28 / 57
沙織(駿斗ママ)②
④
しおりを挟む
眼鏡君は同じ界隈にあるバーに居た。朝川と付き合う前に、よくアフターで利用した店だ。
「もっと話したいって言ってたから、待ってたよ」
眼鏡君はウイスキーを飲んでいた。沙織はここではよくわからないが見た目が可愛いカクテルをいつも頼む。
「ごめんね、さっき」
「べつにサリーが悪いわけじゃないし」
沙織は「サリー」という源氏名で働いている。エリーとサリーで揃えて、もう一人もまりなという名前なのでマリーだ。
「俺、ああいう二次産業的な人達と永らく接してないから、扱い方がわかんなくてね」
二次産業とはなんなのかよくわからないが、眼鏡君もさっきのことは気にはしているようだ。意外と繊細だったりして。
「ママがうまくやってくれたから。ねぇ、めがねっちはさ、どうしてあのアプリしてたの? 彼女が欲しいの?」
もう待っていてくれた時から、色々とハードルが下がった。お互い酔っているし沙織は攻めの姿勢で臨むことにした。
「そうに決まってるじゃん。仕事と関係あるとこで彼女作ると面倒だからね。サリーは?」
「結婚したくて」
眼鏡君は吹き出した。
「ちょ、もっと婚活っぽいアプリあるでしょ」
「男と別れたばっかでそこまで頭回んなかった」
「まじ。俺とはテンションが違うわけね」
やっぱり眼鏡君は、結婚したいわけではないのだ。
「重いか」
「重いな」
「あたし、軽くてもそれはそれでいいんだけどね」
「おっ。強がり始めたか。そういう演技するからちゃんとした奴と付き合えないんじゃないの? 女が一人で生きてくなんて大変でしょ。素直になって、真剣に恋愛しなきゃ」
遊び目的のくせに、なんだか説教くさい。しかし、強がりと言われればそうなのかもしれないと思った。沙織は朝川の前で、いつも演技していたかもしれない。
「そんなこと言っても、あたしのことどうにもしてくれないんでしょ? 口ばっかりだと説得力ないよ。いいよ、無理なら無理って言ってくれても。あたしは、めがねっちイケメンだし好みだけどね。だから今、イケメンと飲んでるだけでちょっと気分上がる」
沙織は笑って見せた。自分が何を言ってるのかよくわからない。
「サリー可愛いから、俺待ってたんだけどね。結婚はしてやれないけど、軽めの付き合いならしたいけど」
……駄目だ。こいつ駄目な男。都合のいい女、探してるだけだ。絶対他にいる。結婚してるか、彼女いる。でもやりたい。寂しい。深みにはまらなければ、本命が出来るまでの繋ぎとしてこっちも利用すれば、それもあり?
「もっと話したいって言ってたから、待ってたよ」
眼鏡君はウイスキーを飲んでいた。沙織はここではよくわからないが見た目が可愛いカクテルをいつも頼む。
「ごめんね、さっき」
「べつにサリーが悪いわけじゃないし」
沙織は「サリー」という源氏名で働いている。エリーとサリーで揃えて、もう一人もまりなという名前なのでマリーだ。
「俺、ああいう二次産業的な人達と永らく接してないから、扱い方がわかんなくてね」
二次産業とはなんなのかよくわからないが、眼鏡君もさっきのことは気にはしているようだ。意外と繊細だったりして。
「ママがうまくやってくれたから。ねぇ、めがねっちはさ、どうしてあのアプリしてたの? 彼女が欲しいの?」
もう待っていてくれた時から、色々とハードルが下がった。お互い酔っているし沙織は攻めの姿勢で臨むことにした。
「そうに決まってるじゃん。仕事と関係あるとこで彼女作ると面倒だからね。サリーは?」
「結婚したくて」
眼鏡君は吹き出した。
「ちょ、もっと婚活っぽいアプリあるでしょ」
「男と別れたばっかでそこまで頭回んなかった」
「まじ。俺とはテンションが違うわけね」
やっぱり眼鏡君は、結婚したいわけではないのだ。
「重いか」
「重いな」
「あたし、軽くてもそれはそれでいいんだけどね」
「おっ。強がり始めたか。そういう演技するからちゃんとした奴と付き合えないんじゃないの? 女が一人で生きてくなんて大変でしょ。素直になって、真剣に恋愛しなきゃ」
遊び目的のくせに、なんだか説教くさい。しかし、強がりと言われればそうなのかもしれないと思った。沙織は朝川の前で、いつも演技していたかもしれない。
「そんなこと言っても、あたしのことどうにもしてくれないんでしょ? 口ばっかりだと説得力ないよ。いいよ、無理なら無理って言ってくれても。あたしは、めがねっちイケメンだし好みだけどね。だから今、イケメンと飲んでるだけでちょっと気分上がる」
沙織は笑って見せた。自分が何を言ってるのかよくわからない。
「サリー可愛いから、俺待ってたんだけどね。結婚はしてやれないけど、軽めの付き合いならしたいけど」
……駄目だ。こいつ駄目な男。都合のいい女、探してるだけだ。絶対他にいる。結婚してるか、彼女いる。でもやりたい。寂しい。深みにはまらなければ、本命が出来るまでの繋ぎとしてこっちも利用すれば、それもあり?
