡しする対面方式の受付だった。誰かに見られていないかと周囲をきょろきょろ見回す必要も無かったし、俯き加減に後ろめたい気持に駆られることも無かった。従業員はホテルの利用方式や設備の使い方等について丁寧な言葉遣いでしっかりと説明をしてくれた。
二人は教えられた受付前のタッチパネルで部屋を選んだ。
扉を開けると高級感漂うエントランスが展け、奥へ進むとジャグジーと足湯が楽しめる露天スペースになっていた。屋外でありながら、八階という上階の所為か、驚くほどに静かだった。街中に在って太陽や月の光を浴びつつ愉しいひと時を過ごせる心憎い趣向だった。
啓司と瑠偉は室内へ入って行った。
まず目に飛び込んで来たのはゴージャスな洗面スペースで、そのアメニティも豪華だった。鏡の周りにライトが設置された大きな女優ミラーに女性の肌を美しく保持する様々なアメニティ、部屋は女性目線の作りだった。
啓司が言った。
「この部屋のコンセプトは“非日常的な空間”だな」
瑠偉がうっとりと答えた。
「そうね。女性にとっては優しい空間よね」
正面にベッドルームが在った。ソファーやマッサージチェアやキングサイズのベッドが並び、七色に照らすLEDが幻想的だったし、カップルの熱い一夜を盛り上げる趣向を凝らした設備が整っていた。
食事メニューはバリエーション豊富で充実していた。価格もリーズナブルだった。
サーロインステーキやフォアグラのセット、イタリアンにヌードル&ライス、一品料理、ドリンクにスイーツなどなど、その他にも和食や季節限定のメニューも揃っていた。特別室限定メニューと言うのも在った。それらを室内に備え付けのフードメニューで楽しく選び、ルームサービスで利用する仕組みだった。
「何にするかね?」
「あたしには判らないわ。普通、此処で召し上がるもので良いわ」
そこで、啓司はメニューを見ながら発注した。
「サーロインステーキセット、フォアグラセット、蝦のアメリカ煮、シーフードドリア、生ハム野菜サラダ、それから、デザート・・・飲物はシャンパンにしよう」
「シャンパンは薄口の・・・それとも?」
「濃口のシャンパンだ」
室内の淡い灯が瑠偉と啓司を照らして、それが大きな鏡に反射していた。鏡には小さな無数のダイヤが埋められているようで、その為に光を浴びた鏡面はキラキラと輝いて光っていた。
料理が運ばれて来た。ワゴンを押して恭しく運んで来たのは、蝶ネクタイを結んでタキシードに身を包んだ中年のボーイだった。
二人は食卓に並んで腰かけ、早速に食べ始めた。
一口食べて、直ぐに瑠偉が言った。
「美味しい!レストランで出されるものとちっとも変わらないわ」
彼女はシャンパンの最初の数杯で陶然となってしまった。が、それでも元気をつける為にグラスを重ねた。
啓司もさまざまな思い出に煽り立てられて、頻りに、瑠偉の肩を抱き寄せた。彼の眼は輝いていた。
瑠偉は、このラブホテルと言う怪しげな場所の所為か、妙に興奮してしまった。気が逸って、嬉しくて、何か少し穢されたようで、それでいて、胸がときめくのだった。
受付は二階に在り、噴水が設えられてシックな中にも高級感が漂っていたし、和モダンな待合室には飲物も用意されていた。
通常、ラブホテルと言えば、受付時に従業員が介入しない接客が主流であるが、此処は、それとは違っていた。従業員が利用客と顔を合せて鍵を受け渡しする対面方式の受付だった。誰かに見られていないかと周囲をきょろきょろ見回す必要も無かったし、俯き加減に後ろめたい気持に駆られることも無かった。従業員はホテルの利用方式や設備の使い方等について丁寧な言葉遣いでしっかりと説明をしてくれた。
二人は教えられた受付前のタッチパネルで部屋を選んだ。
扉を開けると高級感漂うエントランスが展け、奥へ進むとジャグジーと足湯が楽しめる露天スペースになっていた。屋外でありながら、八階という上階の所為か、驚くほどに静かだった。街中に在って太陽や月の光を浴びつつ愉しいひと時を過ごせる心憎い趣向だった。
啓司と瑠偉は室内へ入って行った。
まず目に飛び込んで来たのはゴージャスな洗面スペースで、そのアメニティも豪華だった。鏡の周りにライトが設置された大きな女優ミラーに女性の肌を美しく保持する様々なアメニティ、部屋は女性目線の作りだった。
啓司が言った。
「この部屋のコンセプトは“非日常的な空間”だな」
瑠偉がうっとりと答えた。
「そうね。女性にとっては優しい空間よね」
正面にベッドルームが在った。ソファーやマッサージチェアやキングサイズのベッドが並び、七色に照らすLEDが幻想的だったし、カップルの熱い一夜を盛り上げる趣向を凝らした設備が整っていた。
食事メニューはバリエーション豊富で充実していた。価格もリーズナブルだった。
サーロインステーキやフォアグラのセット、イタリアンにヌードル&ライス、一品料理、ドリンクにスイーツなどなど、その他にも和食や季節限定のメニューも揃っていた。特別室限定メニューと言うのも在った。それらを室内に備え付けのフードメニューで楽しく選び、ルームサービスで利用する仕組みだった。
「何にするかね?」
「あたしには判らないわ。普通、此処で召し上がるもので良いわ」
そこで、啓司はメニューを見ながら発注した。
「サーロインステーキセット、フォアグラセット、蝦のアメリカ煮、シーフードドリア、生ハム野菜サラダ、それから、デザート・・・飲物はシャンパンにしよう」
「シャンパンは薄口の・・・それとも?」
「濃口のシャンパンだ」
室内の淡い灯が瑠偉と啓司を照らして、それが大きな鏡に反射していた。鏡には小さな無数のダイヤが埋められているようで、その為に光を浴びた鏡面はキラキラと輝いて光っていた。
料理が運ばれて来た。ワゴンを押して恭しく運んで来たのは、蝶ネクタイを結んでタキシードに身を包んだ中年のボーイだった。
二人は食卓に並んで腰かけ、早速に食べ始めた。
一口食べて、直ぐに瑠偉が言った。
「美味しい!レストランで出されるものとちっとも変わらないわ」
彼女はシャンパンの最初の数杯で陶然となってしまった。が、それでも元気をつける為にグラスを重ねた。
啓司もさまざまな思い出に煽り立てられて、頻りに、瑠偉の肩を抱き寄せた。彼の眼は輝いていた。
瑠偉は、このラブホテルと言う怪しげな場所の所為か、妙に興奮してしまった。気が逸って、嬉しくて、何か少し穢されたようで、それでいて、胸がときめくのだった。
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