62 / 81
第三章 敗残編
劉嘉と李宝
しおりを挟む
鄧禹の奇襲策戦は失敗に終わったが、この時の三輔における主戦闘は、逄安と延岑による杜陵での戦いである。
十数万の兵を擁する逄安に単独で立ち向かうのはさすがに分が悪いと感じたか、延岑は李宝と軍を合わせ、数万の兵でこれを迎え撃っている。一時、延岑・李宝の軍は大敗するが、その後、奇計により逆転。逄安は十余万の兵を失い、わずか数千の敗残兵を連れて長安へ帰ることとなる。
その後、二人は別れ、李宝は臣従している劉嘉のもとへ、延岑は本拠地である杜陵へ帰ったようだが、鄧禹はその延岑と藍田で戦っている。
藍田は杜陵の東に隣接する城邑だが、この戦いの理由は今一つはっきりしない。
この時期、赤眉は寥湛を将とする十八万もの大軍を発し、谷口(地名・長安の西北)において劉嘉と戦わせている。
寥湛はもともと更始帝の重臣で穣王に封じられるほどだったが、泥沼の政権末期に叛乱、敗走して赤眉へ降っていた。劉嘉も更始政権下では漢中王に封じられており、いわば元同僚同士の戦いとなったわけだが、鄧禹はこの隙に乗じて延岑を攻めたのかもしれない。
谷口は長安の西北、藍田は東南に位置しており、長安の意識が自分からそれているうちに、孤軍となった延岑を破り、下降の一途をたどる自らの武名を挙げ、兵の士気を取り戻す狙いがあったのだろうか。
もしそうだとすれば、長安への奇襲と意識や目的が変わっておらず、鄧禹の失調が続いていることを表している。
しかもこの戦いは勝つことができなかったようで、鄧禹はここでも何も得られずに終わっている。
だがこの戦いにおける鄧禹の危機と苦難は、この後が本番だった。
「大司徒、一大事でございます。雲陽が劉嘉に占拠されました!」
「なんだと!」
消沈したまま臨時の駐屯地である高陵へ帰ってきた鄧禹は、そこで信じられないような凶報を受けた。今の鄧禹らの根拠地である雲陽が劉嘉に奪われたというのだ。そこには北道から運ばせた食糧も集積されており、絶えず鄧禹らへ輸送されている。つまり鄧禹は命の綱を断たれたことになるのだ。
敗勢濃い鄧禹がこれまで曲がりなりにも戦線を維持できたのは、雲陽からの補給があったればこそである。もしそこを押さえられたとすれば戦いどころではない。鄧禹軍は餓死するしかないであろう。
「兵の休息と再編を終えたら雲陽を目指す。必ず奪還するぞ!」
鄧禹の精神は焼き切れはじめていた。
寥湛は劉嘉に捕えられ、斬首された。
十八万を誇った赤眉軍は、劉嘉に大敗したのだ。
逄安に続く、大軍を擁しての連敗である。赤眉の権威も士気も崩落の一途をたどっている。
とはいえ劉嘉も無傷だったわけではない。相応に損害は受けているし、なによりそろそろ食糧が限界に近づいてきていた。
「さて、どうしたものか…」
劉嘉はその氏があらわすように、歴とした劉氏である。若い頃、劉秀の兄である劉縯と長安へ遊学した経験もあり、劉秀にとっては族兄でもあった。
劉嘉の為人は仁厚で、その性情に激しさは持ち合わせておらず、このような武に関わることは本意ではないのだが、それでもこなさなければ殺されてしまうし、こなせてしまうところに彼の有能さがあらわれている。
「雲陽へ参りましょう」
腕を組んで考える劉嘉へ、相である李宝が提案した。雲陽は今現在彼らがいる谷口の北にある比較的近い城邑だが、そこへ向かう理由が劉嘉にはとっさにわからず反問した。
「雲陽へ」
「はい、そこにはいま食糧が集められているそうです。それこそ我が軍をまかなうに充分な量が」
「なぜそのようなところに。誰が集めたのだ」
「まだそこまでは調べがついておりませぬが、おそらく赤眉が近隣から徴収したものでしょう。彼らはいま頻繁に軍行動を起こしておりますゆえ、もしかしたら再度北への進軍を考えているのかもしれませぬ」
「ふむ…」
劉嘉は腕を組んで沈思した。
そんな主君を眺めつつ、李宝は彼に臣従したときから感じている、こびりつくようなもどかしさを覚えていた。
「もう少し覇気を持っていただけないものだろうか…」
李宝も劉嘉同様、更始政権に属していた。更始帝が滅亡して立場が宙に浮いてしまったところも同じだったが、李宝の焦燥感は強かった。
「このままでは立ち枯れしてしまう…」
李宝は更始帝の命令で武都郡を守っていたが、彼に自力で勢力を培ってゆくことはできない。能力に自信はあるが、今の中華で劉氏以外の人間が政権を作るのは困難であったし、李宝本人にもまだそこまでの実績も基盤もなかった。
それゆえ劉嘉が延岑に敗れて武都郡へ逃げ込んできたことは、李宝にとって千載一遇の好機であった。
「劉嘉を皇帝に仕立てて天下を取らせよう。そうすればわしも位人臣を極められるぞ」
