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第三章 野球の神様に祈る
第7話 マドンナジャパンから強化試合の申し入れが来た
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日本女子プロ野球リーグが四チームに増え、選手の数も倍増して世間にも漸く認知され始めた五年目の春、日本女子野球協会から、八月にカナダで開催される国際女子野球連盟主催の女子野球ワールドカップに備えての強化試合が女子プロリーグへ申し入れられた。
「日本代表チームの強化試合を行いたいのですが、是非、女子プロ選抜チームと対戦させて頂きたいと思いまして・・・ご協力頂けませんか?」
マドンナジャパンと呼ばれる日本代表は、二年毎に行われる国際女子野球ワールドカップで、第一回大会から銀、銀、金、金と毎回世界中にその強さを誇って来た、謂わば、世界最強のチームであった。前大会では九試合中の四試合にコールド勝ちし、決勝戦でも十三対三の五回コールド、圧倒的な強さで優勝した。
話を伝え聞いた由香は大きな不安を覚えた。
相手は長年に亘っての世界最強軍団、対する私達は創立から五年目を迎えたばかりで、然も、女子プロ選手の中には嘗て代表から漏れた選手も多く、私も補欠合格でしかなかった。代表選手自身にも、実力はプロよりもアマチュアである自分達の方が上だ、との思いが強いし、事実、プロに価値を見出せずプロの門を叩く実力者は数少ない。大方のマスコミやファンもそう考えている。もしプロが負ければリーグそのものの存在を否定されかねない・・・
由香はその大きな不安を率直に大野徹にぶつけてみた。
「私たちプロリーグだってこの四年間、毎日、土と汗に塗れて猛練習を積んで来ましたし、試合にだって全知全霊を賭けて臨んで来ました・・・自信は有ります。でも、百パーセント勝つとは言い切れません」
「勝つことだけが全てでは無いんじゃないのか?」
「えっ?」
「プロを代表する一選手としての気持は痛いほど解る、が、お前、肝心なことを忘れていないか?」
「肝心なこと?」
「何方が勝っても負けてもお互いに良い勉強になるし、何より、プロとアマが交流することによって女子野球の裾野が拡がるだろう、これって素晴らしいことじゃないか」
「然し、プロがアマチュアに負ける訳には行きませんわ」
「勿論、俺もプロが勝つことを信じているよ。だが、勝負には、時の運、と言う言葉もあるしな」
「世間では私たちプロよりワールドカップで連覇しているアマチュアの方が強いのではないかって噂もありますし・・・」
「そんなこと、気にしないことだ。プロだろうとアマだろうと日本の女子野球に貢献するなら、何方が強いかなんて二の次だろう」
「・・・・・」
「プロとアマの壁なんて作っていたら、何時まで経っても女子野球はマイナースポーツのままだよ。野球がやりたくても出来ない女の子の為にプロリーグが創られたんだろう、本末転倒しちゃ駄目だよ」
「はい・・・」
「仮に、最初は負けることが有っても、プロという厳しい世界で情熱の全てを燃やして闘っているお前達だろう。その滾る熱い思いと鋼の根性で、二度三度と対戦すれば必ず勝つに決まっているよ、俺はそう信じているぞ」
「解りました、おっしゃる通りです。全力を尽くします」
「日本代表チームの強化試合を行いたいのですが、是非、女子プロ選抜チームと対戦させて頂きたいと思いまして・・・ご協力頂けませんか?」
マドンナジャパンと呼ばれる日本代表は、二年毎に行われる国際女子野球ワールドカップで、第一回大会から銀、銀、金、金と毎回世界中にその強さを誇って来た、謂わば、世界最強のチームであった。前大会では九試合中の四試合にコールド勝ちし、決勝戦でも十三対三の五回コールド、圧倒的な強さで優勝した。
話を伝え聞いた由香は大きな不安を覚えた。
相手は長年に亘っての世界最強軍団、対する私達は創立から五年目を迎えたばかりで、然も、女子プロ選手の中には嘗て代表から漏れた選手も多く、私も補欠合格でしかなかった。代表選手自身にも、実力はプロよりもアマチュアである自分達の方が上だ、との思いが強いし、事実、プロに価値を見出せずプロの門を叩く実力者は数少ない。大方のマスコミやファンもそう考えている。もしプロが負ければリーグそのものの存在を否定されかねない・・・
由香はその大きな不安を率直に大野徹にぶつけてみた。
「私たちプロリーグだってこの四年間、毎日、土と汗に塗れて猛練習を積んで来ましたし、試合にだって全知全霊を賭けて臨んで来ました・・・自信は有ります。でも、百パーセント勝つとは言い切れません」
「勝つことだけが全てでは無いんじゃないのか?」
「えっ?」
「プロを代表する一選手としての気持は痛いほど解る、が、お前、肝心なことを忘れていないか?」
「肝心なこと?」
「何方が勝っても負けてもお互いに良い勉強になるし、何より、プロとアマが交流することによって女子野球の裾野が拡がるだろう、これって素晴らしいことじゃないか」
「然し、プロがアマチュアに負ける訳には行きませんわ」
「勿論、俺もプロが勝つことを信じているよ。だが、勝負には、時の運、と言う言葉もあるしな」
「世間では私たちプロよりワールドカップで連覇しているアマチュアの方が強いのではないかって噂もありますし・・・」
「そんなこと、気にしないことだ。プロだろうとアマだろうと日本の女子野球に貢献するなら、何方が強いかなんて二の次だろう」
「・・・・・」
「プロとアマの壁なんて作っていたら、何時まで経っても女子野球はマイナースポーツのままだよ。野球がやりたくても出来ない女の子の為にプロリーグが創られたんだろう、本末転倒しちゃ駄目だよ」
「はい・・・」
「仮に、最初は負けることが有っても、プロという厳しい世界で情熱の全てを燃やして闘っているお前達だろう。その滾る熱い思いと鋼の根性で、二度三度と対戦すれば必ず勝つに決まっているよ、俺はそう信じているぞ」
「解りました、おっしゃる通りです。全力を尽くします」
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