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07. 悪役令嬢は、婚約がお嫌い

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 紅茶やコーヒーには受け皿【ソーサー】があるのを一度は目にしたことがないだろうか。



 この熱いカップの中身をこぼしたり、火傷をしないためにソーサーが一緒に置かれているのだ、と思われがちだが本来の使い道はそうではない。


 このソーサーの目的は、「熱いカップの中身を一旦冷ますため下の受け皿へ入れ替え、飲む」ことから生まれたものだった。


 17世紀頃、当時のイギリスやフランスのティーカップは中国から輸入した取っ手のないカップだったため、輸入したティーカップが非常に熱く、そのままではとても持つことができないためにスープなど皿で飲む文化を、そのまま受け皿【ソーサー】として変換。
 

 このソーサーを使うということで、ヨーロッパではより安全に運ぶことができるようになった。



 そのため当時のソーサーはある程度深みや高さがあり、今の受け皿とは違う形状をしていたのである。



 また西洋人は「猫舌」というものになりやすく熱いものが苦手な人が多いために、この受け皿で冷ますという習慣を行っていたというのも理由の一つのようだ。――






 「こ」


 

 これは、どっちの飲み方を真似すればいい?!




 フィアンナの目の前に広がるのは、真っ白く清潔そうなテーブルシーツに、きらきらと輝く高級そうなティーカップのセット、上から順にクッキー、ケーキ、サンドイッチが乗せられているケーキスタンド。
 

 
 極めつけは。



 「ふむ、良い香りがする。お前のところの茶は美味いな」


 フィアンナから見て右斜め前に姿を構えているのは、ティーカップを人差し指で引っ掛けるようにし、上品なしぐさで飲みながら、目元に赤みの残る顔で笑いかけるルカ・レオミュール皇太子殿下。



 対して、フィアンナから見て左斜め前には、ティーカップからソーサーへと紅茶を移し替え、ソーサーで少しずつ紅茶を味わうようにして飲む、


 「ええ、フルーティーな味わいですね。とても美味しいです」


 シルヴァン・オーギュスト宰相の姿があった。





 ――あの騒動の後、計画をしていたお茶会を予定通りに行ってはどうか、というシルヴァン宰相の一言で一時中断となっていた茶会は取り急ぎ行なわれることとなり、目にもとまらぬ速さで用意がなされた。
 
 その準備の間にと、ルカ殿下は乱れた髪の毛を整えたり、泣いた顔を女中から渡されたタオルで冷やしていたりといろいろと忙しくしていた。



 (ちょっと目を離したすきに、宰相殿がルカ殿下の涙でびしょびしょだった服を魔法で綺麗にしたのはびっくりしたな。やっぱり若いころから無言詠唱ができるなんて相当実力があるってことだよね)



 「白薔薇の花嫁」では主に、火、水、木、土、空の5属性の魔法を魔法学園で行う特訓でパラメータを既定の数値まで上昇させると、無言詠唱が使えるようになったというイベントが発生する。



 攻略対象のルカ殿下は主に空属性の魔法が得意で、自分や物を浮かせたりかまいたちを引き起こす攻撃を得意とし、そのほかの属性の攻略者だと火の玉を飛ばしたり、ロドリゲス先生が私に使った治癒の魔法で癒したりと属性によってできることが色々違うらしい。



 ほかの魔法を見てみたいってお父様たちに言ったら見せてくれるだろうか。



 そんなことを考えていた矢先の出来事だった。



 「――お嬢様?お加減が悪いのですか?」


 「…………あっ、いえ!大丈夫よ、大丈夫!」


 

 カチャリと音を立てる真白いそれらに、フィアンナは眩暈のする思いだった。


 ティーカップ、ケーキスタンド、サンドイッチ。


 何をどうとればいいのが欠片も分からず、フィアンナはまだ何も手を付けることができなかった。



 しかも、目の前の二人は互いに紅茶を違う飲み方で飲んでいるために、もしも種別ごとに決まった飲み方ががあるのならば、紅茶の種類も碌に知らない自分は勘で動きを真似るしかない。



 一体何が正しい飲み方なのか。
 眼前にあるティーに尋ねるが、もちろん答えるわけもなく。



 (テーブルマナーで外側からフォークとかスプーンを取ればいいってくらいの、うっすら塩味程度の知識しか知らないのに王族の前で食事とお茶会なんてできるわけないでしょ!)


 眉間に皺をよせ、じっとテーブルを見つめていることに疑問を抱くルカ王子と宰相の様子に下ばかりに目をやるフィアンナは気が付くこともなかった。



 (ああああ! ピンチ! ほんとにどうしよう……)



 元来あがり症のフィアンナは、こういった場面に陥ると手が震えて何もできなくなってしまうのだ。



 「どうしたフィアンナ。飲まないのか?」



 そう尋ねてきたルカ殿下に思わずぎょっとしてしまう。



 (だよね!飲まなかったらそう聞いてくるよね!)


