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第20章 それは柴崎エナリシア

第909話 エナリシアの旅 坩堝様

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「まず落ち着け、まずは私に説明して欲しい。」
 二人の間に立って…立ちたくないなぁ。立ってお互いの距離を放す。
「まず、鳥海、柴崎の知り合いなのか?」
「そうだわさ。顔を見るまで思い出せないかっただわさ。元大蔵省会計監査部の部長だった鉄のお局様。だから皮肉を込めて坩堝様と呼んでいただわさ。事務の鬼で何人の官僚がこいつの指摘で涙を見た事か…アチシの要求も基本全部弾く悪女だわさ。」
「あんな幼稚な書類通すわけがありません。それにあなたに潰された部署は数知れず。こいつは稀代の悪女でその美貌を盾にあらゆる要求を通そうとする。通称部署潰しと呼ばれる。」
「第一アチシはそっちに言われた通りに衣装を着てその衣装でお願いしただけだわさ!何が悪女だわさ!」
「その時にしなを作り、何人が部署の仕事が数倍になる仕事を陳情で押し付けていくことか…。あなたが来るたびに女史は全員警戒モードでしたわ。」
 確かの態度で確かに柴崎の大度は鉄面皮なのはわかる。だが…あの鳥海が…部署殺しとか…あ、ありうるわ。
「ちょっと待て、検証させてほしい。鳥海は当然、秘書時代の時の衣装は持っているよな。その中で一番派手な衣装でこっちに来て挨拶してくれ。それで判断したい。髪の毛もすべて当時の形にしてくれ。もし柴崎さんが言うのが本当なら。その状態で見覚えがあるはずだ。面通しだいいな、柴崎さん。」
 そう言えば、髪を下ろして普通の鳥海はかなりを通り越す美人だ。
「分かりました、あんなアホみたいな恰好で気が付かないのでしょう。分かりました。」
 なんか一言棘がついてるが仕方ない。鳥海が舘に戻り戻ってくると…分かる気がした。全員が黙る理由だ。一目でわかる。極上の美人だ。髪の毛はボサ場で、目が半分隠れている。しかもロングで、後ろは軽く束ねられている。その顔はその半分隠れた状態でさえ色っぽい唇と顔のラインは逆に画した顔を強調している。目はついでにちらっと見えるが…それでもかなり素直で、身体のとギャップが非常に大きいおどおどした印象を受ける。そして下に見るおっぱいがスーツからはみ出るくらいに大きい。ピッチりと中には収まっているんだ。それがパツンパツンで、自然とボディスーツの様相となる。それがエロい。すっと伸びる腕も二の腕から腕にかけて伸びやかな感じで美しく。その手まで至る線は…舐めたいほど。そしてくびれた腰はやせ過ぎずすらりと流れるようにすべてを弾き飛ばしそうなお尻にたどり着く。その大きさと事務用スカートの張り具合が絶妙にエロい。そしてそこから出てくる足が不自然に太すぎずほそすぎず、美しいカモシカをほうふつとさせる。その伸びる曲線の先に足先がある。これ普通に性癖歪むわ。なんだ、エロ要素詰め合わせみたいな体は。
「で、できれば…。」
「あなた自覚ないのですね。そのおどおどした表情がまるで悪い女に捕まる男のごとく…何か所の部署でこのサッキュバスにやられたことか。」
 髪の毛を下ろした鳥海さんは自信がないようだ。
「すまないが…鳥海、戻って元の格好で頼む。そのままだと話にならん。」
「わわ…分かった。」
 おずおずと帰っていく鳥海の巣白姿を槌追ってしまう。確かにこれは…全員容姿に何も言わないぞ。どこを褒めていいのか全然わからん。多すぎて。
「分かりましたでしょ?」
「ウーム、今はトサカがあるおかげで、そっちに視線を向ければ普通にしゃべれるぞ、あれ。」
「確かに。」
「それにだ、今私たちが離反すれば…どこに行くんだ?再就職先なんてないんだぞ。この世界にはな。」
 一応引く手あまただとは思うが、かといって離反は常にどこかで付いて回る。自分を買ってもらっている上司から去るのは辛い。
「ぐぐぐ、確かに。申し訳ありませんでした。」
「戻っただわさ。ただ柴崎肇と書類会計だけでキャリアのかなり上まで上り詰めた腕利きの事務員だわさ。だからアチシはあんたを外見だけで解雇なんてしないだわさ。」
「総務課スキル持ちの貴重人材だ。」
「それはアチシも貰うだわさ。」
「…確かに大人げないようです。すいませんでした。」
 柴咲が出した手を鳥海が握り返し…握手した。
「ただ、本当はうちに欲しいほどの貴重人材だわさ。柴崎はその位書類とか会計に明るいだわさ。ただ、会計制度の導入はまだ滞っているだわさ。」
「…無能な。」
『柴崎さんダメ。できない者はできない、焦らない。』
 エナリシアの看板を槌3人で見てしまう。確かにそうだな。焦ってもダメなんだ。今は。
「…確かに。了解しました。」
 どうやら仲直りをしたようだが…。なんかこう、疲れたよ。
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