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第21章 薔薇と白い月(ダークファンタジー)
第938話 薔薇と白い月(2) 強制力は地位さえも固定する。
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それからしばらく…それでも七日の日程を過ごし、どうにかマリモッサー村にやってきた。マリモッサー村はソコソコ小さい目立たない村だ。子爵領と言いながらその多くは獣の狩場として9割の森とそしてこの…薬草に浸食され、時折農作物を全滅させてしまう貧しい村だ。このマリモッサー家が錬金術で稼いでいるのもこの村の現状のせいだ。薬草は前に説明した通り朝に摘み取っても夜には全部復活するぐらい生命力のある草だ。その為いくら刈ろうが生えてくる。それが村からこっちに浸食してくるのだ、焼いても、焼いても。持って数日、ただしこの森…聖女の結界の境目の森なので、ここを破壊すれば、万が一聖女の結界がなくなった時魔王軍の進行を防げなくなるので、森自体を焼き払うわけにはいかない。この村での薬草は文字通りの植物被害を出す草だ。
「マリモッサー子爵。よくおいでくださいました。」
村長があいさつする。
「今年は薬草が送られてきてないが、何かあったのか?」
そう、実は本来マリモッサーの館には領地から届けられた薬草が無いといけないはずだが、それが無いと、貴族的設定の思考が言っていた。
「それが…送る馬車が壊れて…あの通り。」
そこには車軸が折れた馬車があった。
「確かに…これは…。」
「すいませんがこれではこの量の薬草は…。」
そして横には建物と同じ高さまで積み上がった薬草があった。これを運んで来てもらわないと、こっちも仕事にならないが…。…ミヨちゃんでさえ呆れている。
「どうするかだな…。」
マジックバックやら、イベントリやらあるならそれで運べばいいという考えがあるかもしれないが、これ地味に問題が多い、
「とりあえず、本宅に運んでくれ、何とかする。こっちで加工する。」
「わ、分かりました、みんな頼んだぞ。」
村からすればゴミである薬草が金になるのだ、それだけでもありがたい。がこれ、どう聞いても貴族というより職人の扱いなんだよな。
「さて、私は本宅で休む、今回の年貢はこれでいい。ただ…荷馬車に関しては対策を聞きたい。」
「それが…。」
「仕方ないな、後で舘に来い、買ってきた物資の分配を行う。」
そう言いながら舘に戻る。館と言っても貧乏子爵の館。石積みの農家の家に馬車止めがあるだけの非常に質素なものだ。この背景には私が錬金術師なのもある、あの錬金術師の大釜を地道に買い集めポーションの生産を一手に引き受けるが、実際子爵クラスでもこの世界では伯爵以下は男爵も変わらないぐらいの地位しかない。強いて言うなら、男爵が名誉を上げると形だけ子爵にしてそれ以上にはならない。という感じだ。伯爵以上は全て血統で代々続く名家しかなれない。ただしこのゲームは恐ろしい事にこの伯爵でさえ…子爵と変わらない生活をしている。貧乏伯爵家というネタが出てくる為だ。そして侯爵はこのゲームには存在しないので公爵以外全部貴族は貧乏で、農家と変わらない。…がこの辺は実は鳥海の調査書には書かれていたが、オークションデータからは巧妙に隠されていた。そして公爵は全員
攻略対象に連なるので今回誰も買う事ができない。事実上DPだけ払わせて…誰も変わらないスタートなのだ。それを知った上で行動しやすいこれを選んだんだがこっちに来て知ったのはその中でも”稼ぎ方”がある家を他の貴族家が嫉妬で攻撃するって事だ。しかも内乱に近い…兵士を山賊に偽装して物を奪うとかだ。マジックバックで薬草を運送しようものならそのマジックバック欲しさに山賊(貴族)が出かねない。いや、何回も襲われた。だから馬車とかで山積みの薬草を運ばせ、奪う価値さえないという事で運ばないと、襲われるのだ。なお薬草は苦い為に食えない。しかもポーション人気は地に落ちている。だからこそ誰も狙わない。このマリモッサー子爵はそれを打破したいみたいだった。この薬草の価値を引き上げる、そうすれば村は助かると…私からすれば…無駄な努力だ。大方このポーションネガティブキャンペーンでさえ、こっちの収益を貶める罠だ。ポーションが例えここの人々の言う様に魔法より劣っていてもMPを使わない回復という地位がある。はずだ。