 ついに頭の中がどうしようでいっぱいになったフィアンナはもうなんと答えていいかわからなくなってしまった。


 「…………あ、あの」



 どうしようどうしようどうしよう。
 


 ルカ殿下かシルヴァン宰相か。




 ある意味究極の2択が迫ってくるが、これでは飲み方を選択する前に制限時間が来てしまう。――




 そんな風にフィアンナがあたふたしていると、執事のジェラールがくすりと笑いだした。




 「お嬢様、猫舌は恥ずかしいことではありませんよ。宰相殿も冷ましてお飲みになっておられます。皇太子殿下のようにお飲みしたい気持ちは分かりますが、火傷をしてはいけませんからね。よく冷ましてお飲みください」


 そういうとジェラールはスススとその雪のように白い手袋を嵌めた手で、ティーカップを私に勧める。


 猫舌に火傷というなんとも平凡な答えにフィアンナは、ジェラールの顔を反射的に目にした。


 電球マークがピコン!と頭の上で鳴り響いた。

 (――そうか! あれは冷まして紅茶を飲んでいただけだったんだ!)



 意外な真実に思わず体の力が抜けた私に、目の前に座っていた客人たちはニコニコと笑いかけてきた。



 「なんだ! お前もシルヴァンと同じで猫舌だったのか。気にせずともよいぞ、俺の前だからとて、好きな飲み方でそれぞれが楽しめばよい」


 「えぇ殿下の仰る通りです。私も猫舌なので、どうしてもソーサーで冷ましてから飲んでしまうんですよ。フィアンナ様も私と同じだと思うと、なんだか親近感が湧きますね」



 クスクスとと口元を両手で押さえ、子どもらしい笑顔を向けてくるルカ殿下とニコリとする宰相殿に良心が痛む。




 すみません、本当はマナーが分からなかったんです、などと口が裂けても言えない。




 「――えぇ、お気遣いいただいて、申し訳ありません」



 私は見よう見まねで、ティーカップからソーサーへと紅茶を半分ほど入れ替える。

 すると、美しい飴色と芳醇な紅茶の香りがふわりと広がった。



 ……あ、いい香り。



 ゆっくりとそれを口へ運ぶ。
 
 口内に香りが広がって、とてもキレのある味わい。

 ストレートの紅茶を、素直に美味しい紅茶だと思って飲めたのは、生まれて始めてだった。



 「美味しい」



 こんなに美味しいなら毎日でも飽きないかもしれない。
 
   先ほどまで感じていたストレスも紅茶の香りに搔き消えていくようだ。

 滅多に飲んだことのない高級な紅茶にフィアンナは舌鼓を味わっていると、ルカ王子ががここぞとばかりに嬉し気にジェラールへと問いかける。




 「よい茶葉だ。これは茶請けも期待してよいのだろう」



 楽し気な殿下に声をかけられたジェラールは、背筋をピンと伸ばし説明を始めた。



 「当家が誇るシェフ一押しのサンドイッチ。そして深い甘みのイチゴを使ったジャムと共に、新鮮な牛乳を使ったクロテッドクリームを乗せたスコーン。サクサクとした食感が楽しめるクッキー。美美に光り輝くアップルタルトなど幅広くご用意しております。腕によりをかけて作った逸品の数々を是非にお召し上がりくださいませ」


 ジェラールの言う通り、ケーキスタンドにはつやつやと光り輝く茶菓子の数々。




 あまりにも紅茶のことが気になりすぎてこちらには全然意識が向いていなかった。



 
 余裕が生まれたフィアンナはそういえば朝から何も食べていないと考え、目を輝かせて眺める。




 (……うわぁ! TVとかで見たことあるやつだこれ!)



 美しく飾られたそれらに思わずごくりと口の中でつばを飲み込む。



 で、でも待てよ。お茶会っていうくらいだし、お茶菓子から食べればいいのかな。

 それとも、やっぱりデザートの前にサンドイッチを食べるべき?




 マナーとは何ぞや……。とフィアンナが遠い所へ意識を飛ばしていると、




 「これは美味そうだ! 是非とも頂こう!」




 なんと、ルカ殿下は手づかみでサンドイッチに手を伸ばし、ぱくりと嚙みついたではないか。




 ――えっ。




 手づかみ。まさかの手づかみである。



 (まさかの手づかみ?! 手づかみ有りなのね?!)




