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美穂(結ママ)③
⑤
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日曜日、いつまでも寝ている雅教を置いて、美穂は結とりんご公園に出かけた。りんごの形の登れるオブジェが目印で、遊具に噴水、山、野球場などがある。鳩が来ることもある。歩いて行ける距離ではないので滅多に行かない。
結は喜んで車から飛び降り、遊具の方へ走って行ったが、まだクラスの子はいなかった。少しがっかりした結を励ますために、美穂は一緒に滑り台を滑った。思いの外急で怖くて、大声を出してしまった美穂を見て、結は笑った。
「こんなに怖いんだね。滑り台」
「そうなんだよ。ママ泣かないでよ」
「よーし、もう一回!」
何回か滑って、他にもジャングルジムなどに登って遊んでいたら、さくらちゃんが来た。お母さんと、お姉ちゃんも一緒だった。
「さくらー!」
もう友達が来たら結は美穂から離れ、駆け回って遊んだ。さくらちゃんのお母さんに挨拶する。なんと家がこの近所のようだ。保育園は、会社と近いとのことだった。続いて両親とともにらんちゃんも現れた。お父さんお母さんはこちらに会釈をしただけで、自分達も子供達に混ざって遊んでいる。やっと万恵ちゃんが来た時には、もう子供達は遊具エリアから山エリアに移動していた。
「……」
お母さんと一緒だった。当然のように、パパが万恵ちゃんと二人で来ると思っていた。後から来るのだろうか。でも、万恵ちゃんのお母さんには訊きづらい。遊ぶのは子供なのだから、同伴する親が父だろうが母だろうが関係ない。でも。
「こんにちは、遅くなっちゃいました」
万恵ちゃんのお母さんはみんなに挨拶をした。にっこり笑って、可愛いと思った。さくらちゃんのお母さんは親しいのか、「この辺で遊ぶときは今度から声かけてよー」などと話している。
山からりんごのオブジェに行き、また遊具で遊び、次は虫探し。それがいつの間にかプリンセスごっこになった。親たちは移動毎に近場のベンチに座り、さくらちゃんのお母さんがずっと上の子供の話をしていた。上の二人が高学年になり、受験させようかどうしようかというような話だ。この保育園を終えたらそういうステージになるのだ。
「先生は中学から私立?」
「いや、私は大学までずっと国公立」
「そうなんだー。私は中学から中高一貫に入ってるから、迷ってるの」
二人はやはり親しい雰囲気で、美穂は話についていけず子供達を眺めていた。するとそこに、万恵ちゃんのパパも混ざっている。あぁ、遅れて来たんだ。美穂はベンチを立つと、そっちの方へ行くことにした。
結は喜んで車から飛び降り、遊具の方へ走って行ったが、まだクラスの子はいなかった。少しがっかりした結を励ますために、美穂は一緒に滑り台を滑った。思いの外急で怖くて、大声を出してしまった美穂を見て、結は笑った。
「こんなに怖いんだね。滑り台」
「そうなんだよ。ママ泣かないでよ」
「よーし、もう一回!」
何回か滑って、他にもジャングルジムなどに登って遊んでいたら、さくらちゃんが来た。お母さんと、お姉ちゃんも一緒だった。
「さくらー!」
もう友達が来たら結は美穂から離れ、駆け回って遊んだ。さくらちゃんのお母さんに挨拶する。なんと家がこの近所のようだ。保育園は、会社と近いとのことだった。続いて両親とともにらんちゃんも現れた。お父さんお母さんはこちらに会釈をしただけで、自分達も子供達に混ざって遊んでいる。やっと万恵ちゃんが来た時には、もう子供達は遊具エリアから山エリアに移動していた。
「……」
お母さんと一緒だった。当然のように、パパが万恵ちゃんと二人で来ると思っていた。後から来るのだろうか。でも、万恵ちゃんのお母さんには訊きづらい。遊ぶのは子供なのだから、同伴する親が父だろうが母だろうが関係ない。でも。
「こんにちは、遅くなっちゃいました」
万恵ちゃんのお母さんはみんなに挨拶をした。にっこり笑って、可愛いと思った。さくらちゃんのお母さんは親しいのか、「この辺で遊ぶときは今度から声かけてよー」などと話している。
山からりんごのオブジェに行き、また遊具で遊び、次は虫探し。それがいつの間にかプリンセスごっこになった。親たちは移動毎に近場のベンチに座り、さくらちゃんのお母さんがずっと上の子供の話をしていた。上の二人が高学年になり、受験させようかどうしようかというような話だ。この保育園を終えたらそういうステージになるのだ。
「先生は中学から私立?」
「いや、私は大学までずっと国公立」
「そうなんだー。私は中学から中高一貫に入ってるから、迷ってるの」
二人はやはり親しい雰囲気で、美穂は話についていけず子供達を眺めていた。するとそこに、万恵ちゃんのパパも混ざっている。あぁ、遅れて来たんだ。美穂はベンチを立つと、そっちの方へ行くことにした。
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