生き残るためだけならば、赤眉なり隗囂なり他の誰かに降伏してもよかったかもしれない。だが更始政権下の李宝がそれなりに重用されながらも、帝の側近にまで取り立てらられなかったのは、やはり「立ち上げ」から参加していなかったことが大きい。明らかに自分より無能であるのに上位にいた者は幾人もいて、李宝としては歯がゆい思いをしていたのだ。
だが今の劉嘉を皇帝にしようとすれば、まさに立ち上げ期そのもので、李宝が側近第一位になれるのも明らかである。
「賭けてみる価値はある」
勇躍、李宝は延岑を撃退し、劉嘉を救け、臣従することを誓い、劉嘉もそんな李宝に喜び、彼を自らの相として抜擢したのだ。
劉嘉は更始帝の側近たちの誰よりも優秀であり、有能であった。教養もあり、穏やかな人柄に応じて器量も申し分なかった。
そこまでは李宝にとって理想的な主君だったのだが、彼には一つ欠点があった。
絶対的な野心や覇気に乏しかったのだ。
ある意味、これは「中原に鹿を追う」という帝位争奪戦のおいて致命的な欠陥だった。なまじ教養があり、人格も高潔な劉嘉は、金品や権力を使っての指嗾にも乗ってこない。
「これは別口に乗り換える方がよいか…」
そのようなことも考えるが、しかしこれほど好条件のそろった「劉氏」が他にいるわけでもない。
「もう少し粘ってみるか」
劉嘉を見限るにせよ、今少し天下の推移を見極めてからでも遅くない。李宝はそのように考え、劉嘉に尽くしていた。
もちろん李宝は今の雲陽が鄧禹の支配する城邑だと確認済みであった。それを素直に報告しなかったのは、劉嘉を追いつめる意図もあったのだ。
「赤眉と敵対している漢中王(劉嘉)が連中に降ることはない。涼州(隗囂)や蜀(公孫述)に降る可能性もあるが、誰より洛陽の劉秀へ帰順するそれが最も高いだろう。できるならその芽は潰しておきたいからな」
劉秀は劉縯の弟で、当然劉嘉も知っている。また同じ劉氏であるだけに、隗囂や公孫述に比べ、心情的に降りやすいだろう。
だがそうなっては李宝の野望は霧消してしまう。劉秀の近くには鄧禹をはじめ、すでに幾人もの幕僚が存在しているだけに、李宝が共に降っても、栄達は相当困難なものになる。
それゆえ李宝は、劉嘉と鄧禹(=劉秀)の間に隙を生じさせ、劉嘉をして自ら皇帝として立たねばならぬ状況を作ってしまおうと考えていたのだ。
「わかった、雲陽へ行こう」
思案していた劉嘉だが、ほどなく決定すると、軍を雲陽へ向けた。細かなことを李宝に尋ねなかったのは、一度登用したからには全面的に信じるという劉嘉の大度によるものだが、これはどちらかといえば君主の器量というより、彼個人の為人に拠るところが大きいかもしれない。
李宝としてはこれを王者のそれに作り変えたいと望み、様々に画策しているのだ。
十数万の兵を擁する逄安に単独で立ち向かうのはさすがに分が悪いと感じたか、延岑は李宝と軍を合わせ、数万の兵でこれを迎え撃っている。一時、延岑・李宝の軍は大敗するが、その後、奇計により逆転。逄安は十余万の兵を失い、わずか数千の敗残兵を連れて長安へ帰ることとなる。
その後、二人は別れ、李宝は臣従している劉嘉のもとへ、延岑は本拠地である杜陵へ帰ったようだが、鄧禹はその延岑と藍田で戦っている。
藍田は杜陵の東に隣接する城邑だが、この戦いの理由は今一つはっきりしない。
この時期、赤眉は寥湛を将とする十八万もの大軍を発し、谷口(地名・長安の西北)において劉嘉と戦わせている。
寥湛はもともと更始帝の重臣で穣王に封じられるほどだったが、泥沼の政権末期に叛乱、敗走して赤眉へ降っていた。劉嘉も更始政権下では漢中王に封じられており、いわば元同僚同士の戦いとなったわけだが、鄧禹はこの隙に乗じて延岑を攻めたのかもしれない。
谷口は長安の西北、藍田は東南に位置しており、長安の意識が自分からそれているうちに、孤軍となった延岑を破り、下降の一途をたどる自らの武名を挙げ、兵の士気を取り戻す狙いがあったのだろうか。
もしそうだとすれば、長安への奇襲と意識や目的が変わっておらず、鄧禹の失調が続いていることを表している。
しかもこの戦いは勝つことができなかったようで、鄧禹はここでも何も得られずに終わっている。
だがこの戦いにおける鄧禹の危機と苦難は、この後が本番だった。
「大司徒、一大事でございます。雲陽が劉嘉に占拠されました!」
「なんだと!」
消沈したまま臨時の駐屯地である高陵へ帰ってきた鄧禹は、そこで信じられないような凶報を受けた。今の鄧禹らの根拠地である雲陽が劉嘉に奪われたというのだ。そこには北道から運ばせた食糧も集積されており、絶えず鄧禹らへ輸送されている。つまり鄧禹は命の綱を断たれたことになるのだ。
