魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

第１９章 VS飛鳥

第７９２話 馬車は移動時間が暇なのだ。

　はっきり言って結論が出ない。最悪リッチでも作って変身させた方がいい。がこれも問題がある、リッチはゴーストではない”霊系”に属する。憑依が効果なくそれでいて、制御が難しい。・・・エンジェル＋ゴーレムによる憑依コンビよりは格が落ちるのだ。場合によってはシルキー＋ゴーレムよりもだ。ついでに憑依はスライムにも不可能だった。どうも霊系も”食事”の対象らしく徐々に憑依したゴーストが食われるという展開だった。なので、スライムに憑依は…できないとみていい。その為難航した。一応契約分の早いものを一週間延ばしつつ時間稼ぎをして、だめならシルキー車にする予定。ただ、殺されることがありうるのだ。
契約書で縛っておくか…。違約金だ。
「でも…暇だわさ。これは確かにつらいだわさ」
　一応幻のコインで家に帰れる、又はその中の豪邸で暮らせるとはいえ…。背景は全部荒れ地。黄金街道を進む私たちは村さえもない平地を進む。リラシルトゴールディ間はどうも村も少ない。少し話を聞いてみるか・・・・。
「私はもっとつらいぞ、」
　…私はそのコイン召喚部屋にもダンジョンに帰ることもできない。ついでにギルドの召喚を受けた際は、ミラージェ側からダンジョンに入り、そのまま合流の流れとなっている、
「だから付き合っているだわさ。仕事は早く終わらせてきただわさ。ちょっと休暇貰ってきただわさ。後…書状が届いたので、ちょっとアチシも明日から出かけるだわさ。」
「黒木か？」
「そうだわさ。相談も兼ねて、王国の国王夫妻、マルワール帝国の皇帝と王妃、宰相一家を誘う予定だわさ。で、その時に一緒に…”一般人ふりして”行く必要があるだわさ。それでもある程度って事で、ジャンに頼んで買わせた”勇者服”の衣装合わせに…アチシがいないとダメっぽいだわさ。」
　そうか、勇者服はどの服でも現在”礼服”扱いされる、なので、ジャンがリンシュメルトにいるのでミーアブランドの勇者服はいつでも買える、しかも南国仕様もだ。当然ある程度の地位に見せかけないとヤバい。
「今回は…こっちの従者枠で魔王国の”レオン国王”と数人の護衛を連れて行けって話が出ているだわさ。」
「…どういう事だ？」
「どうも、レオンのほうが潜入も兼ねて現在の世情を知りたいそうだわさ。」
「というか、黒木ではダメなのか？」
「…正確には今ではレオンたち魔王国運営と黒木は違う組織だわさ。一応オブサーバーで会合を持つけども、どうも娘の美玖から”裏に徹したほうがいい”と言われて裏に徹することになったらしいだわさ。但し行政の幹部は全員黒木のダンジョンから貸し出しだわさ。」
　まあそうだろうな…。
「で、黒木は、全員黒服のヤーサンファッションで行くらしいだわさ。そうなると当然目を付けられるだわさ。だからレオンの”侍女”で美玖も来るらしいだわさ。」
その為に…そう言う事か…。認めざる負えまい。
「いいな。タミさん。頼んだ。」
「分かっただよ。」
「でもそっちで名案頼む。後…。」
「分かっているだわさ。その間の護衛だけは置いておくだわさ。」