魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

第２２章 勇者大下の冒険

第１０１５話 人間には人間の需要がある

とりあえず大釜は完成させた。これで、錬金術師の大釜はできたが、これだけだとゲームみたいな薬品の生成にはならないのと後、魔紙の開発をしてこれを使った本の作成だがこれはダンジョンを使う予定だ。そして小の大釜には欠点もある、それが”大きさ”だ。まず大きさが…高さ２mと直径２mある円筒状だ。…内部は膨らんだ形にして、投入口を狭くしないと、作業している水の部分が漏れてしまう。その為入り口は狭くしないといけないが…これが、持ち運びできない限界として存在している。しかも重さも４ｔを超える重量でしかも…この大釜の素材も出来るだけ水が暴れても歪まない頑丈な鉄製だけではだめだ。どうもこの大釜部分にもゴーレム回路の線を引き込み、本体にしないといけない。
そして当然”魔石を配合させたものでないと、動作しない。しなくていいが、水流操作のために感知させるための魔力を更迭に含有する必要がある。そしてこの仕様がもう一つの大きさ的欠点を生む。入り口が狭くて…あまり大きなもの及び大量生産するためにはかなり大型の大釜を作らないといけない。そしてその希望に応じた魔石を先んじて水に含有させる必要があり、そして機構部が同じ大きさのため、”魔石の圧縮”がゴーレム側にない場合は機能しなくなる。すなわち入り口は小さくしなくてはならず、又大きさも限界があるので、大きくする方向も限界が生まれる事に。はっきり言って頭抱える。
スキルをゴーレムに覚えさせる…スキルオーブでカバーできるがそうなると、非常にコストが高くなる。まずこいつはモンスター扱いとなり、”スポナー”でしか生産できない。そうでないなら”ダンジョンモンスター扱い”だ。そして一体のモンスターとしては…今登録させているが…どうもここまで手間をかけたモンスターの結果は…。
『出ました。一体９７２４万ＤＰです。』
　やはり高くなった。
「サンテ、感謝するが、これをスポナーで８分の一にしても。」
『１０億ですね。スポナーとして。』
　これは流行らない結果となる。当然ダンジョンでサンテに作ってもらえればいいんだろうが…これを通常のモンスターとかに作ってもらうには…必要スキルが高すぎる。
「…これ、量産は不可能か？」
『不可能というより…売れる見込みがありません。高い上に、本が別途必要でこれにどうも、問題がありまして…実験が失敗しております。』
「どういう事だ？」
『このゴーレム・・・統一言語しか読めないらしく、魔王語の本は無理でした。』
「あ…。」
　そうだ、この世界のモンスターも人間も魔王語は理解できない。日本語なんだが、この世界では魔王語として知られている。がこれはモアレたち含む現地組もまたは、モンスター
達も読めない。スキルは覚える事も出来ず、学校での実験でも魔王語の習得には至らなかった。どうも脳的なもの以外にもう一つあり、それが、理解を阻害している感じだが。それが、この錬金術の大釜ゴーレムにも適応されているというのだ。という事は、翻訳しないと…錬金術の大釜は使えない。最悪だ。いや、何とかする。する・・・スる。どうする？
「ミラージェ。向こうに行ってワタと交代して…でワタにこっちに戻るように言ってくれ。」
「分かりました。」
　私の体から、ミラージェが分離してフェルミィも続く。フェルミィは…いつものダンジョンレシピ製作だな。指令を伝える…という意味でも一度こっちに戻って合流すればいい。
これは分離の特性だが…記憶の共有は”融合しているとき”にしか発生しない。そして別れた分は…夢として記憶した感じのビデオを見ている感覚になる。という感じだ。判断基準は
こっちと同じだから、分かれても信頼感あるが。その間に
「というか、これがモンスター・・・それは確かに開発されん理由が分かるのぉ。」
「一応物質系の特徴で、ダークボックスに無機物で入るぞ、こいつは。」
　ドランがいる。
「一台貰えると…いや作れるか。」
「そう言う事だ。ただし、本の作成の方が問題になる、手間がかかる上に。」
「そうなると儂もエナリシアみたいな変形ゴーレム作る必要があるかもしれんのぉ。そこに憑依でファニー系を入れればある程度の強さが維持できるからのぉ。」
「それが微妙なんだ。」
「どういう意味じゃ。」
「前の馬車ゴーレムにタミさんが憑依しようとしたら…体の素体と行動基準が違い過ぎて…憑依すると自分が消滅するかもしれないと、サンテと…本人からも警告が入った。という事は体の概念が遠すぎる物には憑依させるに、専門のモンスターが欲しいみたいなんだ。」
「それは初耳なのじゃ。」
「私も最近知ったぐらいだ。但し４足歩行とか、後蜘蛛程度までなら何とかなるそうだ。但しムカデとか、蛇とかそっちは獣人からゴーストを作ってそれから出ないと無理っぽい。」
　ある意味憑依の欠点２号だ。
「という事はモンスター娘みたいな外見はある意味・・・利益があるんじゃのぉ…。」
　ああいう半獣のスタイルは確かに人型の魂を憑依させるための物と言われると納得してしまう。それ位人間は複雑らしい。