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第14章 下部組織は基本押し付け

第516話 ある意味ファンタジーな賄賂の渡し方

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 パルマキアの王宮の騒乱の夜。王は、窓を開け…眠れぬままに月を見ていた。寝たくても、焦りで眠れないからだ。勇者を各国に戦力として貸し出せば、この草原諸国の切り札として。強い発言権を得られるはずだった。だったである。それがこうなってはむしろ金を借りないと、食料や、議会への移動費さえままならない。そうなれば…従国として下に見られ、今ある地位が血に迄落ちぶれる、そう思えばこそ…焦りは目をつぶるたびに増幅していた。
「忌々しき、あの儀式よ。」
「ホッホッホ。お悩みですな。」
 声をした窓を見ると誰も…いやそこに羽ばたいて降りてくるのは一羽のフクロウだった。
「何者だ?」
 王も人の子、大方フクロウを隠れ蓑にどこかに隠れている人を探すべく、視線を散らす。
「儂は、オウル、フクロウじゃのぉ。神の使いと言っていい。」
「…その神の使いとやらは何の用だ。」
「お主がどうも商人に騙されて困っていると聞いてな。憐れんだ神から、助けてやってほしいと言われてな。但し…。」
「なんだ?}
「いくつか条件を飲んでほしい。それが決まれば…。」
 フクロウが、首を傾け、部屋の暗がりに視線を打つうすと、暗闇の中から、金貨の山が現れる。」
「な!」
「だが約束を破ればこれはなくなるんじゃがのぉ。」
 そう言うと、その近海が暗闇に包まれ、消え去る、確かにあれだけあれば今の危機は醜聞なく乗り越えられる、
「死ねというのか?」
「まずは民の為の政治を心がけ、施しをこの金貨の中から毎年行う事。そうでない場合、お主はいずれ周りの貴族形見から汝の心臓に槍を垂れ垂れるかもしれんのぉ。」
「そ、それが第一か?」
「そうじゃ、紙も愚かな王に援助したとあっては・・・信仰のためにならん。そして…。」
「まだあるのか?」
「まず、お主には隣のザガートン国に事を構えるのを最大限避けてほしい。」
「それはどういう意味だ?」
「知っておるかの?今、ここから山一つ越えた先の国境沿いにドワーフが空を飛ぶ竜の部隊を用意し、攻める準備をしておる、」
「なぁに!」
 慌てて立ち上がり、窓までかけていく。確かに月明かりの先を見るのはつらいが・・・時折夜にもかかわらず、飛んでいる何かが…見える気がする。
「それを我が神が今交渉をしておる、お主が改心すれば、止めてくれようと思っておるがのぉ。」
「でもうその可能性がある!」
「さっきの金だけでも真実かもしれん。なのに信じないのかのぉ。」
「公王!」 
 兵士が数人飛び込んでくるが、フクロウは微動だにしていない。
「お主らも少し待て、ここで殺してもいいが…まだ条件の途中じゃ。」
「待て!」
 王が、手を挙げ、兵士の動きを止める、
「そこで、おぬしらが戦争を引き延ばす工作をすると言えば、説得も出来よう。こればかりは信用してもらわないとできん。」
「どういういみだ?」
「攻めてこないのが、私の神のせいか、お主たちの努力なのか証明はできないからのぉ。」
「正直に言うな。」
「だからこそ、物証もある、そして、最後じゃ、一時資金としてこれを渡す。その代わり、後日とんがり頭の髪をした商人が来る、そいつと、契約を交わせ。破ればこの国に災いが起きようぞ。」
「貴様!」
 そう言うと、先ほどの影から…兵士から見れば突然金貨の山が現れる。
「わかったな?」
「今の現状断れば死ぬのだろう…分かった、大方あのザガートンの怪人と言ったところか。怪人よ、分かったから…去れ。」
「ホッホッホ。では後日…。また会える日まで。」
 そう言い、フクロウは飛び立ち、
「公王!」
「…今回の事は秘密にせよ、下がれ、いらぬ闘争を呼ぶぞ。」
 兵士たちが去り…王が金貨の山に近づき、金貨をかじる。
「本物か、しかも…ギルド硬貨か。これだけあれば確かに損失は免れる、が、あんな面妖な。が…。」
 考えてみれば起きて外を見つめていて、明りがある時にはちゃんとそこに何もないのを確認してあるはずなのが、いつの間にかあった金貨の山、あれを音もなく移動させたなら、それはもうそれだけで、自分を殺せたかもしれない。そう思うからこそ・・・怖かった。頭が混乱してくる。冷静に頷いてしまったが、ゆっくりとベッドに戻ると枕で頭を覆う。怖い、怖い、怖いそれだけが頭を覆っていくのは数刻の時間もかからなかった。

 次の日には王は食料の備蓄を命令した。そして、国境の山に偵察部隊を派遣させた。できる事ををやるしか…思いつかなかったからだ。
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