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第17章 ドランの領地視察旅

第666話 腐った領主ほど厄介な物はないのじゃ

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 材木問屋の応接室に入ると…そこには配下の女性一人しかいない。
「ふむ…。」
「この辺での材木は、全部人手が大量のいるんだ。だから、その都度人を集めて運ばせている、が、ゴーレム車の噂を聞いて一度見て見たかったんだ。」
「ふむ、確かに、やろうと思えばできるがのう。で…大丈夫かのかのぉ、」
「大丈夫だと思う、ここは寄親の伯爵家の庇護を受けている、」
「実は北部の因習等に詳しくなくての。詳しく説明してもらえんかの?」
「どうせ、今は暇だからな、まだ冬が明けたばかりでは山が危険で入るやつもいないからなー。」
 材木問屋というのはこの辺の田舎の森で材木を集めて、東、西、南に売る・・建材販売や素材など安価な建材としての部分ともう一つは、都市向けの”薪”の販売も行っている、冬は間伐した枝を加工した薪を販売している、冬が厳しい北部では需要の大きい商売なので、この材木問屋が、貴族の庇護を受けこの北部一帯の材木を扱っている、ただこの都市の貴族が男爵家であり”寄子”という地位であり、”寄親”には逆らえない。この辺がこの国の貴族の独特なところで、男爵、子爵などあるが、侯爵以下の爵位はすべて”侯爵”が任命権を持っている、又その年俸も侯爵が支払う。その代わり公爵のおった仕事を男爵などが変わり持つ…ここの男爵は統治を行う”男爵”としての仕事がメインだ。またこの侯爵は北部には3人いるがそれを頂点した仕組みとなっていた。この寄親は寄子の兵士の数などを定めており、兵士(衛兵込み)は全て寄親の管理下にある、その為寄子が、持っている権力は少ない。が、この寄子もちゃんと納税証明書さえ出せば、この町限定の法律や追加徴税は自由となる、だからこそ・・・外の目がある”開拓村”には手を出さなかった。開拓村での納税はすべて”物品税”となっており、決まったものを納税する仕組みと
なっている、通貨が発展していないための処置だ。又都市においては”通貨”が納税単位となっている、
「ではこれは…。」
 ドランが取り出したのはギルド通貨だ。バランが普通なら…あるを中心とした”ショタ王子クエスト”とかいう企画を始めれたのに…。
「…それなら、旧貨幣の1.2倍の価値がある。」
「では…私の…。」
 そっとドランは言って欲しいことをつぶやいた。
「ここの代官ににらまれたのはしいですが…仕方ありません。中身全て込みでいくらで買います?」
「…は?」
 流石にバルアリも…呆けた顔になった。エルミンの顔も渋い。
「ただ欠点がありまして、ゴーレム車のゴーレムの部分は土魔法が使えるこの子が一日一回作らないといけないのです。」
「…ああ。」
「ゴーレム車の下の台車は実は南部で売られているものを購入した物です。ですので、ここで失って…」
「聞くのを忘れていた、あんたら…。なんでこっちに来た。北部はこの通り…腐っている場所だ。」
 ここで聞いてくるという事は、まあ分からないでもない、あの馬車丸ごと売りますは俗にいう”旅の終わり”でもある。営業が雨て一日帰宅が遅れたらその場で営業車を取引先に販売するぐらいのインパクトだ。
「もともとは、この辺の販路拡大です。もしこの辺が厳しいなら、金に換えてでもまずは拠点に帰るべきです。」
「…そこまでの事態だと?」
「はい。もしこのまま材木問屋を出て…門を超えたあたりで領主に奪われる可能性があります。それ位ならここでゴーレム車を売り飛ばし、身の安全を買う方がいいと。」
「…俺としてはうれしいが…いいのか?」
「構いません。」
 ただ内心こんな大型の荷車、昔ドランが自慢していた時は”9万DP”とかいう高額だったはずだ。年収いかほどか計りかねるが…こんな高いもの捨てて帰る…意味が分からない。ちょっと内心エルミンは震えていた。
「すいません。」
「どうした。エルア?」
「外に、商人達が…。」
 バルアリの顔が分かるぐらい曇る。
「ちょっと待ってくれ、」
 バルアリが、応接室から去っていくときに、ドランは何となく…。事態が好転する兆しを感じた。
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