 声を大にして叫びたかった。




 しげしげと殿下の食べる様子を観察していると、サンドイッチに紙ナプキンが巻かれている。

 殿下はどうやらその紙ナプキンが巻かれている部分を手に取って二等辺三角形状の一番先端から食べ進めているらしい。

 美味しい美味しいと食べる様子にこちらまでついつい食べたくなってしまい、我慢しきれなくなった私は殿下の流れに乗っかるようにして、サンドイッチをぱくつく。

 
 ハムにレタス、スライストマトが挟まれたサンドイッチは厚みも味付け。すべてが花丸。
 マスタードがうっすらと塗られていて絶妙な味加減だ。



 「ッ美味しいサンドイッチ、生地がふわふわしてる!」


 「ああ! お前のところのシェフは本当に腕がいい!」



 ぱくぱく。もぐもぐ。ぱくぱく。



 二人は一生懸命になってサンドイッチを食べる。




 ――まさか、殿下とサンドイッチを食べるなんて。



 何時間か前の私は、きっと夢にも思わないだろう。




 「しかし、お二方は美味しそうに食べますねぇ」



 にこやかに話しかける宰相に、フィアンナは手を止めて声のほうを見る。。



 「お前も食べてみるといい! 王宮の堅苦しい食事よりどれほどいいか」

 「ふふ、頬についていますよ。殿下」




 宰相はソーサーを片手に夢中で食べている殿下に笑いかける。



 
 すると、視線をやるこちらに気付いたのか、宰相は流し目をこちらへ向けた。




 そうなると、当然の如く、結果は。




 目が、合った。ーー




 ドクン、ドクン、ドクン。



 

 あぁ、この感覚は。





 どこかで感じたことのある既視感に、私はある一つの考えへと思い当たった。





 ごくり。サンドイッチの最後に口に入れたひとかけらを飲み込む。



 ――あの、もしかして。



 
 そう宰相殿に言いかける私だったが、
 目の前の客人の後ろから、見える団体に言葉を失ってしまう。




 「御機嫌よう、ルカ皇太子殿下。シルヴァン宰相」

 
 のんびりとしていた雰囲気はその一言で瞬く間に一変し、客人たちはその表情を厳しくさせると、その声の人物の方へと振り向いた。
 

 そこにいたのは、紫紺のドレスを揺らし、こちらへ一礼する女性。
 イレーナ・ヴィシャス現当主公爵夫人。


 (フィアンナ・ヴィシャスの、お母様)



 こちらの世界に来てから初めて対面する母親に、目を奪われるフィアンナ。
 


 「お茶会中申し訳ありませんが、少々お時間を頂きたいと存じ上げます。」

 その左隣には、こげ茶のフロックコートを紳士的に着こなす男性。
 アルバート・ヴィシャス公爵。




 そしてその後ろにいたのは――。




 「楽しんでおるようで何よりだな、ルカ」




 青い甲冑を身にまとうユニオール国の国王陛下、カアン・レオミュール国王陛下。


 フィアンナはそうそうたる顔ぶれに動揺を隠せるわけもなく、突然の登場に目を見開いてしまうばかり。

 「父上……!」


 ルカ殿下は急ぎ席から離れると満面の笑みで父の元に飛んでいこうとするが、それを宰相に片手で静止される。

 ルカ殿下は宰相の意外な行動に、驚きの顔つきで見上げた。



 茶会をしていたメンバーでは唯一冷静に行動できていたのは、宰相シルヴァン・オーギュストのみ。



 宰相は席を立つと、片膝をつき、臣下の礼を取った。



 「御前での無礼を謝罪いたします。国王陛下。――」


 「止めろシルヴァン、それよりも先にすべきことがあろう。お前としたことがなんたる様よ」



 カアン国王がやれやれと手を振ると、宰相はすぐに立ち上がり、硬い顔つきでヴィシャス公爵夫妻へと態度を改めた。



 「はっ、失礼いたしました。――ヴィシャス公爵御夫妻様、此度の茶会にお招きいただきまして、誠にありがとうございます。皇太子殿下が非常に有意義な時間を過ごせましたことをここに感謝申し上げると共に、ご挨拶が遅れましたこと、ご令嬢を危険な目に合わせてしまったことを深くお詫び申し上げます」

 「いや、こちらこそ大変申し訳ありません。まさか茶会会場で行き違いになっていたとは、梅雨にも思わず――」



  謝りあう二人の様子に、イレーナは困ったように眉をひそめて見やると、その話を打ち切るように、手にしていた扇をパアンッと叩き付け、派手な音を周囲に響かせた。



 「……なんですの。その猫を被ったような態度は。ここには貴方と私たちしかいないのだからそんな真似はやめて頂戴。さっきから鳥肌が立ってしょうがないのよ」

 

 その言葉にピクリともせず、言葉を投げつけられた相手は白を切る。



 「……さぁ、何のことでしょう。申し訳ありませんが身に覚えが――」



 「宰相殿ではない。一人の人間としての貴方に、大事な用があって来たのよ、シルヴァン」



 有無を言わさないというそのイレーナの態度に周りの人々は押し黙ってしまう。




 「……その、大事な用とは一体何なのです? ヴィシャス公爵夫人」




 なおも頑なな宰相の態度に、イレーナは残念そうに深く溜息を吐いた。




 「――いいわ、ならそのまま黙ってお聞きなさい。大事な話というのはほかでもない。貴方と」



 

 
  フィアンナの婚約についてよ。





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