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第22章 勇者大下の冒険

第1065話 エナリシアの旅 挑発

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「というか、人類の敵…かのぉ。儂もそうじゃの、実際。」
「そう言えばダンジョンマスターと言ってましたわ。」
 ドランをみんなで見つめる。
「わしは、このダンジョンのダンジョンマスター。種族的に言えばルビードラゴンじゃ。ルビーというだけあってのぉ、まあ、赤いドラゴンじゃの。変身を解いてもいいが、この部屋じゃあ、儂が圧死する。じゃから、本体に戻るのだけは勘弁するのじゃ。」
「そんな大きいんですか?」
「儂、こう見えて…本体は大体ゴジラよりは大きいからの?」
「え!?」
「普通のファンタジーでは出ない大きさじゃぞ、一応。只のぉ、そう言うのが苦手で。普通の暮らしができればいいんじゃ。」
「なんかその辺が竜俗っぽくないのよね、もっとイケイケにならない?」
「儂からすれば竜はおおむね、食っちゃ寝じゃぞ。怠惰に生きるのがいいんじゃ。暇だからの。」
 この会話には流石に全員呆れてしまった。というより、どう反応していいかわからない。
「まあ、ついでにギルドもダンジョン側だから、生活は何も変わらないわよ。勇者の称号も、悪事をしない限りはどっちの立場でも変更なし。」
「覚悟したのと違うでござる。」
「でもパオメイには効かないのですわね。」
 パオメイは変わった様子はない。
「だって、私はモンスター側だよ。獣人はモンスターなんだ。」
 パオメイは自分の耳に触れる。獣耳がゆさゆさ揺れる。
「ただ、ラクリッチェが従うのが…気になっただけ。」
「そう言えば・・・ふと思ったんだけど、エナリシアちゃんって、そこのレッドとブルーより強くない?」
 リューネの突然の言葉に…ドラン達も驚いていた。
「…腕力以外は何とかなる…までですね。ただ、手の内を明かす必要があり、私の損害の方が大きいですよ。」
 冷静に書類とテーブルをダークボックスに閉まっていく。
「お姉様は何が望みじゃ?」
「一度見てみたいの。…ラクシャーサの実力をね。」
 急遽、別室を組まれ…全員が観戦する事になったのはエナリシア対レッドとブルーだった。トレーニングルームにはエナリシアたち、それ以外は玄関の会議場が使われることになった。モニター越しに見るエナリシアは落ち着いていた。
「大丈夫かのぉ、」
「どっちが?」
「どっちもじゃ。」
 ドラン達が不安がる中、大下たちも、テーブルに食事が置かれ、そしてモニターに映るエナリシアの様子に驚いていた。
「…実際私達でも幾つかの条件が合わなくて、ラクシャーサは作れてないの。」
「じゃろうな。」
「というか、そんなに強いでござるか?エナリシア殿は?」
「こっちの全員が束になっても敵わないよ。」
 気楽にパオメイが答えた。
「私も…ステータスが化け物なうえに、行動に隙が無いんです。」
 全員が見守る中、向こう…いやモニターの向こうでもかたずをのんで見守る者がいた。井原達である。同盟であり、当然監視していた。只ラクシャーサのついてとか聞きたいことは多い。
「でもラクシャーサは…聞いたことが無いのじゃ。」
「それはそうよ、超級種族と呼ばれる、第4段階目の進化を遂げた種族で、シングルでないモンスターは3種しかいないわ。私達もその条件を探っている…最新のモンスター。それを千鳥万花が持っているというだけで、彼らは警戒に値するわ。」
「わしもそう言うの欲しいのぉ。」
「それが、3種に関しては…誰も情報がないの。どうも神様も、条件が完全に揃っていないと公開されない…種族なのよ。」
 ただ、この上に亜種があるので。もっと上があるが…それを鑑みたとしても貴重であるらしい。
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