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小悪魔
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三人とも同じ方向なので、三人で帰ることになった。三人になると、すごく微妙な空気になる。優吾が万夢のネガキャンをしながら茉莉沙に話しかけ、万夢と優吾の口喧嘩になって、茉莉沙が黙るからまた繰り返す。二人の方がいい。
「俺、お化け屋敷見たーい! 遊びに行ってもいい?」
優吾が言った。嫌われてるのになんてKYなんだろう。
「ちょっと、お化け屋敷って酷いんじゃない? なんでそーゆーこと言うの?」
「なんだよお前だって昔は言ってたじゃねえか」
「空き家の時の話でしょ」
万夢はさりげなく話題をすり替えて、茉莉沙が逃げれるようにした。優吾が嫌いなんだから、家に来られるのは迷惑なはずだ。
しかし茉莉沙は承諾した。
「別にいいけど、面白いものは何もないよ」
「えっ!」
優吾と万夢は目を丸くした。万夢も茉莉沙がどういう暮らしをしているのか興味はあるが、一人で遊びに行った場合ユヅキらにバレると厄介なので踏み切れなかった。その点優吾と一緒なら安全である。
でもどうしてだろう。優吾のことは嫌いなはずなのに。
優吾は喜んでランドセルを家に置きに行った。何分かのことだが、万夢は茉莉沙と二人になった。
「……なんか、ごめんねー。優吾のやつさ、図々しいにもほどがあるね」
「別に」
「私も、行ってもいい?」
「うん」
「優吾は途中で公園行くかもだけど」
「うん」
私は、今日は行かない。
「おーい!」
優吾がすぐに追いついてきた。今度は万夢の家に着いたので万夢が離脱した。リュックを置いて、スマホを取る。反射的にラインを見た。今日はみんなは川上公園で遊んでいるようだ。最近潤二郎もグループに入っているが、男子もガオカではなく川上にいるらしい。
《今日は不参加。楽しんでねー》
素早く書き込んだ。既読がみるみるついて、何名かはスタンプを押してくれた。
《なにしてるの?》
いきなり返信がついた。潤二郎だった。
何してるかなんていいじゃん。このKY。茉莉沙の家に行くなんて書けない。
《女は色々あるの》
とりあえず生理痛を匂わせることを書き込んで、追及を阻止した。スマホはポケットにしまう。早く戻らないと。茉莉沙は優吾が嫌いなんだから、万夢がいてあげないと。
慌てて二人を追いかけた。二人は、親密そうに話して歩いている。茉莉沙も笑っている。
「……」
足が止まった。なんだか、間に入りづらいと感じた。
しかし優吾が振り返り、気付いてくれた。
「なんだよ、この超短距離で疲れたのか?」
「ばか、違うし」
万夢は再び、駆け足で二人のもとへ急いだ。
「俺、お化け屋敷見たーい! 遊びに行ってもいい?」
優吾が言った。嫌われてるのになんてKYなんだろう。
「ちょっと、お化け屋敷って酷いんじゃない? なんでそーゆーこと言うの?」
「なんだよお前だって昔は言ってたじゃねえか」
「空き家の時の話でしょ」
万夢はさりげなく話題をすり替えて、茉莉沙が逃げれるようにした。優吾が嫌いなんだから、家に来られるのは迷惑なはずだ。
しかし茉莉沙は承諾した。
「別にいいけど、面白いものは何もないよ」
「えっ!」
優吾と万夢は目を丸くした。万夢も茉莉沙がどういう暮らしをしているのか興味はあるが、一人で遊びに行った場合ユヅキらにバレると厄介なので踏み切れなかった。その点優吾と一緒なら安全である。
でもどうしてだろう。優吾のことは嫌いなはずなのに。
優吾は喜んでランドセルを家に置きに行った。何分かのことだが、万夢は茉莉沙と二人になった。
「……なんか、ごめんねー。優吾のやつさ、図々しいにもほどがあるね」
「別に」
「私も、行ってもいい?」
「うん」
「優吾は途中で公園行くかもだけど」
「うん」
私は、今日は行かない。
「おーい!」
優吾がすぐに追いついてきた。今度は万夢の家に着いたので万夢が離脱した。リュックを置いて、スマホを取る。反射的にラインを見た。今日はみんなは川上公園で遊んでいるようだ。最近潤二郎もグループに入っているが、男子もガオカではなく川上にいるらしい。
《今日は不参加。楽しんでねー》
素早く書き込んだ。既読がみるみるついて、何名かはスタンプを押してくれた。
《なにしてるの?》
いきなり返信がついた。潤二郎だった。
何してるかなんていいじゃん。このKY。茉莉沙の家に行くなんて書けない。
《女は色々あるの》
とりあえず生理痛を匂わせることを書き込んで、追及を阻止した。スマホはポケットにしまう。早く戻らないと。茉莉沙は優吾が嫌いなんだから、万夢がいてあげないと。
慌てて二人を追いかけた。二人は、親密そうに話して歩いている。茉莉沙も笑っている。
「……」
足が止まった。なんだか、間に入りづらいと感じた。
しかし優吾が振り返り、気付いてくれた。
「なんだよ、この超短距離で疲れたのか?」
「ばか、違うし」
万夢は再び、駆け足で二人のもとへ急いだ。
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