敗勢濃い鄧禹がこれまで曲がりなりにも戦線を維持できたのは、雲陽からの補給があったればこそである。もしそこを押さえられたとすれば戦いどころではない。鄧禹軍は餓死するしかないであろう。
「兵の休息と再編を終えたら雲陽を目指す。必ず奪還するぞ!」
鄧禹の精神は焼き切れはじめていた。
寥湛は劉嘉に捕えられ、斬首された。
十八万を誇った赤眉軍は、劉嘉に大敗したのだ。
逄安に続く、大軍を擁しての連敗である。赤眉の権威も士気も崩落の一途をたどっている。
とはいえ劉嘉も無傷だったわけではない。相応に損害は受けているし、なによりそろそろ食糧が限界に近づいてきていた。
「さて、どうしたものか…」
劉嘉はその氏があらわすように、歴とした劉氏である。若い頃、劉秀の兄である劉縯と長安へ遊学した経験もあり、劉秀にとっては族兄でもあった。
劉嘉の為人は仁厚で、その性情に激しさは持ち合わせておらず、このような武に関わることは本意ではないのだが、それでもこなさなければ殺されてしまうし、こなせてしまうところに彼の有能さがあらわれている。
「雲陽へ参りましょう」
腕を組んで考える劉嘉へ、相である李宝が提案した。雲陽は今現在彼らがいる谷口の北にある比較的近い城邑だが、そこへ向かう理由が劉嘉にはとっさにわからず反問した。
「雲陽へ」
「はい、そこにはいま食糧が集められているそうです。それこそ我が軍をまかなうに充分な量が」
「なぜそのようなところに。誰が集めたのだ」
「まだそこまでは調べがついておりませぬが、おそらく赤眉が近隣から徴収したものでしょう。彼らはいま頻繁に軍行動を起こしておりますゆえ、もしかしたら再度北への進軍を考えているのかもしれませぬ」
「ふむ…」
劉嘉は腕を組んで沈思した。
そんな主君を眺めつつ、李宝は彼に臣従したときから感じている、こびりつくようなもどかしさを覚えていた。
「もう少し覇気を持っていただけないものだろうか…」
李宝も劉嘉同様、更始政権に属していた。更始帝が滅亡して立場が宙に浮いてしまったところも同じだったが、李宝の焦燥感は強かった。
「このままでは立ち枯れしてしまう…」
李宝は更始帝の命令で武都郡を守っていたが、彼に自力で勢力を培ってゆくことはできない。能力に自信はあるが、今の中華で劉氏以外の人間が政権を作るのは困難であったし、李宝本人にもまだそこまでの実績も基盤もなかった。
それゆえ劉嘉が延岑に敗れて武都郡へ逃げ込んできたことは、李宝にとって千載一遇の好機であった。
「劉嘉を皇帝に仕立てて天下を取らせよう。そうすればわしも位人臣を極められるぞ」
生き残るためだけならば、赤眉なり隗囂なり他の誰かに降伏してもよかったかもしれない。だが更始政権下の李宝がそれなりに重用されながらも、帝の側近にまで取り立てらられなかったのは、やはり「立ち上げ」から参加していなかったことが大きい。明らかに自分より無能であるのに上位にいた者は幾人もいて、李宝としては歯がゆい思いをしていたのだ。
だが今の劉嘉を皇帝にしようとすれば、まさに立ち上げ期そのもので、李宝が側近第一位になれるのも明らかである。
「賭けてみる価値はある」
勇躍、李宝は延岑を撃退し、劉嘉を救け、臣従することを誓い、劉嘉もそんな李宝に喜び、彼を自らの相として抜擢したのだ。
劉嘉は更始帝の側近たちの誰よりも優秀であり、有能であった。教養もあり、穏やかな人柄に応じて器量も申し分なかった。
そこまでは李宝にとって理想的な主君だったのだが、彼には一つ欠点があった。
絶対的な野心や覇気に乏しかったのだ。
ある意味、これは「中原に鹿を追う」という帝位争奪戦のおいて致命的な欠陥だった。なまじ教養があり、人格も高潔な劉嘉は、金品や権力を使っての指嗾にも乗ってこない。
「これは別口に乗り換える方がよいか…」
そのようなことも考えるが、しかしこれほど好条件のそろった「劉氏」が他にいるわけでもない。
「もう少し粘ってみるか」
劉嘉を見限るにせよ、今少し天下の推移を見極めてからでも遅くない。李宝はそのように考え、劉嘉に尽くしていた。
もちろん李宝は今の雲陽が鄧禹の支配する城邑だと確認済みであった。それを素直に報告しなかったのは、劉嘉を追いつめる意図もあったのだ。
「赤眉と敵対している漢中王(劉嘉)が連中に降ることはない。涼州(隗囂)や蜀(公孫述)に降る可能性もあるが、誰より洛陽の劉秀へ帰順するそれが最も高いだろう。できるならその芽は潰しておきたいからな」
劉秀は劉縯の弟で、当然劉嘉も知っている。また同じ劉氏であるだけに、隗囂や公孫述に比べ、心情的に降りやすいだろう。
