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第20章 それは柴崎エナリシア

第862話 そして乙女ゲーがやって来る

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 ルームの精査を行っているさなか、あるヘンテコメールがダンジョンに訪れた。
『イベントモード実装のお知らせ。
 この世界に新設された魔界において、ある機能の試験的運用の為に皆様ダンジョンマスター―の力を貸していただきたい。協力していただけるなら、こちらのシステムをコアに導入します。システム導入は強制ですのであしからず。』
「サンテ!」
『ダンジョン運営側から二つの機能について、取得いたしました。最低ダンジョンレベル3で”オークション機能”そして最低ダンジョンレベル4から”イベントモード”参加の機能です。』
「どういう意味だ?」
『イベントモード中は魔界の様相が変化しイベントに即した世界になります。初回は”薔薇と白い月”の世界となっており、その世界観を再現した世界を魔界に作成します。詳細はイベントモードの参加要項をご覧ください。』
 なんという、イベントの為に”世界を作る”とか、神様の行動の桁が恐ろしい。

 薔薇と白い月については私は興味がないのでやっていないが、俗にいう女性向けRPGゲームで結構タイトリングナンバーが多い。只中世世界の魔道具があり、ほぼ日本の食事が再現されているらしく、…食事などの研究にいい感じらしい。こう聞くと柔らかいゲームだろう。だがここからがえぐい。このゲームは恋愛ゲームでもある。なので、攻略対象やライバルがいる、主人公もだ。その運命を追体験できる”キャラクターなりきり権”とかを…オークションで販売するらしい。基本攻略者は全部貴族であり、贅沢が保証されていて、主人公のほうが過密スケジュールになりやすいらしく、と言っても主人公らしきキャラのオークションがないぞ。そのキャラの地位に応じて、最低金額が上がるのだ。特に高いのが、”学生”である。どうも貴族とか主人公が通う高校があり、そこの学生になれる権利だ。地位も補償。アルバイトOK.稼いだDPはお持ち帰り可能。あともう、いくつかの入札が主要キャラに入っている、

 当然この件で、千鳥万花は全員召集となった。
「…かなりの大事だわさ。」
「そうじゃのぉ。」
「薔薇と白い月ですか、」
 なんかみんな浮ついた感じだ。蚊帳の外なのが、男性陣だ。
「恋愛RPGなのは分かった。がそこまでか?」
「国民的ビックタイトルゲームだわさ。」
「まあ、男でもファンが多いと聞いておるがのぉ。」
「もうSNSではパンダを含め、主要キャラの取り合いのようです。」
 なんか、あせっている水木さんも珍しい。3人とも、ダンジョン管理用タブレットを見ながらの会議だ。
「わしは抜けるがの。」
 俊三さんは参加する気がないようだ。
「よくわからん世界にはのぉ。」
 分かる、分かる。
「ただ、念の為に、この記事によると…これ防衛が欲しいだわさ。」
 ん?あ?防衛?
「どういう意味じゃ?確か生地には、マスターがイベント参加時には休戦チケットが機能して、一月半は休戦のはずじゃぞ。」
「この話の額面撮りだと、参加者の領域の隣で待機して、帰ってきたのを確認して侵入する手が使えるだわさ。」
「そう言う訳か…。」
 イベント参加はオークションだ、参加する人間が分かる。それを利用して張り込む事が可能だ。今は休戦協定もある、危険は少ないはずだ。
「それと怪しいだわさ。」
「どういう事だ?」
「いくつか…オークションできないキャラがいるだわさ。しかも重要キャストだわさ。」
 …いや、全然わからん。
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