詩集「支離滅裂」

相良武有

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第二章 二十一歳の詩集

㉗孤独(6)~強姦殺人~

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 強姦殺人は

 曖昧で不確実な現実世界で

 青年を

 ぐっと強力に高揚させる

 珍しい手掛かりであり

 それは

 初めて

 現実世界の河馬の胴体に

 青年の

 噛みつくことの出来る

 稀有な方法である


 青年は

 強姦殺人の手段でなら

 違和感無しに確実に

 カッと熱くなるほど充実して

 現実世界と

 四つに取り組むことが出来る


 青年が

 強姦殺人の武器で

 現実世界の他人たちを攻撃し

 他人たちと青年との違いを

 積極的に示す時

 青年は

 青年が別の

 本物の真正な生活に

 属する人間でると

 他人たちに認められる

 敵だと、怪物だと

 認められる


 青年が

 青年の中の

 青年独自の国

 青年独自の世界を

 実感出来るのは

 そんな他人たちの眼に

 囲まれる時である


 強姦殺人は

 青年に与えられた

 啓示である

 
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