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第13章 新入社員と改革のススメ

第492話 魔法を自分が使わないなら使える人間を用意すればいい

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「こーれはどういう意味デースか?」
 リラシルト側の建築を任されたのはモアレ、ポアン、ミヨちゃんとコンちゃん。水木の5名だった。
「…どうとは?」
「…こんなことして…。」
「彼らは私達が雇った…勇者たちでございます。」
「だよな!おっちゃん、よくわからん言い訳はやめてくれ。」
「赤木様。」
 女性に囲まれつつも護衛したついでに建築を頼んだのは。勇者にだった。この規約では”千鳥万花のメンバーは魔法を使って建築してはいけない”という規則がある。だがこれはメンバー外なら関係なく、リラシルト国内でも魔法が使えるのは勇者たちの証だと…ギルドでも喧伝中の為、使える事は市民にとっても有名であり…。
「ぐ…。」
「では、こちらに頼むぞ。」
「線、引きますねー。」
 ポアンたちが地面に棒で線を引くと、勇者赤木の従者であるチーレムメンバーの一人がが魔法を使い建築を始める。土魔法のゴーレムは勇者の間でも有名な”手に職が作魔法”の一角として知られており、勇者による買い付けが多い魔法でもある。実際ゴーレム車を動かせるというだけで商人間では引く手あまたなので、
「俺はここで。」
「はい、ここからみんなで漆喰を塗るので、光魔法の熱で程よくあっためてください。」
「おう!」
 そう言うと、赤木が手をかざす。その手から漏れた光で、漆喰から蒸気が上がり、水分が抜かれていく。急に乾かし過ぎると化学反応が起きないのだが。今回は…周りの建築様式に合わせ、劣化した”貼り付けた漆喰”を用いて壁を白く、美しく仕上げていく。
「で、でも。」
「何だ?お前…悪人か?」
「ぐ!」
 スキュラの経理担当のリチャードがうなる。ここで勇者に手をあげると亜人との敵対が決定的になる。そして何よりこの様子を市民が見ている。こんなところで襲撃すれば変身はできないわ。本体になれば…当然今まで築いたリラシルトのコネが消滅する。
「ね?こちらもお願いできませんか?」
「お、おう!」
「赤木様。」
「皆様頑張ってください―!」
 モアレ、ポアンは工事と手作業で手伝い、ミヨちゃんとコンちゃんは幼い子供のふりをして、リチャードの手勢が襲わないように警備体制を作っていた。
「ぐぐぐぐ…撤退デース。」
 去っていくリチャードを見ながら…。赤木は胡乱な物を見る目で去っていく男を見つめた。
「何だありゃ?」
「大方…なんか嫌がらせをするつもりでは?」
「…やっぱり異世界の連中はくそだな。」
 あれは依頼者だぞっと水木も顔をしかめるが、これが実際に現在多い勇者でもある。実際いやらしい目付きで水木を見てもいた。がそこまでだったために、あまり強く言い出せなかった。
「ささ、ああいう手合いの事を思い出すだけで…作業に悪影響が出るかもしれません。」
「流石シスター。」
 彼女は一応聖女教のシスターの地位もあるので。依頼を出すのは容易かった。井原の作戦がこれだった。勇者に魔法部分を任せ…。建築を一気に加速する。土作成はできないので。土を運ぶ必要があり、その為にゴーレム車を走らせたが…捕まった勇者は彼だけだった。結構な頻度で勇者に警備を依頼しつつ…勇者を取り込もうというリラシルトの商人が多く、その依頼だけで結構な量があった。その為都合のいい魔法使いや勇者のチームは、彼らしかなかった。その中でこういう手軽な依頼は少なかった。護衛して本部に寄せて依頼するのが”ダンジョン産のお宝”
立ったりするため…。そう言う依頼を毛嫌いしたのだ。ダンジョンの宝箱は不確実性が高い上に勇者的には価値のある物が現在出てきていない。なので…。答えるのが難しいの現状だった。その中で建築系とはいえ、可愛い女性チームの依頼と…ギルドからの信頼あるシスターの依頼となれば勇者たちの警戒も緩んだ。
「もう少しでお昼なので、ゴールデンブルの”生ハムサンドイッチ”お出ししますね。」
「さすが!」
 そう…こういう勇者たちにとって贅沢な食事というものは、強力な武器になっていた。依頼は魔法を使ったこともあり…リラシルトの建築は12日で完成した。
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