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異星人
⑤
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「なんで俺だけ。女子たちだってほとんどこっそり持ってきてるのに」
潤二郎はスマホを取り戻し、さっそくいじりながら帰路についた。他のみんなは「初心者なんだから隠すのが下手なんだ」「仕方ない」と潤二郎を慰める。優吾は「持ってこなければいいだろ」と何回も言いそうになったが、やめた。規則を守るか守らないかは、潤二郎の自由だった。
「そんなに面白いわけ? 何が面白いの?」
「オンラインゲームと、ラインかな。SNS系はなんかうまくできない。親が設定してるみたいで」
「ふーん」
この渦巻く感情は、羨ましいからだ。きっとそうだ。
「ていうか女子ひでえわ。ライン。夕飯くらいから十二時過ぎまでずっと喋ってる」
入らなきゃよかったーと言いながら、潤二郎は嬉しそうにした。女は話がさぞ長いだろうと思う。優吾たちが公園で走り回っている間ずーっと、座って話しているだけで楽しいらしい。
「万夢も参加なの?」
「なんかしょっちゅう親ブロック入るらしくて途切れ途切れ参加だわ。他のメンバーは割と寛容な親かな」
「そーか」
万夢はスマホに憧れが強かった分どっぷりハマっているが、下にきょうだいもいるし制約も多そうだ。
「でも最近は異星人のネタばっかりで、男子としての意見とか求められるけどほんとのことなんて書けない雰囲気」
「異星人って何」
レオンが訊いた。
「関口だよ。そうとうあの髪が受け入れられないみたいでね、キモいよねとか」
「……」
「確かに髪はキモいかもだけど、顔とか可愛いしユヅキのブスなんかよりぶっちゃけありでしょ? なのにキモいとしか書けない」
みんな一斉に爆笑した。そこで優吾は、関口が掃除当番だったことを思い出した。
「やっべ忘れ物! 俺学校戻るわ」
「何忘れた?」
「筆箱!」
優吾は学校に向かって走り出した。くたくたのランドセルの中で筆箱がガンガン踊っている。今から向かえば、ちょうど掃除当番が帰る頃になる。
自分は関口のことが好きなんだな、と思った。でもきっと異星人だから好きなんだ。
潤二郎はスマホを取り戻し、さっそくいじりながら帰路についた。他のみんなは「初心者なんだから隠すのが下手なんだ」「仕方ない」と潤二郎を慰める。優吾は「持ってこなければいいだろ」と何回も言いそうになったが、やめた。規則を守るか守らないかは、潤二郎の自由だった。
「そんなに面白いわけ? 何が面白いの?」
「オンラインゲームと、ラインかな。SNS系はなんかうまくできない。親が設定してるみたいで」
「ふーん」
この渦巻く感情は、羨ましいからだ。きっとそうだ。
「ていうか女子ひでえわ。ライン。夕飯くらいから十二時過ぎまでずっと喋ってる」
入らなきゃよかったーと言いながら、潤二郎は嬉しそうにした。女は話がさぞ長いだろうと思う。優吾たちが公園で走り回っている間ずーっと、座って話しているだけで楽しいらしい。
「万夢も参加なの?」
「なんかしょっちゅう親ブロック入るらしくて途切れ途切れ参加だわ。他のメンバーは割と寛容な親かな」
「そーか」
万夢はスマホに憧れが強かった分どっぷりハマっているが、下にきょうだいもいるし制約も多そうだ。
「でも最近は異星人のネタばっかりで、男子としての意見とか求められるけどほんとのことなんて書けない雰囲気」
「異星人って何」
レオンが訊いた。
「関口だよ。そうとうあの髪が受け入れられないみたいでね、キモいよねとか」
「……」
「確かに髪はキモいかもだけど、顔とか可愛いしユヅキのブスなんかよりぶっちゃけありでしょ? なのにキモいとしか書けない」
みんな一斉に爆笑した。そこで優吾は、関口が掃除当番だったことを思い出した。
「やっべ忘れ物! 俺学校戻るわ」
「何忘れた?」
「筆箱!」
優吾は学校に向かって走り出した。くたくたのランドセルの中で筆箱がガンガン踊っている。今から向かえば、ちょうど掃除当番が帰る頃になる。
自分は関口のことが好きなんだな、と思った。でもきっと異星人だから好きなんだ。
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