だがそうなっては李宝の野望は霧消してしまう。劉秀の近くには鄧禹をはじめ、すでに幾人もの幕僚が存在しているだけに、李宝が共に降っても、栄達は相当困難なものになる。
それゆえ李宝は、劉嘉と鄧禹(=劉秀)の間に隙を生じさせ、劉嘉をして自ら皇帝として立たねばならぬ状況を作ってしまおうと考えていたのだ。
「わかった、雲陽へ行こう」
思案していた劉嘉だが、ほどなく決定すると、軍を雲陽へ向けた。細かなことを李宝に尋ねなかったのは、一度登用したからには全面的に信じるという劉嘉の大度によるものだが、これはどちらかといえば君主の器量というより、彼個人の為人に拠るところが大きいかもしれない。
李宝としてはこれを王者のそれに作り変えたいと望み、様々に画策しているのだ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
本能寺からの決死の脱出 ~尾張の大うつけ 織田信長 天下を統一す~
bekichi
歴史・時代
戦国時代の日本を背景に、織田信長の若き日の物語を語る。荒れ狂う風が尾張の大地を駆け巡る中、夜空の星々はこれから繰り広げられる壮絶な戦いの予兆のように輝いている。この混沌とした時代において、信長はまだ無名であったが、彼の野望はやがて天下を揺るがすことになる。信長は、父・信秀の治世に疑問を持ちながらも、独自の力を蓄え、異なる理想を追求し、反逆者とみなされることもあれば期待の星と讃えられることもあった。彼の目標は、乱世を統一し平和な時代を創ることにあった。物語は信長の足跡を追い、若き日の友情、父との確執、大名との駆け引きを描く。信長の人生は、斎藤道三、明智光秀、羽柴秀吉、徳川家康、伊達政宗といった時代の英傑たちとの交流とともに、一つの大きな物語を形成する。この物語は、信長の未知なる野望の軌跡を描くものである。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-
ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。
1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。
わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。
だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。
これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。
希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。
※アルファポリス限定投稿
大東亜戦争を有利に
ゆみすけ
歴史・時代
日本は大東亜戦争に負けた、完敗であった。 そこから架空戦記なるものが増殖する。 しかしおもしろくない、つまらない。 であるから自分なりに無双日本軍を架空戦記に参戦させました。 主観満載のラノベ戦記ですから、ご感弁を
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
織田信長 -尾州払暁-
藪から犬
歴史・時代
織田信長は、戦国の世における天下統一の先駆者として一般に強くイメージされますが、当然ながら、生まれついてそうであるわけはありません。
守護代・織田大和守家の家来(傍流)である弾正忠家の家督を継承してから、およそ14年間を尾張(現・愛知県西部)の平定に費やしています。そして、そのほとんどが一族間での骨肉の争いであり、一歩踏み外せば死に直結するような、四面楚歌の道のりでした。
織田信長という人間を考えるとき、この彼の青春時代というのは非常に色濃く映ります。
そこで、本作では、天文16年(1547年)~永禄3年(1560年)までの13年間の織田信長の足跡を小説としてじっくりとなぞってみようと思いたった次第です。
毎週の月曜日00:00に次話公開を目指しています。
スローペースの拙稿ではありますが、お付き合いいただければ嬉しいです。
(2022.04.04)
※信長公記を下地としていますが諸出来事の年次比定を含め随所に著者の創作および定説ではない解釈等がありますのでご承知置きください。
※アルファポリスの仕様上、「HOTランキング用ジャンル選択」欄を「男性向け」に設定していますが、区別する意図はとくにありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる