魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

第24章 ドラゴニックエスタ トライアル

第１２４１話 カニが固くても、茹でれば赤くなる。

　闘技場で見た感じまでなら…怖くない。ただ…ユリアは違った。
「げ、カニ化、やっばいな。ゲームと一緒なら速攻で撃て！」
「どういう事だ？」
　いう間もなく、ユリアは魔法を連射し始める、光魔法でも連射し始めた。そんなヤバい奴なのか？

　ゲームには時として、致命的に強い、厄介な敵がいる。リソースを削る為だけに…ロジックの穴を突きまくる敵がいる。見た目は岩のような蟹だが、ドラゴニックエスタの蟹と…亀は常に固すぎて、撤退必至となるという不文律がある。下手すればラスボスよりも固い。それが…この”カニマル“という敵だった。
「撃て！攻撃しろ！固くなったら最後…！何も効かなくなる！」
　カニ型の敵は雑魚だ。レイバンのボス系とかや可愛い系のモンスターもいる、そんな中でトラウマモンスターである。そして！
「避けろ！」
　岩の隙間から魔法の火の弾が飛び出すと私は無心になって風魔法でジャンプし、事なきを得た。そしてその視界の端で…ん！
「ち！やっぱり。」
「意味が分かりません！」
　パオメイは流石に攻撃を躊躇している。石から飛んでくる火の玉に見えるが、何処を殴っていいのか…理解できない。しかも
「なんか岩の表面がテカってきたんだが！？」
「そうだ。カニ系は全部…防護アップを使ってくるんだよ！時間がたつたびに固くなるんだ！しかも…ここは勝たないと出られないんだぞ！」
　あ、そうだ、そういう事か！私も、せめてあいつの砲撃のスキを突くべく、背後らしき箇所まで走っていく。そう、このルームのシステムは”勝たないとでられない部屋”だ。そして固いだけのモンスターが鎮座したうえに砲撃は…回復した時に時々すれば…相手はよい。私達は？持久戦が問題なら速攻するしかない。巣して、実はあの岩…角度だけはゆっくり…じゃない！
「メイ！避けろ！」
　そう、戸惑っているパオメイを見つけたかには…一気に急加速して体当たりを仕掛ける。が、流石に回避したが。…もう油断でもない。棒を取り出し…全力で背後から打ち据える。ゲームシステムにはゲームシステム。棒で滅多打ちにしていく。一応分かったのはこいつ…振り向くには時間がかかる、そしてその間カニばさみの届かない背後からなら殴れる。そしてまるで、ドラムの連打みたいに連続で殴る。そして…それはしばらくすると…相手が消滅した…勝ったと思う。
「戦闘終了です。再会は…任意のタイミングでいいです。」
　冷酷におかみさんが言うが…私達は闘技場モドキを出ると…全員で床にへたり込んだ。
「いや、きついって。」
「戦闘舐めてた。」
「神は見ていると思いますが…これは…。」
　３人とも疲労困憊だった。私は口を開く気もない。疲れた時に放すよりもまずはドリンクを飲んで…呼吸を整え…動かないようにする。喋ること自体が無駄だ。これは…結構追い詰められた現場で、私も手伝っているときに…体が限界を超えた時にやった休憩法だ。自然と身についた。話す…口を動かすのでさえ体力を使う。しかも食事にもだ。だが、ここまで疲れるとは、連打は、もう何も考えないで連打したからな。その疲労が…いや無意識のリミッターを外した行動に体が悲鳴をあげているのだろう。ステータスってもしかして…その分を含んた値になっていないか？MPも気絶するまでの量が書かれていて。半分行使するだけでも頭が痛くなって行使できなくなると聞いている。
「回復したいなら喋るな。呼吸を、整えて…動けるようになるまで、体が動いていいと思うまで動くな。そっちの方が回復が早い。こういう時は体の方が自分の事を知っている。それに任せろ。」
　私はそう言うと寝転がり、目をつぶった。そして、意識が飛んだ。
「…いいのか？」
　目を覚ますと、全員起き上がっていた。
「私はもういいな。少し…ああ…うん…起きれる。」
　この状態になると、頭が休息から軌道に切り替えるのでさえ時間が少しかかる。だが、その分回復が早くなる。そして起き上がると…私は又双六のマスに戻る。
「今度こそ…戦闘はやめてくれよ！」
「お願いします。」
　３人が祈るように私のサイコロを見つめる。いや、そうされるとすっごい振りにくいんだが？