0
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説
粗暴で優しい幼馴染彼氏はおっとり系彼女を好きすぎる
春音優月
恋愛
おっとりふわふわ大学生の一色のどかは、中学生の時から付き合っている幼馴染彼氏の黒瀬逸希と同棲中。態度や口は荒っぽい逸希だけど、のどかへの愛は大きすぎるほど。
幸せいっぱいなはずなのに、逸希から一度も「好き」と言われてないことに気がついてしまって……?
幼馴染大学生の糖度高めなショートストーリー。
2024.03.06
イラスト:雪緒さま
10 sweet wedding
国樹田 樹
恋愛
『十年後もお互い独身だったら、結婚しよう』 そんな、どこかのドラマで見た様な約束をした私達。 けれど十年後の今日、私は彼の妻になった。 ……そんな二人の、式後のお話。
【完結】辺境の白百合と帝国の黒鷲
もわゆぬ
恋愛
美しく可憐な白百合は、
強く凛々しい帝国の黒鷲に恋をする。
黒鷲を強く望んだ白百合は、運良く黒鷲と夫婦となる。
白百合(男)と黒鷲(女)の男女逆転?の恋模様。
これは、そんな二人が本当の夫婦になる迄のお話し。
※小説家になろう、ノベルアップ+様にも投稿しています。
羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。
泉野あおい
恋愛
人の気持ちに重い軽いがあるなんて変だと思ってた。
でも今、確かに思ってる。
―――この愛は、重い。
------------------------------------------
羽柴健人(30)
羽柴法律事務所所長 鳳凰グループ法律顧問
座右の銘『危ない橋ほど渡りたい。』
好き:柊みゆ
嫌い:褒められること
×
柊 みゆ(28)
弱小飲料メーカー→鳳凰グループ・ホウオウ総務部
座右の銘『石橋は叩いて渡りたい。』
好き:走ること
苦手:羽柴健人
------------------------------------------
人違いラブレターに慣れていたので今回の手紙もスルーしたら、片思いしていた男の子に告白されました。この手紙が、間違いじゃないって本当ですか?
石河 翠
恋愛
クラス内に「ワタナベ」がふたりいるため、「可愛いほうのワタナベさん」宛のラブレターをしょっちゅう受け取ってしまう「そうじゃないほうのワタナベさん」こと主人公の「わたし」。
ある日「わたし」は下駄箱で、万年筆で丁寧に宛名を書いたラブレターを見つける。またかとがっかりした「わたし」は、その手紙をもうひとりの「ワタナベ」の下駄箱へ入れる。
ところが、その話を聞いた隣のクラスのサイトウくんは、「わたし」が驚くほど動揺してしまう。 実はその手紙は本当に彼女宛だったことが判明する。そしてその手紙を書いた「地味なほうのサイトウくん」にも大きな秘密があって……。
「真面目」以外にとりえがないと思っている「わたし」と、そんな彼女を見守るサイトウくんの少女マンガのような恋のおはなし。
小説家になろう及びエブリスタにも投稿しています。
扉絵は汐の音さまに描いていただきました。
貧乏大家族の私が御曹司と偽装結婚⁈
玖羽 望月
恋愛
朝木 与織子(あさぎ よりこ) 22歳
大学を卒業し、やっと憧れの都会での生活が始まった!と思いきや、突然降って湧いたお見合い話。
でも、これはただのお見合いではないらしい。
初出はエブリスタ様にて。
また番外編を追加する予定です。
シリーズ作品「恋をするのに理由はいらない」公開中です。
表紙は、「かんたん表紙メーカー」様https://sscard.monokakitools.net/covermaker.htmlで作成しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる