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第23章 それでもやっぱり領地開発したい

第1120話 家は一生…又は一族の買い物です

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「それなら依頼したらどうなりますの?」
「…何をだ?」
「この屋敷…の改築をです。」
 レイロードが指差したのはこの…実は大きいとはいえこの建物はかなり老朽化している。
「この話をして、例えばリンシュメルト側に…
「モデルルームとして建築依頼なら国家で出来る筈でござる。」
 モデルルーム。懐かしいというより、企業系建築家のあこがれの言葉だ。モデルルームは大抵5年ないし4年に一度建て替える。その隊に前の家は潰すか…又はそのまま一棟を安く売る。その為に…。
「何ですの?モデルルームとは?」
「神は言っています。なんでしょう?」
「モデル?ルーム?」
「モデルルーム、建築の見本の事だ。例えば家を建てる際にどんな家が建つのか、誰も想像がつかない。そこで見本となる家を建てる。昔は村単位だったが建築家が生まれてからはまずは自宅を自費で建てて、それからそれを見せて建築依頼の際に見本として営業するんだ。だからこそ…建築事務所の建築は重要だ。ふむ。確かに。」
 自分で納得しているが。
「というか、見本ですか?それを見せてもらえると?これは…。」
「そうだなそれはポリメア家の問題になる当主含め家族にも来てもらって欲しい。モデルルームとして機能できるなら…格安で立てることが可能かもしれん。」
「格安!ですか!?」
「うむ。リンシュメルトはともかくギルドか…そこに協賛金を募れば…最初の一件のみなら…規模を聞いて建てることも可能だ。無論、イーハ商会は基本建築とその関連が主産業だ。」
「…建築でござるか、」
「マスターは…建築に関しては並々ならぬ情熱があるお方。なので…。」
 エナリシアは恥ずかしそうにうつむくが、そうはならんやろ。
「す、すぐにお呼びしますわ!」
 レイロード嬢は駆け足で…部屋を出て行った。いや、シート仕上げてから出ろよ。

 で、一時間後シートを隣で苦戦しつつスキルとにらめっこして、設定もお互い協議している大下パーティの隣で、
「という事は、この屋敷の立て直しとか依頼できるのですかな?」
「広告…例えばここに来客を呼んで・・・そして我がイーハ商会の名前を出していただければという事です。それでいいならです。又リンシュメルト国及びギルドにも、工程などを見せて…宣伝として撮影も許可できるならという事になります。」
 おじいちゃんと、中年の男性と息子が二人、奥さんがいて…後お手伝いさんの…どう見ても農家のおばちゃんが一名。これがこの家の全メンバーらしい。メイドさんは1名だけだ。基本奥さんがメイドの代わりをしているらしい。
「…本当ですかな?」
「費用次第です。私は費用、目的、要望に合わせた出来る限りの完璧な建築を行う…と自負しております。」
「そうですわ。勇者…様に認められた家作りの達人ですわ。」
「いきなり降ってわいた話に、儂らも不安で。」
「分かります。私でも不安です。新居は最悪、どんなにいい…家を建ててもリズムが変わり体調が変わることもございます。その為にいくつか準備期間を設けさせてもらいます。」
「準備?」
「まずリンシュメルト国の王宮に向かい建築関連の法律、慣習の調査に大体一か月。それと並行して皆様の生活スタイルの観察も行います。又様々な測定も行います。これにより家の寸法を最適化します。当然お子様の予定などがあればそれに合わせた建築も行います。」
 全員が感心して聞いていた。
「でも、この城から離れている間はどうなるんだ?」
「そこが費用ですね。素材、頑丈さ。工期。その部分が違います。又要望も…こちらに書いていくつでもいいので重要な順に箇条書きしていただき、それを優先して達成する建築を行います。」
「そんなことまで?」
 私はテーブルに紙を置いた。ペンもだ。
「はい。それにより費用も変わるので、設計図を仕上げた後にリンシュメルトの支店に持ち込んでいただければ費用は査定させてもらいます。そして見積書を出させていただき、交渉して、建築の仕様を固めます。」
「例えばダンジョンは…。」
「ダンジョンは無理です。あれは建築物の扱いではなく、自然物だと思われます。が、こちらくらいならできます。が。」
 私は掌を全員の前に見せると、そこから枝の祝福で木の形のドールハウスが出来上がる。
「こういう見本。でしたらいくらでも製作できるので、完成の想像も比較的しやすいと思います。」
「凄い…魔導士様ですわね。」
「勇者に確かに匹敵すると思う。」
「だからこそ…まあ費用によってはやめた方がいい場合もございます。」
 これは特に中古や古い家に価値を感じる人にとってはその古い家こそが重要であり、偽装などをしても、その匂いまではどうにもならない。それは流石に…新築や改装の程度でごまかすしかない。
「じゃあ、この城の骨格を変えないで…とかは?」
「可能です。」
「台所だけ広くとかも?」
「用地次第ですがアリです。又様式に合わせた収納も同時に。」
 あまりにすんなりいうので、
「どうも勇者様が言うには、モデルルームの申請を王宮にして王宮から支援がもらえれば、相当いいところ迄建てられそうですの。」
「リンシュメルト王か…。確かに…。あの王と聖女教は変に人に甘いからな。」
「そう言えば奴隷市もありますな。村民を買うチャンスです。」
「ふむ、そうなると、イーハ商会の力を…後ろ盾にして交渉すればかなりいいところまで行けそうだな。考えさせてほしい。」
 まあ、確かにリンシュメルト王都において2番手か3番手の大手商会で、ギルドには及ばないがそれなりの地位がある。そこの新機軸とあれば当然
「後、スキルの購入は可能ですの?」
「ギルドでも販売しておりますが、金貨数十枚が欲しい…のでお勧めは致しません。」
「金貨・・・。」
「現在分かっているのはスキルオーブは死んで…残りません。なので、資産としては…微妙とも思っています。ダンジョンでの宝箱で発掘する分はかなり良好ですが、」
「そう言う物か?」
「魔法があれば生活は楽でしょう。ですが、魔法は最初の使用さえできれば、教育で教わる方がより確実に魔法の習得が可能でございます。」
「ゴーレム稼業。」
「これに関しては…先生としてラクリッチェ司祭を推薦して魔法学校の建築を考えていますわ。」
「教会にか?」
「はい、そのつもりでございます。」
 レイロード嬢も考えていたようだ。勇者はともかく回復魔法が使える聖女教の司祭は…魔法が使えて教義さえ暗記出来れば簡単になれる為にそこまでの権益ではないと思うが。
「確かに…。」
「勇者様と各地を回り…魔法の重要性。そして医療や食事の重要性、みんなの健康こそが世界において必要な資産だと考えます。食事が食べれて健康であれば幸せだと考えます。」
「その為の魔法…そして改築。」
 なんか俺、脇にいってない?その話だと。
「そして、それをここで授業を行えませんか?」
「ふむ…。」
「まずはその辺家族で会議し、そして王級の侯爵とも相談の上で骨子をまとめてください。これが…最初です。質問があれば王都のイーハ商会に今月は予定が詰まってだめですが…預かりはしますので、まずは家を建て替えて何をしたいのか…どんなものが欲しいのか…それをまとめてください。それが終わってから…一か月の調査と、建築様式に置いての時間、費用の算出を行います。」
 そこに中年のおっさんが手を上げる。
「分かり申した。ダメでも…。」
「それは断りを入れてもらっても構いません。この今の家の重要性が理解できて、一層発展するのであればそれはそれで…構いません。」
 流石のやり手だな、断る可能性も入れて断りを入れて来るとは…。それはそれで結論でもある、当然考えられるから、私は頷くしかない。まあ南が断る可能性も高い。どっちに転がるかわからない。だからこそ。そこはそこでOKにしておかないと、断りにくくなるだろう
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