魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

第１５章 オペレーション：ハッピードライブ

第５９９話 ハッピードライブの欠点１

「…それは本当だわさ？」
　鳥海は、緊急事態に際し、トップ同士の対談を行っていた。どうも警備込みでかなり体制を引き締めていたが…どうも予定通りに進んでいる。が、その裏では魔人同盟の部隊が数か所の襲撃後、警備に力を入れているためだ。
「私はそうみている。」
　今回の”ダンマス襲撃事件”に際し、黒川は早速、エージェントによる調査を始めた。そうしたところ、
「調査で分かってきたのは、今回の件にスキュラが関わっている、現在対象は６ダンマス。後は勇者を普通の手で手に入れようとしているな、そのうち…。」
　今回のダンマス３０人のうち、スキュラ２名はは西に向かい、一切勇者に関与していない。そのうえで６名という事は６/２８で２割強のダンマスが襲撃に舵を切ったことになる。手勢の数は多くないから、一回襲撃すれば…人員が足りなくなるはず。
「嫌がらせだわさ？」
「連中の話を総合するなら”DPのため”だそうだ。勇者を”自領域”で殺せば大量のDPとスキルが手に入る、そして…スキュラからすれば自分以外が勇者が手に入るこの状況がまずい…だそうだが…。」
「…少し、探りを向こうに入れてみるだわさ。」
「私は、手勢を持ち込んだから。調査させてもらうが…。」
「分かっただわさ。ちょっと探りを入れてくるだわさ。」

　その足で、鳥海が直接ダンジョンバトルで、アポを取り、乗り込んでいく。
「…あんたねえ…。」
　流石にこの段階に
「仕事の遅延はどうとでもなるだわさ。それより問題ができただわさ。現在の勇者の動向について聞きたいだわさ。」
「どういう事？」
「スキュラに行った勇者の件だわさ。」
「ああ、魔王バトルで、勇者確保のために…教授が内査入れたのよ、そこで今は初心者勇者３名を訓練中よ。」
「そう言えば、教授見てないだわさ。」
「…それがどうしたの？」
「今回のダンマスたちにどうもスキュラが混ざっていただわさ。それが…どうも襲撃を主導していただわさ。アチシ達はちゃんと”勧誘”でやらないと不味いと言っておいたにもかかわらずだわさ。」
「あんた…。」
　謀略のハッピードライブがあまり公式で利用されない理由の一つがこの”第３国の悪用”である。この動きを知り、ブーストした流れを自国に還流せずそのまま第３国に取られることがある場合。被害は予算使って、他国を潤しただけという、悲惨な結果になる。そしてこういう第３国の動きは当然仕掛けられた対象国に知られやすい。そして、仕掛けた国は”ザマァ”されるのだが…。そこからが腕前なのだが…それでもこういう複雑化はあまり交渉などにおいて。あまり喜ばれない。
「最悪、スキュラ部隊を乗り込ませることも考えられるだわさ。」
　スキュラカンパニーの主力は海戦のみならず巨体により圧殺できるスキュラである。首を大量に持つ足を持ち、それを操り戦闘を行う５０ｍの化け物である、これを１０体は抱えているのが、スキュラカンパニーの戦力だ。この戦力による能力だ。
「…それはまずいわね。ちょっと会議してくる。」
　そう言うと、鳥海は残されたまま。南は去っていった。