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第21章 薔薇と白い月(ダークファンタジー)
第946話 薔薇と白い月(2) 急に演技になると塩対応と呼ばれる
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「ヨロシクなのじゃ。」
「また持ってくるねー。」
ドランが手を振り子供と村人たちを見送る。この村において、薬草を薬に変えてくれる存在は救世主に近い。村々から貰った薬草を買い取り、ポーションにして隣村の商人に売る。これがドランの最近の毎日だ。ポーションは安いが、濃縮する事で濃厚ポーションになることが分かると、ドランは早速村人から…小銭を使って薬草を買い集めた。まあ一抱え銅貨一枚だが、前は捨てるほどあったのだ。それに雑草取りの雑草を買ってくれる感じなので、ガンガン売りに来るのだ。ポーションが人気ないこの世界において、この薬草は雑草と変わらない扱いだ。そんなドランが猫車を持ち貴族の家に帰ると井原がいた。
「やっと来たか。これをやっと渡せる。持っておけ。」
「これは何じゃ?」
「神様からの支給品。錬金コマンド付きインベントリだ。錬金内容は私がかき集めたご禁制含む全レシピだ。」
「はぁ?」
ドランも訳が分からないという顔だ。
「この錬金窯の解析をしてな…神様に企画書出すタイミングがあって…そこで出して、できたのがそれだ。私には理解できんアイテムだ。」
「もしかして錬金窯の解析も終わったのかのぉ?」
「そうだ。解析は終わった。で、ポーションのレシピも私が解決した。そのかばんに入れて濃縮薬草汁が手に入る。それが各種ポーションの素材になる。レシピによるアイテム強化とか、ゲームにありそうなレシピは入れておいた。そのポシェットの口に紐があるだろ、そこを触ればコマンドが出る。」
「ほ、ほんとじゃ!」
「でどうも、そのアイテムを渡すまでは…このゲームが始まったことにならないらしい。そしてついに始まるんだ。ゲームが…。」
感動的に言ってみる。
「一つ思ったこと言っていいかのぉ。」
「なんだ?」
「これ、出遅れたと言わんかのぉ。」
・・・あ、
「あ、はい。」
「ですよねー。」
分かってはいるんだ、一か月は経っているんだ。なのにこんなところでスタートを切るとか考えもしないだろう。そして向こうは大慌てだろうな。実際のゲームでは学校が半年終わると、このモードイベントで村を見て…その後に学校に帰ってから再建クエストが発生するんだが…その学校にも行っていなければ、なぜか村スタートだ、学園物で攻略対象と会う機会が存在しない。という…何とも言えない話になって来た。
「でものぉ、どうするんじゃ?ここから。」
「中にある程度薬草は集めておいた。ゲームと条件が一緒なら。私は外に出られないし、お前ひとりで森の最奥に行くしかない。その錬金コマンドで、一人最奥に・・・。」
「なんじゃ?」
「”森の奥には精霊が住むという。…気を付けて採取に行くんだよ。”」
「”おじさん、大丈夫!そんなドジじゃないわ!”」
ドランが腕まくりをして答える。
「”そうか、私はここにいて村人の為にポーションを作っているから、道具が欲しいならおいで。”」
「”はい、男爵様。”…何じゃこれ。」
「イベントが始まったようだな。薬草取り行ってこい。で、とっとと帰って来い。」
「なんかさっきのおっさんと今が全然違うドライっぷりなのじゃ。塩対応じゃぞ。」
「文句言うな、それの開発のために相当な資金突っ込んだんだ。それがお前に持っていかれるんだ、塩対応にもなる。」
「…。・・・・・・・・・うん、ごめん。」
「すまんな、私も怒りがないわけじゃないし、お前が悪いわけじゃないんだ。ごめんな。」
なんかすごい空気が悪くなった。
「また持ってくるねー。」
ドランが手を振り子供と村人たちを見送る。この村において、薬草を薬に変えてくれる存在は救世主に近い。村々から貰った薬草を買い取り、ポーションにして隣村の商人に売る。これがドランの最近の毎日だ。ポーションは安いが、濃縮する事で濃厚ポーションになることが分かると、ドランは早速村人から…小銭を使って薬草を買い集めた。まあ一抱え銅貨一枚だが、前は捨てるほどあったのだ。それに雑草取りの雑草を買ってくれる感じなので、ガンガン売りに来るのだ。ポーションが人気ないこの世界において、この薬草は雑草と変わらない扱いだ。そんなドランが猫車を持ち貴族の家に帰ると井原がいた。
「やっと来たか。これをやっと渡せる。持っておけ。」
「これは何じゃ?」
「神様からの支給品。錬金コマンド付きインベントリだ。錬金内容は私がかき集めたご禁制含む全レシピだ。」
「はぁ?」
ドランも訳が分からないという顔だ。
「この錬金窯の解析をしてな…神様に企画書出すタイミングがあって…そこで出して、できたのがそれだ。私には理解できんアイテムだ。」
「もしかして錬金窯の解析も終わったのかのぉ?」
「そうだ。解析は終わった。で、ポーションのレシピも私が解決した。そのかばんに入れて濃縮薬草汁が手に入る。それが各種ポーションの素材になる。レシピによるアイテム強化とか、ゲームにありそうなレシピは入れておいた。そのポシェットの口に紐があるだろ、そこを触ればコマンドが出る。」
「ほ、ほんとじゃ!」
「でどうも、そのアイテムを渡すまでは…このゲームが始まったことにならないらしい。そしてついに始まるんだ。ゲームが…。」
感動的に言ってみる。
「一つ思ったこと言っていいかのぉ。」
「なんだ?」
「これ、出遅れたと言わんかのぉ。」
・・・あ、
「あ、はい。」
「ですよねー。」
分かってはいるんだ、一か月は経っているんだ。なのにこんなところでスタートを切るとか考えもしないだろう。そして向こうは大慌てだろうな。実際のゲームでは学校が半年終わると、このモードイベントで村を見て…その後に学校に帰ってから再建クエストが発生するんだが…その学校にも行っていなければ、なぜか村スタートだ、学園物で攻略対象と会う機会が存在しない。という…何とも言えない話になって来た。
「でものぉ、どうするんじゃ?ここから。」
「中にある程度薬草は集めておいた。ゲームと条件が一緒なら。私は外に出られないし、お前ひとりで森の最奥に行くしかない。その錬金コマンドで、一人最奥に・・・。」
「なんじゃ?」
「”森の奥には精霊が住むという。…気を付けて採取に行くんだよ。”」
「”おじさん、大丈夫!そんなドジじゃないわ!”」
ドランが腕まくりをして答える。
「”そうか、私はここにいて村人の為にポーションを作っているから、道具が欲しいならおいで。”」
「”はい、男爵様。”…何じゃこれ。」
「イベントが始まったようだな。薬草取り行ってこい。で、とっとと帰って来い。」
「なんかさっきのおっさんと今が全然違うドライっぷりなのじゃ。塩対応じゃぞ。」
「文句言うな、それの開発のために相当な資金突っ込んだんだ。それがお前に持っていかれるんだ、塩対応にもなる。」
「…。・・・・・・・・・うん、ごめん。」
「すまんな、私も怒りがないわけじゃないし、お前が悪いわけじゃないんだ。ごめんな。」
なんかすごい空気が悪くなった。
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