だがそれは軽視されている。そして聖女がいる以上…それがゲーム終盤までこれが解除されることはない。じゃあヨモギ酒みたいに酒にすればいいのか…というとそれも売れる保証はない。となるとこの村はゲーム終盤まで…この貧乏だ。
「でも、なんか砂をかむような…私がいくら凄くてもこれでは…。」
そう、設定の影響で必ず失敗すると分かっている開発に計画なんてない。ある意味最強のディストピアだな。努力に意味なし。その中であらがうしかないのだ。確かにこれは鳥海がレベリングの件を無くしてでも来たくないはずだ。
「ですが、どうしますかのぉ。」
「SPで、限界突破買っておけ。レベリングするぞ。」
なら、やれる箇所であらがえばいいのだ…まだ…やりようがある。
「マリモッサー子爵。よくおいでくださいました。」
村長があいさつする。
「今年は薬草が送られてきてないが、何かあったのか?」
そう、実は本来マリモッサーの館には領地から届けられた薬草が無いといけないはずだが、それが無いと、貴族的設定の思考が言っていた。
「それが…送る馬車が壊れて…あの通り。」
そこには車軸が折れた馬車があった。
「確かに…これは…。」
「すいませんがこれではこの量の薬草は…。」
そして横には建物と同じ高さまで積み上がった薬草があった。これを運んで来てもらわないと、こっちも仕事にならないが…。…ミヨちゃんでさえ呆れている。
「どうするかだな…。」
マジックバックやら、イベントリやらあるならそれで運べばいいという考えがあるかもしれないが、これ地味に問題が多い、
「とりあえず、本宅に運んでくれ、何とかする。こっちで加工する。」
「わ、分かりました、みんな頼んだぞ。」
村からすればゴミである薬草が金になるのだ、それだけでもありがたい。がこれ、どう聞いても貴族というより職人の扱いなんだよな。
「さて、私は本宅で休む、今回の年貢はこれでいい。ただ…荷馬車に関しては対策を聞きたい。」
「それが…。」
「仕方ないな、後で舘に来い、買ってきた物資の分配を行う。」
そう言いながら舘に戻る。館と言っても貧乏子爵の館。石積みの農家の家に馬車止めがあるだけの非常に質素なものだ。この背景には私が錬金術師なのもある、あの錬金術師の大釜を地道に買い集めポーションの生産を一手に引き受けるが、実際子爵クラスでもこの世界では伯爵以下は男爵も変わらないぐらいの地位しかない。強いて言うなら、男爵が名誉を上げると形だけ子爵にしてそれ以上にはならない。という感じだ。伯爵以上は全て血統で代々続く名家しかなれない。ただしこのゲームは恐ろしい事にこの伯爵でさえ…子爵と変わらない生活をしている。貧乏伯爵家というネタが出てくる為だ。そして侯爵はこのゲームには存在しないので公爵以外全部貴族は貧乏で、農家と変わらない。…がこの辺は実は鳥海の調査書には書かれていたが、オークションデータからは巧妙に隠されていた。そして公爵は全員
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だがそれは軽視されている。そして聖女がいる以上…それがゲーム終盤までこれが解除されることはない。じゃあヨモギ酒みたいに酒にすればいいのか…というとそれも売れる保証はない。となるとこの村はゲーム終盤まで…この貧乏だ。
「でも、なんか砂をかむような…私がいくら凄くてもこれでは…。」
そう、設定の影響で必ず失敗すると分かっている開発に計画なんてない。ある意味最強のディストピアだな。努力に意味なし。その中であらがうしかないのだ。確かにこれは鳥海がレベリングの件を無くしてでも来たくないはずだ。
「ですが、どうしますかのぉ。」
「SPで、限界突破買っておけ。レベリングするぞ。」
なら、やれる箇所であらがえばいいのだ…まだ…やりようがある。
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